記憶の中の女達〜(12)横浜の美少女-第24話
作家名:淫夢
文字数:約2630文字(第24話)
公開日:2021年3月5日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
しかし、数え切れない程ウニの棘を抜いた経験のある私だった。
「すぐに済むけど、ちょっと痛むから我慢しろ」
「うん」
俯せになった加奈子の右の脹脛の傍に胡坐をかくと、加奈子が美貌を私の方に傾げて頷いた。
私はショートパンツのポケットからライターを取り出した。
私は、高校に入った頃から煙草を持ち歩いて喫っていた。
自分で獲ったサザエを漁業組合員である祖父に売って貰ったお金で買っていたので、親に迷惑を掛けているという罪悪感はなかった。
また、祖父は勿論、港の逞しい漁師達が、煙草を喫いながら海を眺めていたり、咥え煙草で船上の作業をしたり、網の修理をしたりしているのを視て、幼い頃から、そのかっこ良さに憧れを抱いてもいた。
「何で、ライターなんて持ってんの?」
「さあな。何でか知らないけど、何時もポケットに入ってるんだ」
「高校生のくせに悪いんだ」
すっとぼけると、加奈子が悪戯っ子のように美貌をしかめた。
木綿針の先端をライターの炎で焼いて消毒し、加奈子の愛らしい右脚首を片手でしっかり圧さえる。
幸運な事に、先に抜こうとして頑張った後に諦めた誰かのお陰で、棘の刺さっている部分に針の跡の溝が出来ていた。
もう少し頑張ったら、王子様になれたのに。
さらに、少し時間が経って、棘の刺さった皮膚の下の肉が少し盛り上がっていたので、針先を潜らせ易くなっていたお蔭もあって、棘はすぐに取れそうだった。
棘の下に針先を潜らせる。
「1本」
「いたっ」
加奈子が痛みの余り、両膝を少し開いて華奢な尻肉を跳ね上げる。
サンドレスの裾が太腿までめくれ上がった。
「後2本だ」
日焼けしたしなやかな太腿の隙間から木綿のピンクのパンティが覗けた。
「うん」
一瞬、どきっとして、胸がときめいた。
しかし、それだけだった。
今の加奈子に対して、何か出来る度胸はなかった。
加奈子にしても、私に棘を抜いて貰っているだけで、何かをされるとは想いもしていないだろう。
交際った事のある美少女達の下着など、視た事もなかった。
中学の保健の授業で、女性の肉体やセックスに関して、習ってはいたが無機的な知識でしかなく、彼女のパンティに覆われた女性器の中心が濡れて開いて男の勃起を受け入れて、などというシーンは、初心であった当時の私には想像出来なかった。
加奈子はセックスの経験があるのだろうか?
いや、そんな事を考えている場合ではない。
気を付けないと、棘が肉にまで食い込んでしまう。
それこそ医者騒動だ。
もう一度、棘に意識を集中させ、細い脚首をしっかり抑えて、棘の下に針先を当てる。
「いたっ」
「取れた。後一本」
加奈子がまた、脚を跳ね上げ、今度はサンドレスが引き締まった尻肉の膨らみまで捲れ、女性器を包んでいるであろうパンティの中心が視えた。
さらに胸の鼓動が高鳴る。
「最後だ」
「いたっ」
三本目を抜いた時、サンドレスがついに完全に捲れ上がり、パンティが丸視えになった。
私は注視している自分がひどく恥ずかしくなって、無意識に視線を逸らした。
「ぜ、全部取れたぞ」
「早かったね」
確かにそうだった。
もっと時間を掛けて抜いてやり、じっくりパンティに包まれた秘部を視詰めていたら良かった、と後悔する。
こんな場合、私は大抵、何時も後になって悔しい想いをしたのだ。
「はい。せ、先生の治療はお終い」
加奈子が肢体を起こした際、尻肉全体が露出しているのに気付き、慌ててサンドレスの裾を直した。
「み、視たでしょう?」
加奈子がさっきのように悪戯っ子のように美貌を歪めた。
「か、可愛いパンティ履いてんだな」
「ば、ばかっ」
冗談めかして言ったが、声が震えていて、それが恥ずかしかった。
持って来ていたガーゼに消毒液を含ませて宛がい、包帯を巻いてやる。
加奈子が片脚を立てた時、今度は真正面から、パンティの恥丘の膨らみを覆う部分が視えた。
あの中に、恥毛の叢があって。
その下に、未だ視ぬ憧れの女性器がある。
また、恥ずかしくなって視線を逸らす。
「ま、また視えてる。と、棘を抜いてやったお礼に視せてくれてんのか?」
冗談さえ、さっきより声が上ずる。
「ば、ばかっ。でも、そ、そうね。あ、あなたが捲った訳じゃないし。お、お礼だと想えば良いよね」
加奈子が、恥じらいを浮かべて、無邪気に微笑んだ。
純粋なんだな。
パンティを覗き視し、その下に覆われているであろう女性器の所在も意識したのに、性的な感情は湧き起こらなかったのは、私が晩熟なのか、加奈子に性的なイメージがなかったからか。
また肩を貸してやって母屋に戻り、皆で冷えたスイカやブドウを食べて団欒する。
そして夕暮れ、加奈子は、勿論、皆と一緒に帰って行った。
一日だけの恋が一日で終わった。
明日は、皆、山に行くと言っていたから、もう二度と逢えないだろうな。
寂しさが心を覆った。
翌日、兄が、皆と国立公園に指定されている山に行くと言って出掛けた。
私は、当然、誘われなかった。
物欲しそうに付いて行くのは、男が廃る。
私は何時ものように、昼食を採ってからサザエ獲りに出掛けようとしていた。
「こんにちは」
若い女性の声に振り返ると、淡いイエローのワンピースに肢体を包んだ加奈子が、ピンクのフリルの付いた麦わら帽子と竹網みのバッグと水筒を手にして微笑んでいた。
「皆と、山に行ったんじゃなかったのか?」
「足が痛いからって、断ったの」
「そうか」
想わず、嬉しさが込み上げる。
向日葵の飾りが付いたサマーサンダルを履いた右の素足に、私が昨日巻いてやった包帯がそのままだった。
「山より海をみていたいから」
加奈子がさわやかに微笑んだ。
小首を傾げる仕草に、心がときめく。
二人で、北の岬まで出掛ける。
足が痛いから山に行かなかった、という割には普通に歩いている。
尤も、過去の経験で、あの程度の棘が刺さってそれを抜いたからと言って、化膿しない限りは、一晩過ぎたら痛くもないはずだった。
化膿するような下手な治療はしない。
加奈子が私に逢いに来てくれた。
私の心は弾んだ。
二人で、岬の下の岩場にあるわずかな砂浜に、海を向いて並んで座る。
「昨日はありがとう」
加奈子が小首を傾げて、私に愛らしい笑貌を向けた。
「パンティ視せてくれてありがとう」
「ばかっ」
冗談めかして言うと、加奈子が美貌に恥じらいを浮かべ、握り拳で可愛らしく私の肩をぶった。
しばらく沈黙が続く。
「海、きれいだね。私、神奈川の海には良く行くけど、こんなにきれいじゃない」
「ここは、人も家も少ないし、工場もなくて、海が汚れてないからな」
私は所在なく、煙草に火を点けて喫った。
(続く)
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