記憶の中の女達〜(31)花のような美少女-第64話
作家名:淫夢
文字数:約3490文字(第64話)
公開日:2021年12月17日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
女性と部屋にいる時は何時も全裸でいるのが癖になり、独りでいる時も全裸で過ごすようになった私は、時計を視て、ティシャツとジーパンを着た。
千尋を全裸で迎える訳には行かない。
嫌がられたら、一生後悔する。
そして時計が4時を回った頃、ドアチャイムが鳴った。
跳び起きてドアを開ける。
「こんにちは」
千尋が通学用のバッグを片手に、一緒に食べようと買って来たのか、小さなケーキの箱を片手に持ち、恥ずかしそうに微笑んでいた。
やっぱり抱きたい。
千尋とセックスしたい。
いきなり、初めて千尋に対して性的な欲望が湧き起こった。
拒まれたら、その時はその時だ。
千尋が望まないのなら、許して貰い、セックスするのは諦めよう。
「お邪魔します」
おっとりと歩んで部屋に入り、テーブルの椅子の上にカバンを置き、ケーキの箱を私に渡そうと差し出した千尋の華奢な肩を、恐る恐る抱き締める。
千尋がテーブルの上にケーキの箱を置いて、私を抱き返して来た。
腫物に触れるように、唇を千尋の唇に重ねると、千尋が震える唇を軽く開いた。
許してくれるのか!
私の唇も震えていた。
私らしくもないぎこちないキスを暫く繰り返すと、千尋の方から私の唇を吸い立て、私の口に小さな舌を忍ばせて来るようになった。
意を決して、恐る恐る千尋の洋服を脱がせる。
「は、恥ずかしいっ」
恥じらいはしても、拒む反応は未だなかった。
淡いピンクの下着姿にしてベッドに横たえる。
削いだように細い腹部、しなやかな腕と脚、引き締まった太腿と尻肉。
キスを繰り返しながら震える手でブラジャーを外すと、千尋が小さく喘ぎ、腕で乳房を隠そうとする。
「は、恥ずかしいっ」
その腕をそっと剥ぎ取ると、つんと上向いた小振りだが型の良い乳房が現れた。
色白の肌の乳房の先端で、つんと上向いて尖った乳首の周辺に、産毛より少し濃い目の体毛が数本生えていた。
舌で軽く乳首を転がすと、恥じらいに裸身を捩るが、未だ拒む動きは視せなかった。
乳房を口一杯に含んで吸い立て、舌先で乳首を弾き、転がす。
「ああん」
“恥ずかしい”を繰り返していた千尋が、私の口に向って乳房を突き出し、初めて快感を訴え、熱い喘ぎを洩らした。
そのまま、ショーツを脱がそうとすると、千尋が尻肉を浮かせた。
厭ではないのだ。
「み、視ないでっ、は、恥ずかしいっ」
それでも、私の口に乳房を委ね、私の頭を抱えて引き寄せ、露わになった秘部を隠そうと太腿を交差させる。
モデルをしているからだろう、恥毛の叢は小さく処理されていた。
「は、初めてか?」
私らしくなく、声が掠れていた。
千尋が恥ずかしそうに私を視詰めてすぐに眼を閉じ、無言で美貌を横に振った。
処女ではなかった。
私より先に、この清純で美しい17歳を抱いた男がいる。
普段の私なら、激しく嫉妬する処だが、意外な事に嫉妬心は湧かなかった。
今は、これからは、私だけの千尋だ。
「あ、愛してる」
衝動的に告白した。
「わ、私もっ」
「は、初めてお前を視た時からだ」
「う、嬉しいっ」
官能に翳む眼で私を視詰めてすぐに閉じ、熱い喘ぎを洩らす。
愛おしさが込み上げて来る。
震える唇をきつく貪ると、千尋も私の唇を貪り、小さな舌を私の舌に絡ませて来て、私の頭に抱き着き、裸身を捩った。
首の後ろから腕を廻した掌で愛らしい乳房を揉み立て、硬くしこった乳首を指の間に挟んで転がしながら、もう片掌で女性器を包んで軽く揉み込み、指先で女陰の襞をなぞり上げた。
粘り気のある愛液に塗れた女陰の襞が開き、私の指を膣孔に導いた。
「い、いやっ、は、恥ずかしいっ」
二人の唾液に濡れた美しい唇が開いて、熱い喘ぎが洩れた。
しなやかな裸身を反らし、乳房と女性器を私の愛撫に向かって突き出す。
千尋が、私に抱かれ、愛撫されて感じてくれていた。
そして。
何故かこれから後の千尋とのセックスの記憶がない。
何度もセックスしたはずなのだが、その記憶がないのだ。
今でも、想い出そうとはするが、不思議でならない。
私の手と口での愛撫で、歪む美しい乳房、勃起した小さな乳首、柔らかく蕩け切り、愛液と唾液に塗れた女陰の襞、愛撫に反応してひく付く愛らしいクリトリスの記憶もある。
恥じらいながら控え目に快感を訴える喘ぎも、官能に歪む美貌も記憶がある。
