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苦手な課長に犯されて-最終話



作家名:蜜絵
文字数:約3060文字(第3話)
公開日:2019年12月20日
管理番号:k017


挿絵の官能小説画像

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6年間。
付き合ってきたカレと別れるのは容易なことじゃない。
ずっと一緒に過ごしてきたのだ。
楽しいこともいっぱいあった。

これから、どうしよう。
もう、25だ。

大樹を養わなきゃと思って仕事を頑張ってきたが、それももういらない。
これからは自分の好きなことをしようか。
でも、私の好きなことってなんなんだろう。

私は考えが堂々巡りして、わけもわからずフラフラと新宿の街を歩いていた。
このまえ課長が酔い潰れたのもこの辺りだった。

行く宛てもない。
どうしようか。

そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。

「すいません、ちょっとだけアンケートお願いできないですか?」

私は断ったが、若い男性はしつこくついてくる。
もう一人はカメラを持っていて私を写しているようだった。

「ちょっと、勝手にとらないでください」
「すいません。僕たちネットで番組やってるんですよ。番組の趣旨とかだけ説明するだけでも、ちょっとお時間もらえないですか。10分くらいなんで」

あまりにしつこいので、10分付き合えば解放されるのかと、私は足を止めた。
それがいけなかった。

「ここだと寒いんで、とりあえずそこの居酒屋で」
そう誘われて、一緒に居酒屋に入った。

テーブル席について、お酒を飲みながら色々話を聞きたいという。
「ぼくたちのおごりですから、どんどん飲んじゃって」

酒が入ると、少し心が軽くなった。
「お姉さん、カレシはいるの? あっちのほうはうまくいってるの?」
アンケートってそういうこと?

と思いながらも、酒が入っていたのもあって、私はありのままをぶっちゃけてしまった。
こんなこと、知り合いには恥ずかしくて相談もできない。

良く知りもしない相手だから、悩みを相談できる。
そんなの、虚しい。
でも、それが事実だった。
私には、他に頼れる人なんていない――。


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1



「へえ、大変だったねー。どうしよ、そろそろ出ようか。なんなら次行く?」

私は次々にウイスキーを飲まされて、大分酔っ払っていた。
足下もおぼつかず、外の冷気が気持ちいいと思いながら歩いていると、いつのまにかホテル街に連れ込まれていた。

「え、ちょっと待って」
「いいじゃん、お姉さん。いろいろ語り合った中だしさ」
「まじ、むりです」
「今さら断んのかよ」

男たちが急に豹変した。
「とりあえず、いいから。酔い覚ますだけだからさ、入ろ」

私は男に手を引かれ、拒むも、力が入らない。
「やだっ、離して」
「うるせえ、大人しくしろ!」

最初からこのつもりだったのだ。
と、今更気づいた。

もう遅い。
でも、もう何もかもどうでもいいような気がした。
私のことなんて、誰も心配しない。
私がどうなろうと、誰も知ったことではない。

「もう、めんどくせえからここで犯そうぜ」
男の一人が言った。
「そうだな。それもありかもな。ホテル代も浮くし」

男たちはそう言って私をビルの影に連れ込んだ。
私は壁に押し付けられ、無理やりキスをされた。
舌が押し込まれる。

「いやっ」
やっぱりいやだ。こんなの。誰か、助けて。

そう心の中で叫んだときだった。
「なにやってる」

まるで、正義のヒーローのようにその人は現れた。
「なんだてめえ」
「この子の上司だ」
声で分かる。

課長――。

「上司がなんのようだ。オレらはこの子と遊んでんだよ」
「これが遊びか。酔わした女を無理やり犯して、盗撮がか」
「うるせえな、邪魔すんならただじゃおかねえぞ」

男の一人が鉄の棒を手に課長に襲いかかっていった。
私は思わず目をつむるが、
「ぐはっ」

うめき声をあげて倒れていたのは、若い男のほうだった。
もう一人の男も課長に襲いかかるが、課長は難なくそれを避け、逆に回し蹴りを男にかました。
「悪いが空手の経験がある。素人が向かってこないほうがいいぞ」

