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記憶の中の女達〜(11)音楽評論家の卵-第22話



作家名:淫夢
文字数:約3940文字(第22話)
公開日:2021年2月20日
管理番号:k057


この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。



挿絵の官能小説画像

Janis JoplinはBig Brother&Holding Companyのリード ヴォーカリストで、バンドよりも彼女の方が有名になった。

私も好きなミュージシャンで、煙草と酒に灼けたような低音のハスキー ヴォイスも魅力だったが、何よりも彼女の激しいシャウト唱法が素晴らしく、その時代を席巻したヴォーカリストだったが、残念ながら多量のヘロインを服用し、わずか27歳で中毒死した伝説的な存在である。


「ジャニスか。凄いもんな。判るよ。おれも“Cheap Thrill”持ってる」

「ねえ、私を抱くの厭?」

真由美が眼を伏せたまま意外な事を言って、私を驚かせた。

「うそ?おれ?厭じゃないけど、お前は?おれで良いのか?」

「あなたと、ジャニス聴きながらしてみたいの」

真由美が恥ずかしそうに私の肩に頬を載せた。


真由美を連れて“R”に行き、私はウィスキーのロックを、真由美にはコークハイを作って、“Cheap Thrill”をターンテーブルに載せて針を落とし、ボックスに並んで座る。

「経験あんのか?」

もしかしたら処女かも知れない。

処女じゃなくても、真由美のイメージから、セックスの経験が多くはなさそうにも想えた。

真由美が「ある」と、小さく私の耳元で囁き、私に抱き付いて来た。

「やっぱ、奥がじんじんして来る」

キスを交わしながら真由美の洋服を脱がし、淡いブルーのブラジャーを外して弾けるように飛び出した小振りの乳房を軽く撫でてやる。

ほとんど色着いていない小さな乳首が私の掌で息付く。

ぎこちない唇と舌の蠢きが、真由美のセックス経験の少なさを示していた。

「や、やっぱり、な、何か違う」

「ジャニス聴いてるからか?」

「そ、そうみたい」

官能の色を浮かべた真由美が眼を閉じ、今度はぶつけるように、唇を重ねて来た。

キスに応じながら、パンティの中に挿し入れた手で恥毛の叢を撫で、指先で女陰の襞を開くと、既に滴り溢れた愛液が粘り絡み付いていた。

少し膣孔を指先で捏ねてやると、真由美が熱い喘ぎを洩らし始めた。

「す、すぐ挿れて」

二人掛けのボックスシートでは、横になれないし、硬い床の上でするのは、真由美の背中が痛くなる。

私は急いで全裸になるとシートに座り、パンティを脱がした真由美の裸身を向かい合って抱き上げ、膝立ちさせる。

セックスをほとんど感じさせない純情そうな真由美の大胆な振る舞いに興奮した私の男根も既に勃起していた。

真由美の引き締まった小振りの尻肉を抱えて、勃起の先端を探り当てた膣孔に宛がうと、真由美が熱く喘ぎながらゆっくり尻肉を沈めて来た。

「き、気持ち良い」

やはりセックスの経験が余り多くないのだろう。

過去の経験からして、馴れた女性の多くは「気持ち良い」とは言わず、「感じる」と言葉にする。

真由美の尻肉が私の太腿に密着した。

窮屈な膣粘膜が頻りにひくつきながら私の勃起を締め付ける。

私の首に抱き着いた真由美の熱い喘ぎが私の項に噴き掛かる。

真由美が焦れたように裸身を悶えさせる。

「ね、ねえ、ど、どうしたら良いの?」

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どう動いたら快感を得られるのか判らない様子だ。

私は真由美の両脚を抱えて足の裏をシートに付かせた。

所謂「便所座り」「ウンコ座り」という姿勢だ。

「お前が自分で気持ち良くなるように動けば良い」

真由美が再び尻肉を私の太腿に密着させた。

勃起の先端に硬い感触があった。

多分、子宮孔だ。

蓉子とのセックスで、挿入して、激しい抽送をしなくても射精し、蓉子もエクスタシーの絶頂を極めたのは、小柄であり、だから膣粘膜が短く狭いせいで、勃起と膣粘膜が密着し、また勃起の先端が子宮孔にめり込み、子宮内部さえも刺激する状態だったからではないだろうか。

真由美とも同様に感じた。

「ああ、き、気持ち良い」

真由美がゆっくり尻肉を揺すり始めた。

レコード音が途切れた。

勃起を一度抜き取って真由美を立たせ、レコードをひっくり返して掛け、恥ずかしそうに裸身を捩って待っていた真由美をもう一度抱き上げると、真由美が今度は自分で私の勃起を自分の膣孔に誘って尻肉を落とした。

