記憶の中の女達〜(27)不思議な箱入り娘-第55話
作家名:淫夢
文字数:約5380文字(第55話)
公開日:2021年10月15日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
あっと言う間にラーメンを平らげて、部屋に帰る時、美紀が再び腕を絡めて来た。
片手で持っていた大きなバッグを肩に担ぎ、両腕で私の左腕を抱えるようにした。
美紀の引き締まった二つの乳房に私の肘が擦れる。
それでも未だ、性欲は湧かない。
部屋に戻って、キッチンにあるボトルからウィスキーをグラスに注いで一口飲む。
少しだけ、冷静な自分を取り戻す。
美紀にはもう飲ませなくても良いだろう。
「これが、お兄ちゃんの部屋なのね」
部屋では常に裸族の私だが、幾ら何でも、この状況では全裸にはなれない。
本当にセックスするのかどうかも判らない美紀を全裸にするのも、未だ早過ぎる。
美紀を視ると、物珍しそうに部屋中、と言っても、仕切りのないキッチンを併せても10帖しかないが、歩き回って、ギターやアンプに触れたり、オーディオキットの横に立て掛けているレコードを手にして視詰めたりしている。
さて、どうするか?
取り敢えず、気晴らしに、何かレコードを掛けようとした。
「電話借りまーす」
美紀が大きなバッグをテーブルの椅子の上に置いて電話のダイヤルを回した。
本当に?
ママに電話するのか!
「美紀です。はい。はい。そうする。うん。お兄ちゃんに代わりまーす」
美紀が嬉しそうに受話器を私に突き付けた。
うそっ?
私が?
ママと?
ほんとにお話するの?
「か、代わりました」
また、自分を見失いそうになる。
「お兄ちゃんですか?この度は娘がお世話になります。娘ったらね、何時もお兄ちゃん、お兄ちゃんって、あなたの事ばかり話すんですのよ。私も何度か、一緒にお兄ちゃんのお店に伺いましたわ。あら、私ったら、私までお兄ちゃんって」
お世話になりますって、何のお世話するんだよ?
屈託のない、それでいて上品な母親の話し声。
私の母親と大違いだ。
「今夜は娘がわがまま申しまして。ご迷惑お掛けしましたら、叱ってやって下さいね。宜しくお願いします。では失礼します」
美紀の母親が一方的に喋って、一方的に電話を切った。
私は“はい”、“いいえ”と相槌を打っただけだった。
勝手に失礼するなよ。
ご迷惑はお掛けされていません。
いませんが、振り回されています。
しかし、何なんだろう。
大切であろう世間知らずの箱入り娘が、愛する男性でもない、それもセックスフレンドが何人もいる放蕩男だと知っていて、私の部屋に泊まる。
それを承知のうえで、母親が“宜しくお願いします”って?
何処か、何かがおかしい。
キッチンでもう一杯ウィスキーをあおり、美紀と入れ替わりにトイレに行って戻ると、美紀が私のベッドに横たわり、タオルケットを掛けていた。
全裸だ!
イスの上の大きなバッグの上に、洋服がきれいに畳んで置かれ、その間に淡いピンクのショーツとブラジャーが隠されていた。
母親が嗜みとして教えたのか。
やはり、本気で私とセックスするつもりなのだ。
私は未だ躊躇していた。
George Harrisonの“All things must pass”を掛けて、グラスのウィスキーを飲み干し、美紀を視る。
タオルケットの裾からしなやかな脚が伸びていた。
美紀が両掌で貌を覆っている。
その手がかすかに震えていた。
美紀がその気で全裸になっているなら。
私は全裸になってタオルケットをめくり、美紀の傍に横たわった。
「は、恥ずかしいっ」
美紀が貌を両掌で覆ったまま声を震わせ、しなやかな裸身を捩った。
仰向けになっても型の崩れていない愛らしい乳房と、未だ生え揃っていないのだろう、疎らな恥毛の叢が一瞬覗けた。
処女か。
尻肉の下にはバスタオルを敷いていた。
やはり、母親が教えたのだろう。
バスタオルを持って来るのに、大きなバッグを持っていたのか。
裸身に私の裸身が触れると、美紀が一瞬びくっと震えた。
未経験なのが明らかに判る。
真澄、優依、智恵美。
3人の処女の女性とセックスしたが、美紀の場合、どうもシチュエーションが違う。
「話せるなら、先に事情を話せ」
そっと髪を撫でながら、美しい髪にキスをしてやる。
美紀が両掌で貌を覆ったまま、愛らしい唇を震わせた。
「は、半年前に、知らない人にストーカーされて、学校の帰りに、こ、公園で、レ、レイプされそうになったの」
レイプだと!
こんな清純で無垢な美紀を!