その威圧的な言葉で、若い男たちは尻尾をまくようにして逃げて行った。


2



「おい、松原」

いつも呼ばれるその声。
今日は、ちょっと違った。

「すまん、大丈夫か」

課長が心配そうに私の額を撫でた。
「アポイントの件、俺の勘違いだったみたいだな」

私は課長を見て、ほっとして泣き出してしまった。
そのまま、腰が抜ける。

「あ、おい」
慌てて課長が支えてくれた。
そのまま泣き止まずにどうしようもない私に、課長は困ったようすで
「とりあえず、ここは寒いし。ホテルで休むか?」と聞いてきた。
「何もしないから」と付け加えるのが、課長らしい。

私は肯く。
課長なら、安心だ。


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3



課長は、私を支えるようにしてホテルの部屋に連れてきてくれた。
私をソファに座らせ、珈琲を淹れてくれた。

あの、怖くて苦手だった課長と、今こうしてホテルにいるのが不思議な気がした。
「今日のことは、俺が悪かった。おまえひとりに責任を押し付けて、課長がすべきことじゃなかった」

課長があくまで真面目な事を言う。
やっぱり、課長は課長なのだ。
「だからといって、なんであんな奴らについてった。夜中に女が一人で出歩くなと言ったろう」

私は徐に立ちあがって、冷蔵庫からウイスキーを取り出し、課長にグラスを持たせて注いだ。
「なんだ」
怪訝そうな顔で私を見る。
課長――。やっぱり、美男子だ。

「私だけ酔っ払ってちゃ、話せません。課長も飲んで」
「俺は、強くないんだよ」
「飲んで」

尚も私が言うと、課長は仕方なくウイスキーを一気に煽った。
大人の飲み方じゃない。

酒が強くないと言うのは本当らしい。
課長にも、苦手なものはあるのだ。

私は、課長が急に人間らしく思えて、愛おしくなった。
「私、今日は色々あって……」

私は今日あったことを全部課長に話した。
課長は親身になって聞いてくれた。
その間もウイスキーは進む。

「わたしなんて、だれも心配してくれないんだと思ったら、悲しくなっちゃって」
タンッ。
と、課長がテーブルにグラスを置いた。

「そんな訳ないだろ。俺がどれだけお前のことを心配してたか」
「課長が?」

課長の顔が近い。
「そうだ。居酒屋で偶然おまえたちを見つけて。最初はただの友だちかと思ったが、どうも様子がおかしい。後をつけるのもどうかと思ったが、どうしても気になって、ついてくればあのザマだ。おまえはもう少し自分が可愛いと言う自覚をもて」
「可愛い? 私が」

驚く私の唇に、課長の唇がゆっくりと近づいてくる。
「そうだ。可愛い。人のものでなければ、とっくに奪っている」

課長の唇が触れた。
やわらかい。やさしい。少し、ウイスキーの香りがした。

「何もしないと言ったが」
課長は私をソファーに押し倒し、ワイシャツを脱ぎ捨てた。
程よい筋肉が、胸をキュンとさせる。

課長の匂い。良い匂いだ。

「したい。物凄く」
課長が今にも唇が付きそうな位置で言う。
「なんて答えればいいんすか」
「いやか、いやじゃないか」
「いや……じゃないです」
いやなわけがない。

雲の上の存在だと思って、諦めていた。
でも、ずっと、心のどこかでは、魅かれていた。

「よし」
課長は笑うと、口づけをした。
舌が絡み合う。

乳首を弄ばれ、恥部に課長の指が入った。
「あっンッ。イッチャウ」
「いいよ、イきな」

課長に言われて早くもイッてしまった。

課長の堅くて大きくなったモノが私の中へ入ってくる。
膣いっぱいに広がったそれが、ゆっくりと、やがて激しく抜き差しされ、私はもう声も我慢できないほどになって身をよじらせた。

ベッドに移り、後ろからも突かれ、もうわけがわからないまま何回もイカされてしまった。
こんなに満足したセックスは初めてだった。

課長も果てると、息をきらしながら私の横に横たわり、
「荷物をまとめたら俺んちに来い」
と言った。

「幸恵」
課長が私を呼んで優しくキスをした。
課長が下の名を呼んでくれたのは、初めてだった。



(終わり)






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