記憶の中の女達〜(10)初めての普通の女-第20話
作家名:淫夢
文字数:約4110文字(第20話)
公開日:2021年2月5日
管理番号:k057
この作品は、過去、実際にセックスした数百人の女性の中の、記憶に残っている数十人の女性との出遭いとセックスと別れを描写。
“下着を洗うって?ジーパンも??”
銭湯を出て部屋に戻ると、昭恵が引き出しからピンクの花柄のパジャマを出した。
「大きめだからあなたでも着られるよ」
「ええっ?おれがこれを?」
「は、裸なんてだめよ。これしかないもん」
昭恵が恥じらって俯いた。
部屋を視回しても布団は一組しかない。
一緒に寝るのか?
セックスしても良いのか?
いや、夏だから、敷布団と掛布団に別れて、かも知れない?
逸る気持ちを諫める。
「視ないでね」
昭恵が灯りを小さくし、私に背を向けて洋服を脱ぎ始めた。
想像した通り華奢な裸身だった。
細い肩、縊れた腰、引き締まった尻肉、しなやかな脚。
抱き着きたい衝動が湧き起こる。
「恥ずかしいから視てないで、あなたも着替えて」
私が昭恵の着替えを視ているのを気配で感じたのか、背を向けたまま言い、忙しなく全裸になって淡いピンクのブラジャーとパンティを着ける。
仕方なく全裸になって渡されたピンクのパジャマを着ると、同じようなピンクのパジャマ姿になった昭恵が、私の眼の前で全裸になったのが恥ずかしかったのか、私から視線を逸らしたまま二人の洋服を拾い上げ、狭い流し台で洗い桶を使って器用に洗濯を始めた。
私はまた所在なく突っ立ったまま、小さな本棚に並んだペーパーバックの本を手に取り、読むでもなく捲っていた。
ポーターの“リンバロストの乙女”、ヘッセの“車輪の下”、ハイネの“恋愛詩集”。
ロマンチックなんだ。
可愛いな。
昭恵の心根が想像出来た。
「暑いしカラッとした空気だから、朝には乾くわ」
昭恵が窓を開けて洗濯物を干した後、初めて私を振り返って噴き出した。
「可愛い!」
「やっぱ笑った!」
私は一瞬ふざけるつもりで昭恵を抱き締めた。
驚いた事に、昭恵は私の腕の中にすがり付いて来た。
貌を上げ、瞳を閉じている。
私は想わず唇を重ねていた。
しばらくキスを貪り合う。
「お、お布団敷いて」
暑い夏の夜の事だ。
重ねてあった薄い掛け布団を横に置き、敷き布団を拡げた上に昭恵を圧し倒す。
「寂しかったの」
「おれで良かったのか?」
私は何時も女性にするようにタメ口になった。
パジャマを剥ぎ取り、ブラジャーとパンティを脱がし、小振りの乳房を軽く揉み立て、頂で勃起して震える小粒の乳首を唇で啄み、舌先で弾き転がす。
「ずっと、あなたに来て欲しかったの」
昭恵が小さく喘いで乳房を私の口に向かって突き出した。
「おれに?」
「そう、わ、私、あなたに、来て欲しかったの」
昭恵が、一言一言自分で確かめるように、呟いた。
乳房を愛撫しながら女性器全体を掌で覆い、軽く揉み立てる。
裸身が華奢なのと乳房が小振りなのに比例して女性器も小振りだった。
指で女陰の襞をなぞると、すぐに開き、溢れ滴る熱い愛液に塗れた膣孔に指先が埋もれた。
手入れしていない夥しく生え繁った恥毛の叢が手首でざわめいた。
「わ、私なんかで良かったら、し、してっ」
昭恵が込み上げる官能に堪え切れない風情で引き締まった太腿を開き、私の指に向かって女性器を突き出した。
過去に何かあって、自分を過小評価しているのか?