「わ、私、お、男の人が、こ、怖くなって。学校にも独りで行けなくなって。でも、私の様子を看に来てくれていた友達が、ある時、お兄ちゃんの事やお兄ちゃんのお店の話、楽しそうに話してくれて、一度連れて行ってくれたの。私、お兄ちゃんを一目視て、お兄ちゃんに抱かれたら、男の人が怖いのがなくなるって感じたの。
それでママにお兄ちゃんの事話したわ。最初はママも呆れたり怒ったりしたけど、私があんまり言うから、お兄ちゃんのお店に何度か一緒に行ってくれたの。それで美紀が後悔しないならって、認めてくれたわ」
美紀の眦から涙が幾筋も滴った。
「どうしておれならって想ったんだ?」
「お、お兄ちゃんは、な、何て言うのかな。だ、男性の雰囲気がないの。だから怖くないの。お店でもお兄ちゃんと何度か傍で話した時も全然怖くなかった。ママもお兄ちゃんを何度も視て何度か話して、同じように感じるって言ったわ」
以前セックスした女性の何人かにも同様の事を言われた。
私が男臭くなくて女性的だから、気軽に抱かれる事が出来ると。
美紀は気軽に、ではなかろうが、私なら、と感じたのだろう。
私を“お兄ちゃん”と呼ぶのも、男性としてではなく、兄妹のように親しく感じたかったのだろう。
「それは、別に、セックスしなくても、おれと兄妹みたいに交際っても、馴れて来るんじゃないのか?」
愛らしい美紀の美しい裸身を抱いていながら、私らしくなく、殊勝な気持ちになっていた。
「わ、私、お、お兄ちゃんが、す、好きだから、し、して欲しい」
美紀が、貌を覆っていた両手を伸ばして私に抱き着いた。
「ほんとに?」
「う、うん。マ、ママにも、は、話したよ」
「判った。厭だったら厭って言え」
気持ちを解してやろうと、壊れ物に触るように横抱きにして、唇を啄むようにしてから軽く貪ってやる。
キスを繰り返しているうちに、硬かった唇が柔らかく解れ、美紀の方から遠慮がちにではあるが、私の唇を求めて来るようになった。
美紀が甘い鼻息を洩らすようになってから、タオルケットを剥がす。
美紀が裸身を隠すように捩り、再び両掌で美貌を覆った。
「は、恥ずかしい」
小振りだが引き締まった乳房の頂上で、色素沈着のほとんどない小さな乳首が硬くしこっていた。
か細い肩、削いだように細い腰、引き締まった尻肉、輝くような白い肌。
美紀の表情を窺いながら軽く乳房を掌で撫でてやる。
美紀が裸身を小さく反らしたが、すぐに私の愛撫に併せて乳房を突き出した。
快感が湧き起こっているのだろう、美紀が熱い喘ぎを洩らし始めた。
恥毛の叢にキスをしながら両脚を拡げ、引き締まった尻肉の下から伸ばした両掌で乳房を愛撫し、乳房の谷間の向こうの美紀の表情を窺いながら、女性器全体を口に含んで愛撫してやる。
初めて処女とセックスした真澄の女性器と同じ、イカのスルメのような匂いがした。
勿論、厭ではない。
「お、お兄ちゃん、よ、汚れてるよっ」
「お前のおま〇こなら汚くない」
丁寧に愛撫してやったせいで、快感を覚えて来たのか、女陰を吸い立てると、粘り気のある愛液が口の中に拡がる。
「お、お兄ちゃん、だ、大丈夫よ。こ、怖くないから、き、気持ち良いから」
精神的にも解れて来たようだ。
尚も、女性器全体を解すように吸い、女陰の襞とクリトリスを舌で軽く撫でるように舐め上げる。
未だ発達し切っていないのであろう女性器の膨らみを中心に、潜んでいるような薄く細長い女陰の襞が柔らかく解れて開き、膣孔の窪みの周囲を、媚肉のオレンジ色とは異なるホワイトピンクの襞が取り囲んでいた。
やはり、処女か。
強い刺激は却って拒絶反応を起こしそうだ。
最初は強張っていた裸身から力が抜けて尻肉を浮かせ、私の愛撫に次第に反応して女性器を突き出し、揺らし始めた。
「ああーん。お、お兄ちゃん。き、気持ち良いよう」
膣孔から溢れ滲み出る愛液が口の中に充ちる。
美紀の女陰が私の口の中で蕩けるように解れ、粘り気のある愛液が滴り溢れて私の口の中に流れ込んで来る。
眼の前で、オレンジピンクの小さなクリトリスが愛撫に反応してひくつき、その上に未だ生え揃っていないであろう恥毛の叢が震えている。
その叢の陰から、私の掌の愛撫に型を歪める愛らしい乳房、その谷間の向こうに、熱い喘ぎを洩らし続ける小さな唇と、細長い眉を顰めて官能に染まる美紀の美貌。
何時ものように、この態勢で女性を愛撫していると、射精感が湧き起こって来る。
もう大丈夫だろう。
挿入して出来るだけ急いで射精してやろう。
私は美紀に覆い被さって唾液と愛液に塗れて解れた女陰を別けて、膣孔に勃起の先端を宛がった。
美しい髪の毛を撫でてやりながら、もう一度唇を貪る。
