記憶の中の女達〜(44)「パパとお尻で」-第92話
作家名:淫夢
文字数:約4250文字(第92話)
公開日:2022年7月8日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
妻と娘を実家に帰らせて一年近く経ったある時、私が所長を務めていた、芦屋で分譲中のマンションのモデルルームに初老の女性が来た。
営業マンは、みな営業に出ていたので、私が相手をする。
モデルルームを案内し、パンフレット、設計図面で説明すると、大層気に入ってくれた。
しかし、無職の年金暮らしでローンが組めないから、今の自宅を売却して購入するという事になった。
地図で確認して、自宅の詳細を確認すると、推定価格で売却出来れば、希望のマンションを現金で買って、尚、余剰金が出るはずだ。
自宅の査定の約束をして、その翌日、訪問する事になった。
自宅は、神戸の山の手の高級住宅街の一角にあり、敷地家屋の面積、家屋の維持状況を外から目測しても、やはり、現物と権利に瑕疵がなく、彼女が欲張って無茶な価格希望を出さなければ、ラクに買い替え出来るケースであった。
玄関ブザーを鳴らす。
若い女性の返事がした。
彼女が話していた、一緒に暮らしている17歳の孫娘だろう。
両親が離婚し、父母どちらとも一緒に暮らさず、祖母と同居しているとの事で、通っている高校が近いせいでもあったらしい。
少女が玄関ドアを開けた。
「こんにちは」
少しはにかんで微笑む彼女を視て、私は驚いた。
ストレートの長い髪、細面の清楚な美貌、くっきりした富士額、少し意地悪したら泣き出しそうな切れ長の瞳、下唇がふっくらした愛らしい唇。
私は、少女を一目視ただけで、響子を想い出していた。
当時の人気アイドルだったHOのスタイリストで、私が初めてアナル セックスした女性。
響子をそのまま若くしたようで、髪を淡いブロンドに染めていなければ、そっくりであった。
華奢な肢体、細い肩、僅かにブラウスを盛り上げているだけの小振りそうな乳房まで似ていた。
響子とは暫く交際い、アナル セックスを何度も堪能し、浣腸もさせて貰い、排泄さえ晒してくれたが、ある日、“仕事に疲れたから郷里に帰る”と言って終わってしまった。
「ど、どうぞ」
私の不躾な視線に、少女が恥じらって、ドアを大きく開く。
「お待ちしてました」
少女の背後から祖母が貌を出し、私のロマンチックな想いを掻き消した。
家の中をくまなく診せて貰う。
少女の部屋は、17歳の少女らしく、ヌイグルミやアイドルのポスターで飾られ、ピンクのカーテン、淡いブルーのベッドカバーに色採られ、彼女は勉強机に向かって読書をしていた。
その後、応接間で、権利書、謄本を確認し、売買希望額や売却方法、時期などの打ち合わせをしていると、少女がコーヒーを淹れて運んで来た。
「ど、どうぞ」
先程、玄関先で彼女の発した言葉と表情が同じだった。
彼女は、私と祖母の打ち合わせに入ろうとしないで、部屋を出て行った。
少しでも一緒にいたかった私はがっかりしたが、仕事で来たのだ。
買い替えが上手く行けば、何時かは、と、はしたない想いが浮かぶ。
美味しいコーヒーを飲みながら、私は再び、脳裏で少女と響子を重ねていた。
翌日の午後、皆が営業に出掛けた後、事務所のデスクで転寝をしていると、電話がなった。
何と、昨日の少女だった。
「お祖母ちゃまが置いていたあなたの名刺を視てお電話したのですけど、お仕事中に、ご迷惑じゃなかったでしょうか?」