しなやかな美しい裸身を痙攣させ、エクスタシーの絶頂を極めて叫んだ記憶もある。
私の勃起を咥えて歪む唇も、勃起の幹を這う舌も、そして精液を飲んでくれた後の恥じらう美貌も記憶にある。
しかし。
千尋の膣孔に勃起を挿入した、セックスそのものの記憶がない。
膣粘膜奥底で射精した記憶がないのだ。
セックスを堪能した後に、全裸のまま抱き合って余韻を愉しんだ。
千尋の裸身を抱いて“愛してる”と何度も囁いたし、私の胸に美貌を重ねた千尋にも何度も囁かれた。
部屋で一緒にいて、全裸で過ごした千尋は、愛撫し合っていない時は恥じらって、何時も乳房と秘部を腕と掌で隠して、ぎこちなく歩いた。
そんなセックスの前後の記憶はあるのだ。
千尋の尻肉の下から伸ばした手で乳房を揉み立てながら、女性器を口で愛撫した。
私の唾液と滴り溢れた愛液に塗れて妖しく蠢く女陰の襞とクリトリス、その上の恥毛の叢、その向こうで私の掌の愛撫に歪む美しい乳房とつんと上向いた乳首、乳房の谷間の向こうで熱い喘ぎを洩らし続ける愛らしい唇、込み上げる官能に細い眉を顰めて仰け反る清楚で上品な美貌。
私がセックスする際に、最も好む女性の恥態である。
この視覚的刺激が何時も、私の性欲を湧き起こした。
それ以前の女性とのセックスでも好んだが、この私の性癖を決定付けたのは、真に千尋であった。
大きく拡げた太腿で私の腰を挟み、千尋が快感に喘ぎながら裸身を捩らせ、仰け反らせた。
四つん這いで、引き締まった尻肉を突き出して振り立てた。
私の下腹部に跨って、私の掌に乳房を委ね、快感に美貌を歪めて喘いだ。
私の腕を両掌でわし掴みにし、潤んだ瞳で私を視詰めて快感を訴えた。
その記憶は蘇る。
しかし。
私の勃起が千尋の膣粘膜を貫いて抽送し、千尋がエクスタシーの絶頂を極め、私が千尋の膣内で、或いは千尋の乳房の上で、恥毛の叢の上で射精したはずだ。
そのシーンが記憶にないのである。
千尋は“R/Z”に日曜日の夕方に必ず来て、セックスはしなかったが、私と一緒に1時間過ごした。
“S”に行って飲んだり、他のジャズスナックで飲んだり、近くの居酒屋で飲んだりした。
そして、千尋は少しずつ酒が飲めるようになっていて、辛いウィスキーよりも甘い日本酒が好きだと言って、美貌を酔いに火照らせた。
その記憶もある。
私は、水曜日の午後は毎週必ず空けて部屋にいて、千尋がやって来て帰るまでの数時間、二度、三度とセックスしたはずだ。
帰る時、キスを貪り合っていて、“帰りたくない”と訴えた千尋と、玄関先で立ったまま、洋服を着たままでセックスした事もあったはずだ。
丁度水曜日に重なった私の23歳の誕生日、千尋の授業が終わった後、渋谷駅で待ち合わせ、千尋がギターのストラップを買って、プレゼントしてくれたのも、憶えている。
そのストラップは、大阪に移住してまもなく、昼火事に遭って焼けてしまうまで、ずっと使った。
千尋が冬休みになった水曜日、朝から原宿駅で待ち合わせ、竹下通りから表参道、青山通りを散策し、Vレコードのあるビルの二階のガラス張りの喫茶店で、昼食を摂った想い出は残っている。
新雪が降り積もった西口公園を、はしゃぎながら抱き合って歩いていて、一緒に滑って転び、視詰め合って大笑いした記憶もある。
そして、もう一つ、脳裏に焼き付いて離れない場面。
千尋と出遭って5ヶ月、交際うようになって4ヶ月ほど経った2月のある寒い日、クリスマスイヴに出遭い、意外な展開でセックスし、交際うようになった少女と抱き合って新宿通りを歩いていた夜、不幸にも、歩いて来た千尋とばったり出遭ってしまう。
千尋が凍り付いたように立ち止まり、美貌を強張らせた。
千尋は眼に涙を溢れさせ、悲しみに美貌を歪め、背を向けて小走りに去って行った。
そのシーンである。
千尋とのセックスを想い出そうとする度、そのシーンが必ずダブって脳裏を覆うのである。
清楚で純粋で、美しかった千尋を酷く傷付けた。
そして、自業自得だが、千尋を悲しませた事で私自身も酷く傷付いた。
その事が、もしかして、彼女とのセックスのシーンを記憶から削除してしまったのかも知れない。
私が、自分の淫蕩癖のせいで愛する女性を失ったのは、生涯を通して千尋が最初で最後である。
そして、深く愛し、愛され、数え切れない程愛撫し合ったのに、何故かセックスそのものだけが想い出せない、不思議な女性である。
(続く)
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