記憶の中の女達〜(43)覗き視されてイク女-第90話
作家名:淫夢
文字数:約3780文字(第90話)
公開日:2022年6月24日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
33歳の時、初めて結婚した浩美と3年我慢した後、別居し離婚調停に至る。
その最中に知り合った女性がいた。
彼女の余りの素晴らしさに、何も出来ないまま半年間、ただデートを繰り返し、この女性を失ったら一生後悔すると想い、クリスマスイヴの夜に気持ちを告白してセックスする。
そして翌日、私の部屋に彼女を引っ越させ、一緒に暮らすようになった私は、ますます彼女の美貌、セックス、そして立ち居振る舞いの全てに惚れ込む。
半年後、彼女が妊娠。
しかし、離婚調停は終わってはいなかった。
12月に女児が生まれた後、3月初めにやっと調停が整い、その翌日、すぐに籍を入れた。
変則ではあったが、やっと完全な形での結婚生活が始まったのである。
それから1年後、妻が、私と妻の実家に近い関西に移住したいと言い出した。
妻の希望を受け入れて関西に移住し、大阪のマンションのディベロッパーに就職するが、住まいにしていたハイツが昼火事で類焼する。
その時、私のロックへの想いを断ち切るかのように、愛していたフェンダーのストラトキャスターが、鰹節のように焼け焦げてしまった。
私は、妻と2歳の娘を妻の実家に帰らせ、私は会社の寮のワンルームマンションに入る。
会社は、独身用の寮として、マンションを幾つか持っていて、社員の自己負担なしで借りられたが、ファミリー用の部屋は少なく、申し込み優先の順番待ちであった。
一般の賃貸を借りようかと、妻と話し合った事もあったが、倹約家で質素な暮らしを続けていた妻は、「勿体ないから空きが出るまで待ちましょう」と言った。
東京時代に、それなりに給料を渡していたので、妻がかなり蓄えていたようだったが、新しい家に引っ越したら、焼失した家具や電化製品を揃えなければならないし、また妻が「子供の将来の為に残して置きたい」とも言ったので、ファミリータイプのマンションを申し込み、順番を待つ事にした。
私は、妻を深く愛していたし、結婚生活は精神的にも、勿論肉体的にも充分満足していたので、浮気をするなど考えも及ばなかった。
しかし、妻子と別居して4ヶ月、月に一度は妻の実家を訪れてセックスは出来たが、妻の実家は遠く、また営業のスケジュールで毎月決まって実家に行ける訳ではなかったし、逢った時に妻が生理中であったりして、それまで、毎晩のように妻とセックスして充たされていた私は、極度の欲求不満状態になった。
会社の上司や部下は、風俗を利用するよう、勧めてくれたが、その気にはなれなかった。
スポーツ新聞や週刊誌に載っている風俗の記事や広告を観た事は何度もあったが、永年、一般女性としかセックスしてなくて、逆に飲み代やホテル代を出して貰っていた私は、セックスの代償としてお金を払うのは、女性に対して失礼だと、ずっと考えていたし、風俗の女性は仕事なのだから、セックスも事務的だろうと想像していて、また、仮に行ったとして、相手の女性が好みのタイプではなかったら興醒めになり、性欲処理どころではないとも想像していた。
従って、生涯を通じて、それと知っていて風俗関係の女性とセックスしたのは、私のセックスの師匠である、ピンサロのおねえさんだけだったが、彼女でさえ、知り合って交際っていたのは、普通の女性としてであった。
また、ピンサロのおねえさんに、“客とセックスする時にはイカないのか?”と尋ねた時、“客相手に本気でイってたら、身体が持たないからイッた振りしてる”と教えてくれた、その言葉が記憶に残っていた。
私は、淫蕩の虫を“アルカトラス刑務所”のような、厳重に警備された監獄に閉じ込めていた。
しかし、私の監視の眼を盗んで、淫蕩の虫が抜け出した事は何度かある。
会社の帰り、久しぶりにカラオケでもやろうと、通り掛かりにあったラウンジに立ち寄る。
カウンターに5、6席、ボックス席が二つ程度で、20代の女の子が二人と30代半ばのママ。
三人ともまあまあ。
店もこぎれいで悪くない。
行き付けにしよう。
カウンターに掛け、差し出されたメニューからワイルドターキーをキープする。
未だ8時前だったからか、他に客も居らず、私はロックを作り、三人の女性にも水割りを勧め、三人の女性を相手に、他愛ない世間話をしながら飲む。
二、三曲歌って帰ろうと想って、カラオケのリストを頼んでめくっていると、二人の若いサラリーマン風が入って来た。
常連らしく、女の子二人がボックス席に座った彼らを迎えて抱き付き、下ネタ交じりの冗談を交わす。
私の前のママも、カウンター越しに冗談に加わっている。
常連客が酒に口を付けるとすぐにカラオケを歌い出し、ママが、「お客さんも歌ってね」と、私に勧めた。