“お祖母ちゃま”という言葉が愛らしい。
育ちも上品なのだろう。
「大丈夫。朝から晩まで仕事なんてしてないから」
言葉通り、私は“仕事をしない営業部長”で、会社のグループ全体でも有名だった。
部下の報告と予定、計画を聞いて、間違っていると判断した時だけ、指示をしていた。
それなのに、グループ全体の中で常に上位の成績を挙げていられた。
“無能な上司には優秀な部下が育つ”を地で行っていたのだ。
「今日、いえ、明日でも、何時でも良いんですが、バッグを買いたくて、一緒に行って決めて貰えませんか?」
何と言う、嬉しい申し出だろう。
「ずっと暇だから今日でも良いですよ」
夕方、営業から帰って来た営業課長に、用事が出来たから後を頼んで、三宮の改札で待ち合わせる。
「す、すみません。少し遅れました」
ホームからの階段の人混みに交じって、私を認めた彼女が小走りになってやって来て、泣きそうな表情で頭を下げた。
私服通学なのか、一度家に帰って着替えて来たのか、薄化粧をしていて、大人びたライトブラウンのタイトなワンピースに包まれた彼女の肢体の細さが窺えた。
「おれも、今来たばかりだから、大丈夫」
約束の6時を少し過ぎていた。
営業マンの習性で、アポイントを取った時には約束した時間より、10分くらい早く行く。
「T百貨店に行きたいんですが」
「先に行って。後を着いて行くから」
地勢に馴れている彼女が先に歩き、私が後を歩き、T百貨店のバッグ売り場に行く。
彼女がバッグを幾つか代わる代わる手にして、ファスナーやボタンを開けて機能を確認し、肩に掛けて姿見の前に立って映してみる。
恥ずかしそうに微笑んだり、小首を傾げて唇を尖らせたりする表情も、控え目な立ち振る舞いも愛らしい。
「これはどうですか?」
洋服と同系色の、古い世界地図のような模様の大き目のバッグを肩に掛け、姿見で何度か確認してから、初めて私に微笑んだ。
と言う事は、彼女はそれが気に入ったのだろう。
元より、ファッションセンスの無さを自覚している私である。
一言、「似合うよ」と伝えた。
彼女がほっとした表情になり、キャッシャーに向かった。
「お礼に食事をご馳走させて下さい」
大きな袋を手にした彼女が私に歩み寄ってはにかんだ。
「子供が大人に向かって言うセリフじゃないよ」
私が頭を軽く叩くと、子供のように愛らしく、しかめっ面をした。
三宮で飲食をした事がなかったので、判らなかったが、取り敢えず、老舗っぽい鮨屋に入る。
「お酒は?ああ、未だ高校生か」
「飲めますよーだ」
また、子供のようにしかめっ面になった。
ふと、母親公認でセックスした、処女だった高校生の美紀が、初めてウィスキーを口にした時の表情を想い出したが、貌立ちが違っていた。
少女はやはり、視れば視る程、響子を若くしたような美貌だった。
名前は、綾子と言った。
年齢が違い過ぎて、余り会話もなく、1時間程飲んで食べて、外に出る。
酒も多少は嗜んでいるようだった。
今日はここまでだな。
改札まで送ると、彼女が振り返った。
「また逢って貰えませんか?」
再び、嬉しい申し出だ。
仮にセックスしなくても、愛らしい彼女となら、心が弾む楽しい時間が過ごせる。
「おれなんかで良いの?」
「あ、あなたがパパに似てるから」
ファザコン。
別居しているパパの代わりか?
ん?
それなら、尚更セックスの対象にはならないだろうが、何故パパ自身じゃないのか?
パパとは逢えない事情でもあるのだろうか?
