記憶の中の女達〜(17)「初めての時は馴れた男性と」-第34話
作家名:淫夢
文字数:約3240文字(第34話)
公開日:2021年5月21日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
ロックスペースのオープン日が決まった。
1971年12月12日。
私の人生を決定付けた日だ。
名前は“R/Z”。
改装も関係者全員が納得出来るものだった。
広告用のマッチや外看板、置き看板も出来た。
什器備品も揃い、メニューも決まった。
オーナーのアイディアで、コーヒー、紅茶、コーラの100円券を1万枚作り、アルバイトをしてくれる事になったDJくんの友人の大学生達と配りまくった。
デザインと印刷は、“S”で知り合った、後に、ロック雑誌“R/O”の中心メンバーになった写植屋YKが引き受けてくれた。
全て順調に進んでいた。
11月末に3日間開催した“R”の店仕舞いパーティーも大盛況のうちに終わった。
おばちゃんもおねえさんも来てくれ、二人共、大勢の人目を憚る事無く、私に抱き着いてキスを交わした。
“R/Z”の事を話して、遊びに来てくれと薦めたが、自分には場違いだからと言った。
2人とも“R”の閉店が最後になった。
2人は“プロローグ”でも述べたように、童貞だった私に、女性のなんたるか、性のなんたるか、そして女性を悦ばせる性戯を教えてくれ、出遭った女性とセックスし、愛し合うようになって人生の変遷を繰り返して来た私にとっては、オーナーと並んで、大変な恩人であった。
12月に入り、私は皆と手分けして、朝から新宿、四谷、代々木、丸ノ内線の各駅近辺に在る予備校や学校の周辺で学生達に100円券を配り、昼には“R/Z”に戻って大音響のロックを聴きながら休憩し、あんな事しよう、こんな事しようと、アイディアを出し合い、また夕方、100円券を配りに出掛ける日々を繰り返した。
ある日、「手伝いの手伝いに来た」と、大学生達の高校時代からの同級生だと言う真澄が私の前に現れた。
しなやかで華奢な肢体、涼しげな瞳、すっと通った鼻筋、軽くパーマを掛け、少しだけブロンドに染めた肩まで伸ばした美しい髪。
いかにも洗練された都会育ち、というイメージの美少女だった。
左手の甲を軽く口に当てて爽やかに笑う仕草も上品で印象的であった。
“恋人いるんだろうな”
一目で彼女に恋したが、次の瞬間、自分で勝手に失恋していた。
手伝ってくれる学生達の誰かの恋人ではないようだったが、彼らの会話が、恋人の存在を仄めかせた。
彼女が手伝いに来てくれるようになって3日目の事だった。
皆で手分けして、2、3人一組で配布する事にしていて、私はその日、真澄と2人で代々木にいた。
午後から出掛けたのだが、日暮れに雪が降り出し、一気に大雪になった。
風も強さを増した。
2人で小さなビルの1階に駆け込み、オートロックの入り口の隅っこで雪を避けて様子を看るが、止みそうにない。
私は真澄を待たせて、傍にあった公衆電話で“R/Z”にいるオーナーに状況を報せ、皆に待たずに帰るように伝えた。
真澄の元に戻ると、歯の根も合わない程震えていた。
私はワイシャツにジーパン、ジーンズのジャケット、真澄はジーパンにとっくりのセーター、冬物のハーフコートを羽織っていたが、寒いものは寒い。
「寒い」
「ああ、寒いな」
このままでは2人とも風邪を引いてしまう。
駅まで帰ろうとも想ったが、駅に着くまでに雪だるまになりそうな程の降り方だ。
「寒い」
真澄がまた震える声で言った。
「ごめん」
私はいきなり真澄を抱いた。
昔見た映画で、抱き合って身体を暖め合って寒さを凌ぐシーンがあったのを想い出したのだった。
前以て断るのも、照れ臭かったから、いきなりだった。
真澄は一瞬肢体を硬くしたが、真澄も抱き合って暖め合った方が良いと判断したのか、逃げなかった。
私は、自分のジャケットの前を開け、真澄のコートの前を開け、しっかりと抱き締め、真澄の背中を何度も擦ってやった。
すると、真澄も私に抱き付き、私の背中を擦り始めた。
真澄のしなやかで華奢な肢体の割に豊かな乳房が私の胸に密着している。
ずっとこのままでいたい。
ビルの入口を何人かが出入りする気配はあったが、気にもならなかった。
「少しあったかくなったわ」
真澄が青ざめた美貌を上げて、清楚に微笑んだ。
その余りの愛らしい美貌に我を忘れた私は、想わず真澄を強く抱き締め、唇を重ねていた。
驚いた事に、拒んで美貌を引くかと想った真澄が、一瞬肢体を強張らせて唇を硬くしたが、すぐに一層強く私に抱き付き、唇を柔らかく解したのだ。
舌を挿し入れると真澄が吸い立て、私が吸い立てると、真澄が恐る恐る愛らしい舌を震わせて挿し入れて来た。
経験の少なそうな真澄のぎこちないキスが酷く新鮮に感じられた。
未だ性経験の浅そうな真澄が?
