苦手な課長に犯されて-2話
作家名:蜜絵
文字数:約2830文字(第2話)
公開日:2019年12月12日
管理番号:k017
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「ただいまぁ」
まだ電気が付いていたので大樹が起きているかと思ったが、部屋に入ってみると、食い散らかしたスナック菓子、チューハイ、ビールの缶が散乱してあった。
電気は点けっぱなしで、大樹はゲーム片手に眠りこけていた。
朝会社に行く前はきれいに片付いていた部屋が見るも無残な姿になっていて、流石に疲労を感じた。
私はシャワーを浴び、大樹の寝ている横に潜り込む。
明日、いや、日が回っているから今日か。今日の休みは片付けに追われるな。
そんなことを思いながら目を閉じた。
「ゆっきー?」
大樹が目をさましたのか、私に抱き着いてきた。
「遅いよ、ゆっきー」
「ごめん。疲れてるから今は寝かせて」
「うん」
大樹はそう言いながらも私の乳房を揉んでくる。
大樹にそうされるのは嫌じゃない。
「アンっ」
大樹の指が乳首を弄びはじめた。
今はそういう気分じゃないから鬱陶しいだけ。
「やめて、大樹。寝たいの」
「だめ。遅かったバツだよ」
大樹はそういうと、自分の股間に私の手を持っていった。
もう硬くパンパンに腫れあがっている。
「だめだよ」
私は拒むが、大樹の指は構わず私の陰部をまさぐりはじめた。
「ゃっ」
嫌がると大樹のS気に余計に火が付く。
大樹の二本の指が私の膣壁をこねくりまわす。
「あ、いや、もう――」
クチュクチュといやらしい音をたてはじめ、私は身をよじりもう眠るどころではない。
大樹もたまらなくなったのか、私の服をはぎとり、自分も裸になった。
「舐めて」
眠たいのに。
思いながら、顔の前に差し出された大きな陰茎を私は舐めて、しゃぶった。
「ああっ」
大樹が気持ちよさそうな声を洩らし、
今度は私の陰部に押し付けてくる。
私ももう欲しくなっている。
大樹のソレはぬるりと私の中へ入った。
ズッズッと、大樹はいきなり激しく腰を動かし始める。
「あんっ、あっ、いやっ」
奥を何度も突かれて、私はもうすぐにイってしまいそうになる。
「あ、イッチャウ」
すると大樹は腰を止める。
「まだダメ」
私が落ち着くのを待って、大樹がまた腰を激しく振りはじめる。
またイキそうになる、でも、大樹がまだだ。
我慢してると、「あ、イク」大樹は言って、いきなりペニスを引き抜いた。
「あっ」
イキきれなかった私の陰部がまだうずうずしているところへ、大樹は自分で擦って出した白濁の液をかけてきた。
「ああ、気持ちよかった」
大樹はさっさと服を着て、床に転がっていたコーラを飲み干す。
「今日ゆっきー寝てるんだろ?」
「うん。片づけもするけど」
「そしたら俺暇だからパチンコ行ってきていい?」
今日だけじゃなくて、いつもじゃんと私は思う。でも言わない。揉め事になるのはめんどくさい。
「どうぞ」
「そしたら、3枚くらいほしいんだけどさ」
3万寄越せということだ。
もう、どうでもいい。
「勝手に抜いてって」
「サンキュー」
自分勝手。
25にもなって定職にもつかずに、私の紐をしている。大樹は最低だ。
そう思うが、やはり好きだった。学生のときから付き合ってきた彼を見捨てることはできない。きっといつかまともになってくれる。
私はそのまま、眠りに落ちた。
1
「おい、松原」
その声を聞いても、私は前みたいに居住まいを正すことはなかった。
課長の酔い潰れた姿を見たせいだろうか、少し親近感が湧いていた。
「はい」
私が返事をして課長のところに行くと、
「今日の先方とのアポは変更したのか」
完全に仕事の話だった。
金曜日の出来事など、課長の頭にはもうないようだ。
「はい、しました。13時を11時ですよね。向こうから了解のメールも来てました」
「だがその後9時にしてくれという連絡をしたそうだ」
「え、そんな連絡、受けてません」
「向こうは松原に電話ではっきりと伝えたと言っている、こちらの都合が悪ければ連絡することになってたそうだ。電話を受けたのはおまえじゃないのか、先方は松原に言ったといっているんだぞ」
「そんな、確かに最初やりとりしていたのは私ですけど」
「先方は約束の時間に我々が来なかったとお怒りだぞ。取引もなかったことにすると言ってる」
「そんな――。私は確かに」
「言い訳はいい」
ぴしゃりと言う課長に、私はもう何も言い返せない。
「なんとか俺が資料だけでも受け取ってもらうように頼んだ。おまえ、先方の都合を聞いて届けてこい」
「わかりました」
なんで、私ばっかり――。
しょぼくれて自席に戻ると、また小宮がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「大変でしたねー。でも、なんとかなりそうだから良かったじゃないですか」
小宮は同じチームなのに完全に他人事だ。
「小宮さん、今日少し残れる?」
余計な仕事が入ったから、チームの仕事を少し割り振りたかった。
「すいませーん。わたし今日合コンでダメなんですぅ」
合コン……。
呆れて言葉も出ない。
「そう、わかった。じゃあいい」
2
ホームに降りると、酷く躰が重かった。
あの後、先方に連絡をとったら名古屋にいるという。
持って来てもらえば資料に目を通すというので、会社に了解をもらい、急いで名古屋に走った。
「ごめん、急な出張。今日は帰れない」
大樹にLINEを送ると
「オッケー」
とだけ帰ってきた。
だが、途中にいる別の社員が受け取ってくれることになって、私はなんとか名古屋まで行かず、その日のうちに東京に戻ってくることができたのだ。
それでももう23時だ。
無事仕事を終えることができたのと、それまで気が気ではなかっただけに疲労困憊だった。
マンションに帰り、ドアを開けた。
脱ぎ捨てられた見知らぬヒールが目に飛び込むのと、
「アンッアンッ」
喘ぎ声が聞こえてくるのは同時だった。
ワンルームのマンションだ。
私が家に入れば、ベッドにいる大樹にも分かる。
「ゆっきー!?」
大樹は躰を起こした。
その下で裸になっていたのは、
小宮だった。
「なんで、今日出張じゃなかったっけ」
「早く終わったから」
私の声は、自分でも驚くくらい冷静だった。
「あ、あれ、この人松原さんのカレシ? あーすいません、たまたま私たち合コンで会っただけで、別にそういう関係じゃないんで」
そういう関係じゃないって。
人のうちで、人のカレシと交わっていてそういう関係じゃないって。
じゃあ、どういう関係なら許されるんだ。
「仕事、どうでした?」
どういう神経をしているんだろう。
小宮はそう訊ねてきた。
「今日、先方に合って資料渡してきた。アポイントの時間の変更、女の子に話したって言ってた。それを私だと思ってたみたいだけど、部署に女の子って、私以外、小宮さんしかいないよね?」
「あーなんかそんな電話あったかもですね。あとでもっかい松原さんにメールしといてくださいって言ったんですけどね。こなかったんですね」
まるで自分は悪くないみたいに言う。
「へえ、二人同じ会社だったんだ。俺も知ってれば、家になんか誘わなかったんだけど」
大樹が言い訳がましく言った。
私が知らない女ならいいのか。
今までもそういう影はあったが、見て見ぬふりをしてきた。
でも、もう限界だ。
「別れよう、大樹」
私は言って、部屋を飛び出した。
(続く)
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