私が知る由もない。
「私なんかって言うな。昭恵は可愛いのに」
私は昭恵の膣孔にめり込ませた指先で膣粘膜を軽くしゃくった。
「ああ、良いっ」
昭恵が私の指の蠢きに併せて浮かせた尻肉を振り立てた。
昭恵の、予想外の鋭い反応に気を良くした私は、尚も愛撫を続けた。
膣孔に第二関節まで指を潜らせて折り曲げた、指先に触れる膣粘膜のざらっとした膨らみ、ちょうどクリトリスの裏側の部分を指先で軽くしゃくるように撫でる。
“潮噴き”
新しく覚えた愛撫であった。
しかし、昭恵が潮を噴けばシーツが汚れる。
そう感じた私は、愛撫の程度を軽くした。
それに、潮を噴いて叫ばれたら、安普請のアパートでは周囲に聴こえる。
「い、いやっ、は、恥ずかしいっ、すぐっ、イ、イッちゃうっ、ああ、イ、イクわっ、イクイクイクーッ」
それでも、性感が鋭敏なのだろう、愛撫し始めてすぐ、華奢な昭恵の裸身が漣を起こすように痙攣し始め、昭恵が浮かせた尻肉を私の愛撫に併せて振り立て、小さく叫んでエクスタシーの絶頂を極めた。
瞬間、軽く潮を噴いたのか、私の掌に愛液が少量飛沫いた。
気が付くと、昭恵が指を口に含んで声が大きくならないように抑えていた。
日常でも、ましてセックスする際には、当然のように隣人の耳を気にするが、それは昭恵がこの部屋でセックスした経験がある事を物語っていた。
「ああ、わ、私だけ、すぐイッて、は、恥ずかしい」
昭恵が裸身を翻して私のパジャマのズボンを脱がし、既に先端の媚孔から淫液を滴らせている勃起をしなやかな指で握って軽く扱きながら先端に熱い喘ぎを洩らす唇を被せた。
ぎこちない昭恵のフェラチオは、普通の純朴な女性のフェラチオに馴れていない私の性欲を一気に昂めていた。
「出そうだ。飲んだ事あるのか?」
昭恵が私の勃起を咥え、窄めた唇で扱きながら頭を縦に振った。
セックス体験が多くなさそうな昭恵が精液を飲む。
そのイメージだけで射精感が込み上げて来る。
私は昭恵の口を女性器に見立てて勃起を何度も衝き上げ、昭恵の口の中に精液を噴出させていた。
精液を飲み下した後も尚、フェラチオを続ける昭恵を圧し倒し、子供のようにしなやかな太腿を抱え、愛液に塗れて蕩け切った膣孔に勃起の先端を宛がい、膣粘膜奥底まで貫いた。
「ああっ、い、良いっ」
柔らかく蕩け切っているはずなのに、昭恵の窮屈な膣粘膜が私の勃起をきつく喰い締めるように蠢く。
昭恵の裸身が再び痙攣を起こし始めた。
昭恵は今度も口に指を咥えて、必死に快感の喘ぎを抑えていた。
その愛らしくも恍惚の表情が私の射精感を再び呼び起こした。
「中に出して良いのか?」
「ああ、だ、出してっ、大丈夫だから。ああ、私も、またっ、イ、イクわっ。イクイクイクーッ」
昭恵が浮かせた尻肉を私の勃起の躍動に併せて振り立てた。
私は昭恵の膣粘膜奥底に射精して昭恵の裸身に覆い被さった。
熱い喘ぎが噴き出す唇を貪り合う。
しばらくして重なり合った二人の胸の起伏が収まった頃、昭恵が急に笑い出した。
「やっぱ可愛い」
気付くと、私はピンクのパジャマの上を羽織ったままだった。
昭恵が笑うのに併せて昭恵の膣粘膜が収縮し、私の萎え掛けた男根を圧し出した。
パジャマを脱いで裸で仰向けになると、昭恵が半身を寄せて抱き付き、脚を絡めて来た。
夥しく滴り溢れた愛液に塗れた昭恵の女性器が、私の太腿で畝って潰れた。
腕枕をしてやると、昭恵が私の腋に貌を埋めた。
「また、気持ち良くなっちゃうよ」
乳房を軽く愛撫していると、昭恵がそれだけで再び喘ぎ始め、女性器を私の太腿に擦り付けて来る。
純情でセックスの経験が浅いはずなのに、性感が鋭敏で、性欲も旺盛な女性がいるのを悟った。
