記憶の中の女達〜(30)美しくなかった美少女-第61話
作家名:淫夢
文字数:約3490文字(第61話)
公開日:2021年11月26日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
「で?おれに相談って?まさか、結婚した方が良いのかどうか、なんて話じゃねえだろうな?そんなのおれが決められるか」
沙和が少し宙を視詰めてから私を視た。
「そうね。マスターの意見を聴くつもりだったけど、それでも、やっぱ、私が自分で決めるしかないよね」
沙和の呂律が回らなくなって来た。
「でも良いや。マスターに話して気持ちが楽になった」
「お前、川崎だろう?電車なくなるぞ」
店内の時計を視て、沙和を促すと、今度も沙和が金を払い、一緒に出る。
よろけるように歩く沙和を気遣っていると、私の腕に腕を回して来た。
肘に、それ程豊かではないが硬い乳房が触れて擦れる。
抱いてみたい。
欲望が湧き起こる。
しかし、親しい常連の恋人だ。
私はその欲望を抑えた。
「待って。ママに電話する」
公衆電話の前で立ち止まった沙和から少し離れて待つ。
沙和が受話器をおいてすぐに歩み寄り、今度はバッグを肩に掛け、両腕で私の腕を抱えた。
「友達の処に泊まるって言っちゃった」
再び沙和の乳房を肘で感じながら歩き出す。
「友達の家って何処だ?」
「マスターの部屋って西新宿だよね」
沙和が私の腕を抱いた腕に力を込めた。
おい!
願ってもない展開だったが、Kの人懐っこい笑顔が脳裏に浮かぶ。
泊めるだけなら。
いや、我慢出来るか?
出来ない。
いや、沙和はやっぱりだめだ。
自問自答しながら、タクシーを拾って部屋に帰る。
他の女ならすぐに抱き寄せてベッドに圧し倒す処だ。
男根はいきり立っていたが、性欲がイマイチ盛り上がらない。
気を紛らわせようと、演奏が複雑なYESの“Close to the Edge”を掛ける。
余り近い処にいない方が良いな。
沙和がテーブルの椅子に腰掛けたので、私はベッドに腰掛ける。
もう少し酒を飲もうと立ち上がった時、沙和が立ち上がって私に抱き付き、そのままベッドに仰向けになった。
「して」
「良いのか?」
沙和の表情を窺う。
酔ってはいるが、真剣なようだった。
「別れるから、踏ん切りを付けたいの」
沙和が私の唇に震える唇をぶつけて来た。
過去に、一度だけセックスした何人かの女性から聴かされた言葉だった。
それなら、沙和とセックスしても良い。
すまんな。
私は脳裏に浮かんでいたKの笑顔を掻き消した。
優依も、私を諦める為に男に抱かれたのだろうか?
Kの笑顔の代わりに、優依の愛らしい笑貌、官能に塗れて熱く喘ぐ美貌、私の愛撫に反応して妖しく悶えさせる裸身が浮かんだ。
今更、だな。
私はキスを貪りながら、沙和に集中した。
少しの間キスを貪りながら、ティシャツの裾をたくし上げ、ブラジャーの上から沙和の乳房を愛撫する。
沙和のキスは、想った通り、それ程上手くはなかったが、情熱的だった。
恐らく、Kが最初の男性で、その後もK独りなのだろう。
鼻息を粗くして私の唇を吸い立て、唇をこじ開けて挿入した舌を吸い立て、舌を絡めて来る。
ティシャツを脱がして淡いグリーンのブラジャーを外して、小振りだが型の美しい乳房を口に含んで吸い立てると、愛らしい乳首が舌先で硬く凝った。
ショーツを脱がすと、その下で透けていた恥毛の叢が現れた。
Kが以前、沙和の水着姿の写真を何枚も自慢そうに私達に観せてくれたように、沙和は水着を着る時の為に、恥毛の叢を小さく整えていた。
女性器を掌で覆って軽く揉み込みながら、二本の指で女陰の襞をなぞる。
「ああ、い、良い」
沙和が熱く喘いでしなやかな裸身を反らし、私の口に乳房を圧し付け、掌に向って女性器を突き出す。
滴り溢れた愛液に滑る女陰の襞が蠢いて、力を籠めていないのに二本の指先が膣孔に潜り込む。
「ああ、そ、そこっ」
沙和がしなやかな太腿を開いて引き締まった尻肉を浮かせ、私の掌に向かって女性器をさらに突き出した。
膣孔に咥え込まれた二本の指を軽く蠢かせてやる。
「お、お口に」
沙和が私の勃起を欲しがった。
私は乳房と女性器を愛撫したまま、片手で洋服を脱ぎ、沙和と逆向きになった。
沙和が私の勃起を握り締め、熱い喘ぎを洩らす唇を先端に被せた。
私の二本の指を咥え、愛液を滴らせて蠢いている膣孔の上で、鮮やかなオレンジ色の膣肉が濡れ光って引き攣り、その頂上でピンク色のクリトリスが勃起してひく付いている。