「良いんだな?」
美紀が官能に歪む美貌を何度も縦に振って熱く喘いだ。
「中に出しても大丈夫か?」
私の首にしがみ付いた美紀が、今度は深く頷いた。
「痛いだろうけど、すぐに終わらせるから、我慢しろ」
「は、はい」
美紀が、少し怯えたように美貌を強張らせた。
挿入する前に、もう一度乳房を柔らかく愛撫しながら長いキスをしてやる。
美紀が再び裸身から力を抜いて、熱く喘ぎ始めた。
処女とセックスするのは、真澄、優依、智恵美、そして美紀が4人目だった。
要領は心得ている。
私は、美紀の引き締まった尻肉を引き寄せて抱え、一気に腰を入れて勃起で膣粘膜奥底まで貫いた。
美紀が手の甲で唇を抑えて声にならない叫びを上げ、美貌を苦悶に歪めて裸身を仰け反らせ、腰を引いた。
しかし、すぐに、私に強くしがみつく。
私は美紀の尻肉を抱えて勢い良く躍動し、美紀の窮屈な膣粘膜奥底に精液を噴出させていた。
射精が収まった勃起をすぐに抜き取ってやる。
尻肉の下に敷いたバスタオルに、処女の鮮血が滲んでいた。
美紀を抱いて浴室に入る。
お湯を溜めている間に、シャワーで勃起を洗い、美紀の女性器を洗ってやる。
女陰に指が触れた瞬間、勿論痛むのだろう、美貌を顰めて尻肉を引く。
「ああん」
腫物に触るように女性器を洗ってやると、膣粘膜から流れ出た私の精液が指に絡んだ。
湯船に入り、美紀を誘って腰を跨らせて抱き締める。
何時もなら、女性を背後から抱き、乳房と女性器の感触を愉しむのだが、今は美紀の笑貌を視ていたかった。
「あ、ありがとう。お、お兄ちゃん」
美紀が瞳を閉じて恥じらいながらも、初めて自分からキスを求めて来た。
愛らしい唇を吸いながら、軽く開いて舌をそよがせると、美紀が鼻を鳴らして舌を絡める。
再び官能の色を浮かべた美紀の美貌を目の当りにして、美紀の尻肉に触れている男根に力が漲る。
しかし、セックスは出来ないだろう。
美紀にフェラチオを教えてやらせ、美紀の口の中で。
卑しい欲望が湧き起こるが、処女を失ったばかりの子供のような美紀に、それを要求するのは、可哀想だ。
また、男性恐怖症がぶり返すかも知れない。
何時か、また逢えたら、その時に。
我ながら、なかなか立派な心掛けだ。
美紀が私の恋人になってくれたら。
愛おしさが込み上げて来る。
しかし、何となく、美紀とのセックスはこれっきりになりそうな予感はあった。
何と言っても、私は美紀の“お兄ちゃん”だ。
「痛むか?」
痛みからか、セックス出来た安堵からか、美紀の眼尻から涙が伝った。
「痛いけど、大丈夫。何時か経験するんだから。お、お兄ちゃんで良かった」
私は美紀の乳房を軽く愛撫しながら、飽く事無くキスを繰り返した。
朝、目覚めた時、美紀は先に起き、既に洋服を身に着けて椅子に掛け、Air Supplyのベスト盤を聴いていた。
何だ。
それも母親が教えたのか。
もう一度、セックスしたかったが、勿論未だ痛むから無理だろうと、自分を諫める。
それでも、美紀の美しい裸身を愛撫してやり、官能に喘ぐ愛らしい表情を、もう一度眺めていたかった。
“R/Z”に行く途中、新宿駅で別れる。
「お兄ちゃん。ありがとう。う、嬉しかった」
美紀が恥ずかしそうに微笑み、歩きながら何度も振り返り、小さな手を振った。
やっぱり“お兄ちゃんか”。
良い女になるだろうな。
私は無言で、美紀の愛らしい笑貌を脳裏に焼き付けながら、美紀の背中を見送った。
期待していたが、その後、やはり、美紀が“R/Z”に来る事はなかった。
三ヶ月ほど経った。
美紀から小荷物が店に届いた。
開けてみるとクッキーの詰め合わせだった。
そして手紙が2通。
“お兄ちゃんのおかげで毎日普通に学校に行けるようになったよ。知らない男の人とも普通に話せるようになった。ありがとう。お兄ちゃんの貌視るの恥ずかしいし、お兄ちゃんの周りの女の人視ると負けそうになるから“R/Z”には行かない。美紀がもっと良い女になれたと感じたら行くかも。それまでやり過ぎに気を付けてね。バイバイ”
“前略 お元気で御活躍の事と存じます。あなたのおかげで美紀が視違えるように明るくなりました。親として間違っているのでは、と悩みましたが、美紀を、そしてあなたを信じて、良かったと、 今は安堵しております。このご恩は美紀共々一生忘れません。本当にありがとうございました。今後の益々の御活躍をお祈りしております。草々 ”
感謝してるなら、クッキーじゃなくて酒くれよ。
(続く)
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