知り合って間もなく、まともに話した事がほとんどない私と?
息苦しくなると唇を離し、また熱く喘いで唇を貪る。
私は想い切って真澄のセーターの下に手を挿し入れた。
寒さの中でも、キスに興奮しているのか、しっとり汗ばんだ肌が掌に吸い付く。
真澄は拒む風でもなく、尚も私のキスを貪っていた。
私はまた想い切ってブラジャーのホックを外したが、今度も真澄は逃げなかった。
私は有頂天になった。
そしてさらに掌を回して真澄の乳房を掴んだ。
それほど大きくはないが、引き締まった型の良さそうな乳房が私の掌を圧し返し、勃起した小さな乳首が掌で転がった。
「ち、小っちゃいから、は、恥ずかしい」
乳房を軽く揉み立てると、真澄が唇を離し、眼を閉じたまま熱く喘いだ。
「小っちゃいおっぱいの方が好きだ」
「ほんとに?」
「ほんとだ」
私の応えに、美貌を綻ばせ、寒さからか、官能からか、頻りに震える唇を追い掛けて塞ぐと、また真澄が応じて来て、私の掌の愛撫に愛らしい乳房を圧し付けて来た。
「お前としたい」
私が掠れた声で言うと、真澄が眼を閉じたまま頷いた。
ブラジャーのホックを止めてやり、真澄の肢体を包み込むように抱いてビルから出る。
辺りはすっかり夜の帳が降りていたが、雪は小降りになっていた。
駅まで行く途中にラブホテルがあるのを、ここに来る時見た。
そこに入る。
エレベーターに乗った時、抱いている真澄がまた震え始めた。
「未だ寒いのか?」
私は強張った真澄の美貌を覗き込んだ。
「ううん。こういう処、初めてだから、ちょっと怖いの」
ラブホテルに初めて来たのか?
同い年なのに、私とは隔年の差だ。
エレベーターの扉が開いた。
真澄が、自分の勇気を奮い立たせようと考えたのか、逆に私の腕を取って降りた。
部屋に入ると、ラブホテルに初めて来た事を裏付けるように、鏡張りの壁と天井、シースルーの浴室、テーブルの上に置かれたアダルトグッズのカタログなどに眼を視張り、美貌に恥じらいを浮かべた。
抱き寄せて、もう一度キスを貪り合いながら、真澄の洋服を脱がせる。
ピンクのブラジャーを外すと、先程掌で確かめた美しい型を保ったままの乳房が弾け出て揺れた。
削いだように細く括れた腹部を伝って掌を降ろし、ピンクのパンティを脱がせる。
清楚で上品な美貌に不似合いな程夥しく生え繁った、黒々とした恥毛の叢がパンティで覆い切れていなかった。
その淫猥な光景に、私は一気に勃起する。
真澄の裸身をベッドに横たえ、急いで全裸になって覆い被さる。
「わ、私、は、初めてなの」
真澄が私に抱き付いて私の耳元で喘いだ。
「初めて?お前、恋人がいるんじゃ」
私は顔を上げて真澄を視た。
処女とセックスするのは初めてだ。
「いるけど、未だなの。でも彼がしたがってて、私、もう断れそうになくて、友達に話したら、初めての時は馴れた男性が良いって。彼も初めてみたいだから」
「で、おれか?」
「うん。あなた、経験豊富そうだって、皆話してたし、私、あなたが好きだから、最初の、一度だけなら良いかなって」
今どきの若い?!女性ってそんな風に考えるものなのか?
少なからず消沈したが、最初から、真澄に恋人がいるからと、諦めていたのだ。
美しい真澄と、一度だけでもセックス出来る。
それだけでも感謝しなければ、と自分に言い聞かせる。
「あなたに何て話そうか、迷ってたら、さっき、あ、あなたがキスしてくれて、お、おっぱい、し、してくれたから、決心したの」
真澄が私にしがみついたまま熱く喘いで、しなやかな太腿を開いた。
(続く)
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