その上で、小さく整えられた真っ黒な恥毛の叢がそよぎ、剃った後の短い恥毛の名残が真っ白な恥丘の肌に食い込んでいる。
その先に、横を向いてわずかに歪んだ型の良い乳房が粗い息遣いに揺れている。
その向こうで沙和の美貌が視え隠れしていた。
私は沙和の女陰を口と指で愛撫しながら、沙和がフェラチオをする表情を窺った。
沙和が私の勃起を唾液塗れにして吸い立て、舐め上げ、窄めた唇で扱く。
意外な事に、美しい沙和のフェラチオをする表情は美しく視えなかった。
それは初めての経験だった。
それまで、美貌の女性がフェラチオをする表情は当然のように美しいと感じていた。
いや、それ程美人でなくともフェラチオをする表情が美しいと感じる女性もいた。
勿論、勃起を口に深く咥え込むと唇が異様に拡がり、吸い立てると頬が歪み、吐き出して喘ぐ時には口許が緩む。
官能に喘ぐ際には眉を顰め、眉間に皺が寄る。
しかしその淫猥な表情さえ、美しく視えるものだった。
私は、セックスの際には大抵、フェラチオでの直接的な勃起への刺激よりも、むしろフェラチオにのめり込んでいる女性の官能的な表情の美しさに、性欲を湧き立たせていた。
沙和の美貌は、残念な事に、むしろ醜くさえ感じられたのだ。
私は勃起が萎えそうになるのを感じ、慌てて視線を女性器に戻し、指で膣孔を愛撫しながら口でクリトリスを愛撫した。
「良い」
「それっ、感じるっ」
沙和が私の愛撫に反応して裸身を何度も反らして悶え、こみ上げる快感に勃起から口を離し、熱く喘いだ。
気持ちは醒めてしまったが、女性に対して常に律儀な勃起は醒めてはいない。
早く終わらせよう。
私は沙和を仰向けにして太腿を拡げて抱え、膣孔を勃起で一気に貫き、抽送した。
「すごいっ、良いっ」
沙和は、私の抽送に併せて女性器を突き出し、引き締まった尻肉を浮かせて振り立てた。
湧き起こる性欲に導かれて妖しく蠢く裸身は美しかった。
しかし、快感に喘ぐ沙和の表情も美しくは視えなかった。
どうしてなのだろう?
普段の沙和は、笑貌は勿論、話し振りも立ち振る舞いも愛らしかった。
私が沙和を愛していないからか?
いや、こんな出遭いがしらの、愛してもいない女性とのセックスは何度も経験した。
そして、それぞれの女性が官能の虜になって熱く喘ぐ表情を美しいと感じていた。
美しい沙和の、醜い官能の表情を視たくない。
私は再び勃起が萎えそうになるのを感じて、沙和を四つん這いにし、一気に勃起を躍動させた。
「イ、イクわっ、イ、イッてっ、中に出して、イクイクイクーッ」
沙和が美しい裸身を激しく痙攣させ、エクスタシーの絶頂を極めて膝を伸ばし、うつ伏した。
私は引き締まった沙和の尻肉をわし掴みにし、その狭間に勃起を深くめり込ませ、夥しく射精した。
エクスタシーの絶頂を極めて、夥しい愛液に潤った熱い膣粘膜の蠢きの中でさえ萎えてしまった私の男根が、閉じた尻肉の狭間から抜け出る。
沙和を横抱きにして表情を窺っていると、次第に官能の色が消えて行った後は、普段通り、美しかった。
Kは沙和と何度もセックスしていて、カメラマン目線で、美しい沙和の美貌が官能に塗れて起こる変化に気付かなかったのだろうか?
翌朝、ベッドで目覚めた時、腕の中で寝息を立てている沙和の貌も、やはり美しかった。
もう一度セックスしたい。
性欲が湧き起こる。
美しい乳房を軽く愛撫してやると、目覚めた沙和が、キスを欲しがった。
キスに応じてやり、乳房への愛撫を強くしてやると、沙和も性欲が湧き起こったのだろう、しなやかな脚を私の脚に絡め、触れた女性器を頻りに、私の太腿に擦り付け始めた。
私の太腿が、沙和の女陰から溢れ滴った愛液に濡れ、滑った。
しかし、やはり、沙和の美貌が官能に染まり、熱く喘ぎ始めると、次第に醜く視え始めたのだ。
やはり、醜い沙和など視たくなかった。
沙和は、私の中で、愛らしいままの美少女でいて欲しかった。
「用があるから、出掛けるぞ」
私は時計を視て愛撫を中断し、沙和を風呂に誘った。
沙和は不満そうにしたが、何も言わずに従った。
その後、沙和が私の前に現れる事はなかった。
尤も、最初から沙和は何時もKと一緒でなければ“R/Z”に来る事はなかったのだからだが、意外な事に、何故かK自身も“R/Z”に来る事がなくなっていた。
まさか、沙和が私とセックスした事をKに話したのか?
いや、そんなはずはない。
と、想いたかった。
結局、二人がその後どうしたのか、判らないままである。
(続く)
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