膣孔から流れ出た私の精液が昭恵の女性器を塗るませた。
「もうだめ。勃たない」
昭恵の開いた唇を軽く咬んでやってから、部屋の隅にあったチリ紙の箱からチリ紙を取って愛液と精液をふき取った。
昭恵と知り合う前、見合いセックスをした麻美は、セックスの相性を随分気にしていたが、セックスの相性に関しては私なりの持論がある。
お互いに肉体を求める瞬間と、その性欲の深さが似通っている場合は当然として。
或いは、性癖が似ているか。
例えば、激しいセックスを好むか静かなセックスを好む、また、アナルセックスの愛好者同士とか、露出嗜好がある男女とか、私は嫌いだが、SM の愛好者同士とか、そういう嗜好がお互いに認められなくて、破局した恋人同士を多く知っている。
ただ私の経験で言えば、女性に腕枕で抱いてやった際に、女性の裸身が私の裸身とぴったり重なっていると感じた相手とは、永く続き、愛情も深まったし、勿論セックスも常に満足出来ていたように感じる。
つまり、私と女性の相性が合った、と想う。
もう少し説明すると、この姿勢を取る時は、たいていセックスを終えて満足している事がほとんどなのだが、この姿勢になる時でさえ、女性が心身を私に委ねていないと、裸身の何処かに緊張している部分があり、それ故ぴったり収まらないのだ。
昭恵とは、永く交際いはしなかったが、そんな女性の一人であった。
翌朝、ジーンズは完全には乾いていなかったが、着られない程ではなかった。
「あなたが好きな時に来て、抱いて」
部屋を出る前に私に抱き付き、昭恵はそう言って甘えた。
「人と会う日と洋服着替えに帰る日以外は来る」
私は応えて昭恵を抱き締めた。
一緒に仕事場に行くが、昭恵は仕事場では何も関係がないように振る舞った。
ほとんど毎日のように、仕事が終わると一緒に帰ってセックスし、3日に一度くらい柿生の部屋に帰ると言ってオーナーの部屋に着替えに帰る日々が続いた。
8月のお盆明け、ギターが届いたと楽器店から“R”に連絡があり、私は翌日、貯金を降ろして楽器店に行った。
待望のストラトキャスター。
このギターは、後に日本でトップレベルのギタリストになった元バンド仲間に、全国ツアーをやって、そのライヴアルバムを出すから貸してくれと頼まれたので貸してやったら、そのアルバムジャケットに“Thanks for・・”とクレジットを入れたギターの写真を載せてくれた程の名品だったらしい。
「らしい」というのは、私がそのギターを弾きこなせなかったから、その素晴らしさが判らなかったからである。
私は工場長にアルバイトを8月一杯で辞める旨を伝えた。
昭恵にも「ギターの練習をするから」と伝えた。
昭恵は「あなたが好きな時に来て、抱いて」と自分から言ったので我慢したようだったが、やはり時折泣いた。
昭恵とは生活も性格もセックスも相性が合い、好ましい女性だったが、蓉子に抱いたような深い愛情は抱けなかった。
セックスする際に、隣の住人に気配を悟られないよう、昭恵の部屋にあったトランジスターラジオでFEN放送を鳴らしていたが、昭恵は流れて来るロック ミュージックに関心を示さなかった。
昭恵が関心を抱いてくれていたら、関係が続いたかも知れなかったが、それは最後までなかったのだ。
そして、私は、昭恵という女性にも、彼女とのセックスにも未練はあったが、工場を辞めたのと同時に行かなくなった。
今、幸せでいてくれているだろうか?
(続く)
※本サイト内の全てのページの画像および文章の無断複製・無断転載・無断引用などは固くお断りします。
メインカテゴリーから選ぶ