記憶の中の女達〜(23)「私がヌイてあげる」-第46話
作家名:淫夢
文字数:約3460文字(第46話)
公開日:2021年8月13日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
私が智恵美に洩らし、彼女とセックスし、それを彼女が言いふらしたせいで、彼女の同級生達の口から、私が優依と別れた?フラれた?
事は、“R/Z”の常連客、さらに伝播して“S”の常連客の間にも、3日もしないうちに広まった。
“R/Z”には、50人くらいの、常連の女の子達が作った優依のファンクラブがあった。
あんな可愛い優依にフラれて可哀想、あんな素敵な恋人なんて二度と現れないと、私に同情する者も僅かだがいた。
しかし、大半が、優依が私から離れて行ったのは、私の淫蕩のせいだと一斉に私を責め、優依が、私と別れた方が幸せになる、と主張もした。
優依が私に結婚を求めたのは、勿論、誰にも話してはいなかった。
責められても、どうしようもないものはどうしようもない。
フラれたのは私の方だ。
私だって傷付いているのだから、ほっといて欲しい。
しかし、智恵美とセックスして以来、優依にフラれるまでの1年半も閉じ籠もっていた淫蕩の虫が再び動き始めた。
ある日、貴子が来てカウンターに座った。
ここ半年くらい、週に2度くらいのペースで“R/Z”に来ていた。
彼女のボトルを出して水割りのセットをしてやる。
「優依ちゃんにフラれたんだって?」
またか。
貴子は新宿にある広告代理店のOLで24、5歳くらいだった。
美人というほどではなかったが、薄化粧でも貌立ちがセクシーで、ただ残念な事にグラマーであった。
「はいはい。見事にフラれましたです」
貴子が自分の水割りを作った後、カウンターの上の私のグラスにウイスキーを注いでくれた。
「優依ちゃん、良かったわね?」
貴子が勝手にグラスを重ねた。
「何がよ?」
「このままマスターと交際ってたら不幸になるに決まってるもの」
貴子が意地悪そうに微笑んだ。
「何で?」
「マスターが優依ちゃん独りで我慢出来る訳ないじゃない」
「そんなことねえよ」
「うそ」
「ほんとだってば。優依と交際ってた間、他の女抱いた事なんてねえよ」
私は少しむきになった。
「へえ。まあ、信用してあげる。で、今は?もう欲求不満でウズウズしてるでしょう?」
貴子が意地悪そうに微笑んだまま、言った。
何だ?
セックスしてくれるのか?
「ご推察通りでございます。精液が溜まって爆発しそうになっておりますです」
それは確かに本音だった。
智恵美とセックスしてから、一週間もセックスしていなかった。
「やっぱそうでしょう?しょうがないわね。今夜は私がヌイてあげる」
本気か!
「はい。よろしくお願いします。お姉さま」
冗談ぽく返した。
からかってるんじゃないだろうな?
貴子の貌色を窺うと、平然と微笑んでいた。
6時で仕事は終わり、私がカウンターから出ると、貴子が水割りを飲み干し、レジで支払いをした。
“R/Z”を出て“S”に行く。
貴子は、元々“S”の常連で、“S”の連中が飲みに来た時に一緒に来て以来、“R/Z”にも来るようになっていた。
カウンターにいたF、S、奥のボックスで飲んでいたHとその一味が一斉に私をからかった。
「おー。優依ちゃんにフラれたんだってな?」
「優依ちゃん、おめでとー」
「お前、可哀想になー」
声を揃えるんじゃない!