一人目の歌を聴いて“勝った”と想った私は、二人が歌い終えた後、有名なバラードロックを頼んでマイクを握る。
極度のあがり症の私だったが、酒を飲むとリラックス出来るのか、客観的な感想でも“上手い”と言える程に、歌えた。
かつて、バンドでギターとヴォーカルをやっていて、ライヴの前に飲んで酔うと上手く出来たのが、しかし、やはり酔った勢いでしかなかった。
歌い始めると、常連客の二人が女の子を抱いて立たせ、チークダンスを始めた。
“チークやるような曲じゃないんだけどな”と想いながら、ママに眼をやると、私を視ながら歌を口ずさんでいた。
歌い終えて席に着くと、ママが微笑んでいた。
「この歌、好きやねん」
そんなママを視て、ふと気付く。
初めて視た時は、それ程ではなかったが、ひどくセクシーで美人に視える。
酒が入ると表情や仕草がセクシーになる女性を過去に知っていたし、私自身が欲求不満のせいであったからか。
私はまた常連客が二人歌った後、やはり有名なバラードロックを歌う。
イントロが流れるとすぐに、また常連客が女の子とチークダンスを始めた。
“だから、チークやるような曲じゃないって”と想いながら歌い出すと、ママが私に歩み寄って来て、抱き付いた。
ママとしての客寄せの社交辞令だろうが、悪い気はしない。
ママを抱き寄せて歌いながら、脳裏を過る妻の顔を掻き消して、胸元から覗く乳房の谷間を眼で愉しむ。
久しぶりに女性の肉体に触れ、股間の疼きを覚えるが、それ以上どうにかなるものではなかった。
歌い終えてカウンター席に戻ると、ママが私の隣に座った。
「歌、上手いんやね」
「昔バンドやってたから」
私のロックと自分の水割りを作りながら微笑むママの横貌を視ると、さっき感じたよりもさらにセクシーに視える。
「あら、私、○○のファンなんよ。今でもCD聴いてます」
私も好きなアメリカの有名なロックバンドの名前が出て、話が盛り上がる。
背後では、四人が賑やかに歌って踊ってはしゃいでいる。
どのくらい時間が経ったか、ママが腕時計を視て、背後の四人を振り向いた。
「最後一曲ずつね」
そして私に「“○○”歌って」と言い遺し、閉店の片付けでもするのか、カウンターの奥に消えた。
このまま帰っても寝付けないな、と想う。
ママを口説いて、という気もない訳ではなかったが、妻の顔が脳裏を覆った。
況して、今日の今日なんて、幾ら何でも。
一人でボトル半分程飲んだから、横になれば眠れるだろうと、歌い始めた。
常連客が会計を済ませ、女の子二人が店の外まで送る。
私は一人残され、仕方なく歌っていると、閉店準備が終わったのか、ママが奥から出て来て、再び私に抱き付いた。
ママが私の手を握った。
掌に何かの感触があった。
車のキー?
「お酒強いんやね。運転は大丈夫?」
「運転歴二十年、走行距離約五十万キロ。無事故多違反」
彼女の車で何処かに行こうと?
私は衝動的に洋服の上から豊かな乳房をわし掴みに揉み、項に唇を圧し当てた。
彼女は小さく喘いで私にしがみ付いた。
女の子二人が戻って来た。
「向かいの駐車場、赤のアウディ」
歌い終わると、ママが囁いて私から離れた。
会計を済ませて店を出て、向かいの駐車場に行く。
車など興味がなかったのでアウディがどんな車か知らなかったが、駐車場に赤の車は一台しかなかった。
キーを差し込んで捻るとロックが解除され、初めてこれがアウディと判る。
外車のはずだが、右ハンドルだった。
運転席に乗り込んでエンジンを掛けてみる。
外車は初めてで、ウインカーとワイパーのレバーが逆だったがすぐに慣れるだろう。
リクライニングにして眼を閉じると、妻の貌がまた脳裏を覆った。
ごめんなさい。
心の中で呟くと、助手席のドアが開いて彼女が乗り込んで来た。
妻の貌を掻き消し、手を引いて抱き寄せてキスを貪る。
一頻り舌を絡ませ合い、唇を吸い立てて離すと、彼女が熱く喘いだ。
「誰にでもこんな事するなんて想わんといてね。貴方が初めて」
過去にも、何度か聴かされたセリフだ。
「ああ」
エンジンを掛け直してリクライニングを戻すと、彼女も居ずまいを正した。
もう12時を回っていた。
彼女の指示に従って車を走らせ、中之島の有名なホテルの駐車場に入って車を停め、エレベーターで上層階で降りる。
彼女に従って部屋に入ると、スィートルームだろう、とんでもない広さの部屋にダブルのベッドが二つ。
カーテンを少し開き、大阪の夜景を眺める私に彼女が抱き付いた。
「ここは?」
「お店のスポンサーが年間契約してはって、会社に行く10時頃に来はるわ。もう年やから最近は何もせえへんけど。それまでに、ね?ベッド二つやし」
そう言いながら、私をベッドに誘う。
(続く)
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