私の首にしがみ付いて躍動し始めた真由美の喘ぎと愛液の濁音が静かな空間に響いた。

真由美同様、私もジャニスのシャウトに性欲を刺激されているのが、自分でも判った。

しかし、経験の浅い真由美に対して、激しく濃厚なセックスを施すのは気が引けたので、真由美の望むままにしてやろうと考えた。

私は純情な真由美が自分で動いてエクスタシーを貪るのを視たいという想いもあって、じっとしている事にした。

「い、良いようっ。き、気持ち良いっ」

真由美の裸身が痙攣を起こし始めた。

真由美が前後左右上下に尻肉を振り立て、動きを速めた。

「ああ、こ、怖いっ。へ、変になるっ」

愛液の濁音が大きくなる。

「イクって言うんだ。止めないで続けろ」

私は真由美の蠢きに合わせて揺れる勃起した二つの乳首を指で揉み込んだ。

「い、いやーっ、お、落ちるーっ。こ、怖いーっ」

真由美が絶叫して激しく痙攣する裸身を静止させた。

後ろ向きにひっくり返りそうになる真由美を抱き締める。

私の勃起をきつく咥え込んだ膣粘膜が収縮弛緩を繰り返す。

やはり蓉子とのセックスと近い感触だった。

射精感を覚えた私は、痙攣を繰り返す真由美の裸身を抱き締めた。

真由美の幼い乳房を口に含んで、小さな乳首を舌先で弾き転がしてやる。

「ああ、き、気持ち良い」

真由美が再び尻肉を蠢かし始めた。

激しくなる喘ぎと共に、次第に蠢きが速まり、やがて上下するだけになる。

純情な真由美が性欲の虜になってセックスにのめり込む痴態に興奮して、一気に射精感が湧き起こる。

「中に出しても良いのか?」

「だ、出してっ」

真由美は返事も出来ない風情で熱く喘ぎ、何度も頷いた。

後ろに倒れそうになる真由美をきつく抱き締め、下から激しく衝き上げ、真由美の膣粘膜奥底に射精した。

「い、いやーっ、お、落ちるーっ」

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真由美が叫んでぐったりなり、今度も後ろに倒れそうになった。

私は真由美の裸身を抱き締めたまま、精液を噴出する勃起で収縮弛緩を繰り返す真由美の膣粘膜の蠢きを味わっていた。


二日後の夕方、“R”でレコードを聴いていると、真由美が入って来た。

一人ではなく、30代半ばくらいの女性を連れ立っていた。

「“S/E”にいなかったからここだと想ったの。私の師匠です」

紹介された女性が名刺を差し出した。

“月刊ML編集長”という肩書きで名前はHMという。

「先生にあなたの事話したら、面白そうだから、会わせろって」

真由美が一昨日の事を想い出したのだろう、純情そうな笑顔に官能の色を浮かべた。

まさかセックスした事まで話してないだろうな?

「ごめんなさい。いきなりお邪魔して。ロック聴いて、勃起するとか、子宮が疼くとか表現する若い男性ってどんな人かな?って想って、会ってみたくなったの」

編集長が、あからさまな言葉を表情も変えずに口にした。

「こんなガキだよ」

この女性とは間違ってもセックスする関係にはならないと直感した。


想像通り、彼女が海外取材に行くたびに洋酒とブートレッグ(「海賊版」とも言い、正規出版ではない音源を録音した物)や輸入盤を買い込んで来たからと誘われ、何度も彼女のマンションに行って飲み、レコードを聴きながらロックを語ったが、終ぞセックスする関係になる事はなかった。

しかし、ロックを通して彼女とは密で長い付き合いをした。


「ロックギターやってるんですって」

「下手くそだよ」

「でも、そういう人が増えるのは嬉しいわ」

私はカウンターに入って開店の準備をしながら、二人にコーラを入れてやり、カウンター席を勧めた。

そこへオーナーがやって来た。

編集長が立ち上がってオーナーにも名刺を渡した。

オーナーも名刺を返す。

しばらく雑談して二人が帰った。

帰り際に真由美が小さな声で囁いた。

「一昨日、ありがとう。嬉しかった」

はにかみながらそれだけ言うと先を歩く編集長の後を追った。

オーナーは音楽月刊誌の編集長が私の知り合いだという事を頻りに感心していた。

それ以来、真由美とは遭わなかった。


半月ほど経った頃、“S/E”に行くと、編集長がDJをやっていた。

真由美の事を尋ねたら、評論家の道を諦めて故郷に帰ったそうだ。

“結構可愛かったのに”

私は真由美と一度しかセックス出来なかった事を未練たらしく振り返った。

真由美の笑顔と裸身を想い出していると、編集長が意外な事を口にした。

オーナーと連絡を取り合っていて、先日喫茶店で話し、“S/E”にも一緒に来たと言うのだ。

「オヤジ、何も言わなかったぜ」

「オーナーに、こんなスペースを出したら流行るか?って訊かれたわ。これから日本にロックがどんどん入って来るから流行るって言っといたわ」

「そうなんだ?」

「儲かるか?って訊かれたから、それは経営の問題だけど、ロック人口は間違いなく増えるって話したら、何か考え込んでいたわ」

「ふーん。あのオヤジがね」

意外な話を聴いたが、その時は余り気にしなかった。


それから半月くらい経った頃、“S/E”に行くと、店の前に人だかりが出来ていた。

「どうかしたのか?」

顔馴染みになったDJをやっている大学生に尋ねた。

彼も編集長の弟子だった。

「潰れた。経営者が覚醒剤の密売やってたとか店長が女性客をレイプして訴えられたとか。おれも収入なくなっちゃった」

DJ君がブツブツ言いながら帰って行った。

“何だよ”

せっかくのお気に入りスペースを失った事に、私も憤慨したが、仕方がない。

“R”に行った。

またオーナーのマンションでギターの練習をし、昼間は“F”で屯するか、“R”でレコードを聴くかして、夜は“R”の手伝いの生活に戻った。


「最近は“S/E”に行かないのか?」

ある日の夕方、開店前に一緒に食事をしていると、オーナーが私に尋ねた。

「潰れたんだ」

ビールを呑みながらぶっきらぼうに応えると、オーナーの口からとんでもない言葉が出て来た。

「金出すから、お前、あんなのやってみるか?」

私は驚いて立ち上がった。

「やる!」



(続く)





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