「うるせー!」
私はカウンターに座った。
Fが貴子のボトルと私のボトルを出す。
「ねえ、ほんとバカだわ。あんな素敵な子逃すなんて」
貴子は私の隣に座った。
「しょうがねえだろ。おれがフッた訳じゃねえ」
私は嘯いたが、Sが追い打ちを掛ける。
「でも、原因はお前だろ?」
「判ってるよ。ったくもう。どいつもこいつも。人の不幸を肴に酒飲むんじゃねえ」
「人の不幸は蜜の味ってな。お前が優依ちゃんみたいな良い子にフラれたって、美味過ぎるぜ」
私のボトルが空になったのを視たFが、新しいボトルを出して笑った。
「おれはまたヤリ放題ヤッてやるんだ」
自嘲的に言い放って貴子に抱き着いた。
「あら、私?嬉しいわ」
貴子が逃げようともせずに笑って私に抱き着いた。
「お前が改めて宣言しなくても、皆判ってるよ」
奥からHが大声で笑った。
他愛ない話を肴に小一時間ほど飲んでいると、貴子が私の脇腹を肘で小突いた。
一緒に会計をして、“S”を出る。
「何処でヌイてくれるんだ?」
腕を絡めた貴子の乳房の豊かさを肘に覚えると、久し振りの刺激に股間が疼き出す。
「終電までに帰りたいから、近い方が良いわ。ホテル行こう」
何時も行く新宿2丁目のラブホテルに入る。
ここは休憩で2,000円、泊まりで3,000円だった。
私は女性とホテルを利用する際に、ホテル代をほとんど払った事がない。
大抵女性の方が払ってくれていて、優依でさえ、時折ここを利用する時は、モデルのギャラ収入がある優依がホテル代を払った。
“R/Z”の常連は皆、私が楽器のローンで慢性の金欠症だと心得てくれていた。
「出すわよ」
貴子が料金を払うと、小窓から何時ものおばちゃんが上目遣いに私を視た。
「あら、珍しいわね」
黙ってろよ。
普通は、客にそんな事言わないだろう。
貴子が声を上げて笑った。
部屋に入ると、貴子が私に抱き付いて来た。
眼を閉じて貌を上向けた貴子の軽く開いた唇を貪る。
キスを貪りながら洋服を脱がし、濃紺のブラジャーのホックを外し、弾けるように飛び出して揺れる二つの豊かな乳房を両掌で揉み立てながら真中に寄せ、豊かな乳房のわりに小粒な乳首を両方同時に口に含んで吸い、舌先で弾き転がす。
久し振りの乳房、久し振りの巨乳が掌に重量を伝える。
「ああ、両方の乳首を一緒になんて、感じるわ。こんなの初めて。さすがね」
貴子が喘いで私の口に向かって乳房を突き出した。
「こんな風にされた事ないのか?」
貴子は普段から明け透けな物言いをする女性で、“S”で酒を飲みながらの猥談にも平然と加わっていた。
「初めてよ。マスターはセックスが上手だって聴いてたから、一度で良いからマスターとしてみたかったの」
一度で良いから?
してみたかった?
私は何故か、一度セックスしただけで終わりになった女性が沢山いた。
真の理由は判るはずもないが、彼女達の言い分は。
「一度だけしてみたかった」
「初めての時は」
「恋人と別れるから」
「故郷に帰るから、最後に」
「結婚する前に、一度」
「人生をやり直したいから」
長く交際った女性も勿論いるし、後に、結婚も二度した。
一度目は3年で私の方が耐え切れず離婚したが、二度目は幸か不幸か、未だ続いている。
従って、私の性格や言動に何か問題があったとは想えないし、セックスは尚更満足してくれていたはずだ。
「一度だけかよ?」
貴子もその言葉通りなのだろうか?
しかし、この期に及んで、一度で終わりなら止めて帰る、という訳には勿論行かない。
逆に、一度だけなら尚更、想いっ切り貴子とのセックスを愉しみたい。
「マスターのセックスって、女を夢中にさせるって聴いたから。二度三度したら、私、のめり込みそうで怖いの」
「ご期待に沿うかどうか、ね」
貴子をベッドに圧し倒し、ショーツを脱がせる。
濃紺のショーツの下に隠れていた、手入れされた恥毛の叢が揺れる。
尻肉の下から伸ばした両掌で、仰向けになっても型の崩れない豊かな乳房を愛撫しながら、女性器全体を口に含む。
貴子の女性器の淫猥な匂いと既に溢れ滴っている愛液の味も、久し振りに成熟した女性とセックスする私の性欲を一気に刺激する。
「ああ、よ、汚れてるのに」
貴子が恥じらいを浮かべた表情で喘ぎ、腰を引こうとする。
「汚れてる方が美味しいんんだ」
私は彼女の乳房を引き寄せるように力を込めて揉み立て、女性器の愛撫を続けた。
私が女性とセックスする際に必ず、洗う前の女性器を愛撫するのは理由があった。
性病に罹っている女性器は膿やオリモノがあって、匂いを嗅いだだけで貌を背ける程の酷い悪臭がするから、シャワーを浴びる前に女性器の匂いを嗅ぎなさいと、セックスの師匠であったピンサロのおねえさんに教えられていた。
また、石鹸で洗い浄めた後の、それこそ無味無臭の女性器より、女性によって異なる女性器の淫猥な匂いと味を愉しむ事で性的な刺激を受けるのも、私の嗜好だった。
乳房への愛撫を中断し、女陰の襞とクリトリスを吸い立て、舐め上げながら全裸になる。
貴子が尻肉を浮かせて女性器を私の口に向かって突き出す。
その尻肉の下から伸ばした両手で豊かな乳房を愛撫する。
私の唇と舌の愛撫に蠢く女陰と勃起したクリトリス、その上に生え繁った恥毛の叢、その向こうで私の掌に型を歪める乳房、その谷間から覗く、熱い喘ぎに唇を閉じる事が出来ない風情で歪む貌。
私が女性とセックスする際に、最も好む光景になっていた。
この視覚的刺激に拠って私の心に性衝動が生まれ、男根の付け根に疼きが生まれ、勃起する。
(続く)
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