「お、お祖母ちゃまがうるさいので、私の方から電話します」
綾子が、頷く私に背を向けて、改札を出て雑踏に消えて行った。
彼女が電話をよこしたのは、その二日後だった。
また、三宮の改札で待ち合わせる。
今度はほとんど同時で、改札を出る時にばったり遭う。
淡いラベンダー色のワンピースにしなやかな肢体を包み、一昨日買ったバッグを肩に掛けていた。
「メシ食う処知らないから、この前の鮨屋で良いか?」
「はい、美味しかったです」
先日同様、1時間程鮨と酒を満喫する。
「帰ろうか?」
伝票を手にして言うと、綾子がまた、子供のようにしかめっ面をした。
「この前みたいに、早く帰らせないで下さい」
「お祖母ちゃまがうるさいんじゃないのか?」
「こ、今夜は、お、お祖母ちゃまは旅行でお留守なんです。だ、だから」
綾子が酒に酔ったのではない、美貌を官能に染めた。
おい、まさか?
いや、未だ早い。
「判った。カラオケでも行くか?」
三宮の夜は初めてだったので、若い女性と酒を飲むような処を知らない。
「は、はい」
鮨屋を出て、一番近くにあったカラオケボックスに行く。
私はドライ マティーニ、綾子はマルガリータを注文する。
「先に歌って下さい」
カラオケは部下としょっちゅう行っていて、歌い馴れている。
“R/Z”時代、ロックバンドをやっていて、ギターとヴォーカルを担当していたが、極度のあがり症で、マイクの前に立つと、声は震える、手は震える、脚は震えるで演奏にならず、結局自己嫌悪になって、バンド活動を辞めたのだが、酔っ払って歌うと、あがり症が引っ込み、それでも我ながら上手く歌えてはいたのだ。
しかし、さらにあがり症を抑えようと、ステージでウィスキーのボトルをラッパ飲みして飲み過ぎ、そのうち呂律が廻らなくなって来て、情けない想いをしていた。
遠い過去だ。
すぐに曲を決めて歌い、綾子の隣に戻ると、私を視て眼を丸くした。
「すごーい。上手ですね」
「馴れてるだけだよ。今度は君だ」
「下手くそですよ」
彼女がリモコンを操作した後、マイクを握ってステージ台に立った。
一曲目に歌ったのは、松田聖子の“抱いて”だったと記憶している。
上手いじゃないか!
私は、綾子の歌う表情に魅入った。
“〜抱いて 抱いていて〜”というパートを、年齢にそぐわない程、切なそうに歌う。
清純な綾子が、少し酔ったせいか、大人びた表情が酷く妖艶に視えた。
うん?
綾子と似た響子が官能に塗れて喘ぐ表情を想い出していた。
貌立ちもだったが、官能的な表情も雰囲気も本当に似ている。
「全然、下手じゃないよ。上手いじゃないか」
歌い終わった綾子が恥じらいを美貌に浮かべて隣に座る。
「う、嬉しい」
酒をお代わりして交互に何曲か歌って、ふと、綾子が私の肩に頬を預けて来た。
酔ったのか?
「きょ、今日は、か、帰らなくても良いですか?」
おい。
「パパの代わり」じゃなかったのか?
私は、しかし衝動的に綾子を抱いて顎に指を掛け、美貌を仰向けると、彼女が眼を閉じて唇を軽く開いた。
ふっくらした下唇を軽く啄んでから、貪るようなキスをしてやると、綾子が応じて来た。
キスが上手い!
子供なんかじゃない!
軽く鼻を鳴らしながら私の首にしがみ付き、私の唇と舌の蠢きに併せて来る。
こんな子供のような立ち振る舞いの、17歳の清楚で上品な綾子が、成熟した女性のようなキスを貪る。
綾子と近い年齢で清純そうな女性は、視た眼通りにキスもセックスも未熟だった。
性戯が巧みな女子高校生とも、何人もセックスしたが、彼女達はいかにも馴れていそうで、言動自体が既に成熟していた。
綾子は、男馴れ、セックス馴れしているイメージは全くなく、処女だろうと感じていたほどだ。
その彼女が、妖艶な大人の女性のように唇と舌を蠢かして、私を刺激する。
今まで、どれだけの男性とどんなセックスをしたのか?
(続く)
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