アナルファンタジー(5)激変-第６話
作家名：優香
文字数：約3030文字(第６話)
公開日：2020年12月14日
管理番号：k066
「ゆ、優香ちゃんっ。わ、私っ、す、すぐイキそうっ。ああっ、き、気持ち良いっ」
私はふと、感じた事を口にしていた。
「あ、亜紀さんっ。さ、さっきのビデオみたいにっ、せ、精液っ、の、?んだりっ、す、するのっ？」
火を吐くように熱く喘ぎながら、私の唇を何度も忙しなく求めて吸い立てる亜紀さんの美しい唇が、愛液に塗れた巨大な勃起を咥えて精液を受け止める痴戯を思い浮かべた。
「ああ、か、彼が、時々さっきみたいにするのっ。そ、そしたら、?んであげるのっ」
私は生まれて初めて、嫉妬と言う感情を抱いた。
それを言葉にする事は出来なかったが、私の性欲を一層激しく燃え上がらせた。
「ああっ、あ、亜紀さんっ。も、もっとっ、ク、クリトリスッ、き、きつくしてっ。わ、私もっ、も、もうっ、イ、イキそうっ。ああっ、イ、イクわっ。イ、イクイクイクーッ」
何度目か数え切れない程亜紀さんと愛撫し合っていたせいで、彼女の指でクリトリスを刺激されてエクスタシーを覚える事には慣れてしまっていた。
「わ、私もっ。あ、明日までなんてっ、が、我慢出来なかったのっ、ゆ、優香ちゃんっ。お、おま○このっ、お、奥っ、も、もっときつくっ、ゆ、指っ、う、動かしてっ。ああっ、す、すごいわっ。い、一緒にっ、イ、イッちゃうっ。イ、イクーッ、イクイクーッ」
私と亜紀さんは、立ったままで同時にエクスタシーに?まれ、激しく裸身を痙攣させながら、辺り憚らずに叫んでいた。
重ね合った乳房の激しい起伏が、鼓動と喘ぎの収まりと共に鎮まって行く。
「優香ちゃん。泳ごうっ」
「うんっ」
二人で一緒に海に入る。
六月下旬の海は、夜にはさすがに冷たかったが、二人の火照った裸身には丁度良かった。
夜の海に入った事は、幼い頃から何度もあったし、私は好きだった。
満天の星空のきらめきが降り注ぎ、海面でざわめく夜光虫が二人の裸身に纏い付く。
亜紀さんと抱き合い、キスを交わしながら乳房を愛撫し合い、滴った愛液を洗い流すように、女性器を愛撫し合う。
「また、欲しくなっちゃうね？」
亜紀さんが、私の唇に触れている唇を震わせた。
「ああ、あ、亜紀さん。わ、私っ、あ、亜紀さんがっ、す、好きっ」
勿論好きでなければ、裸身を曝し、唇や乳房や女性器を委ねる事などなかったであろう。
それは、しかし、かつて佳奈ちゃんや浩ちゃんに対して抱いた感情とは明確に異なる、大人の女としての情欲である事を生まれて初めて意識していた。
「私も、優香ちゃんが、好きよ。好きでなきゃ、優香ちゃんとこんな事しないわ」
亜紀さんが一層力を込めて乳房を愛撫してくれた。
「で、でもっ、あ、亜紀さんは、し、茂樹さんがっ」
他者に対して情欲を明確に意識したのと同時に、嫉妬をも意識したのは、この時が初めてであり、また、その嫉妬心を言葉にしたのも初めてだった。
しかし、彼女に恋人がいるという前提で彼女を受け容れた以上、それを言っても始まらない、という事も解っていた。
「茂樹も好きだけど、何か違う感覚で優香ちゃんも好きなの。変かなあ？でも、優香ちゃんにも、素敵な彼が出来るわよ？貴方、絶対もっと素敵になって、絶対もてるようになるわ。さっきの中には、好みの男はいなかった？」
亜紀さんが膝を海底に着いて、私の乳房を揉み立てながら、乳首を軽く唇で挟んで、先端を舌先で擦り上げる。
「こ、好みって、皆、幼馴染みだし、好きも嫌いも、ないわ。ああ、あ、亜紀さんっ、き、気持ち良いっ。ま、またっ、か、感じて来ちゃうっ」
「私は、明日彼に一杯してもらうから、優香ちゃん、もう一回してあげる」
亜紀さんが、そのまま、指で女陰の襞をなぞり上げ、クリトリスを擦り上げる。
私は、亜紀さんの頭を両手で抱えたまま、亜紀さんの愛撫に官能を委ねていた。
男性の恋人がいる亜紀さんと、女性同士で心身共に愛し合う事に関しては、それ程違和感はなかった。
愛撫し合いながら、亜紀さんが彼とのセックスを語る際に、多少の嫉妬は覚えるものの、それはむしろ私にとって、そして語る亜紀さん自身にとっても、官能の炎に注ぐ油のようなものであった。
私が男性であったなら、もっと激しい嫉妬心を抱き、亜紀さんを独占しようとしたり、二人の関係を壊そうとしたりしたかも知れない。
幸いな事に私は女であり、そして亜紀さんが高校を卒業するまで、穏やかな関係を続け、幸福な一時期を過ごしたのだ。
その間、数人の他校の男子生徒から告白されもしたし、若衆部屋の漁師にデートに誘われて、食事に行ったり、映画に行ったりもしたが、交際する、つまり肉体関係を結ぶ程までの感情は抱けなかった。
それは、亜紀さんとセックスする事で、心身の性欲が充たされていたせいであったかも知れない。
しかし、男性経験を経ずして、亜紀さんと肉体関係を継続した二年間で、私が男性よりも女性との関係を好ましく感じるような女になっていた事は、ずっと後で気付く。
そして、亜紀さんとの肉体関係に終止符を打つ時が来た。
亜紀さんの卒業を待って、茂樹との結婚が決まっていたのだ。
私は努めて明るく振舞い、亜紀さんの結婚を祝福し、幸せな家庭を築く事を願い、それを言葉に現した。それは勿論本心からであった。
二年間愛し合った亜紀さんの不幸を願う気持ちは毛頭なかった。
しかし、一方で、亜紀さんが抜けた心の隙間、いや、隙間などと言う小さな存在ではなかった、心の空白を埋める事は不可能に近かった。
さらに、それ以上に、亜紀さんという性欲を充たしてくれる存在を失った事の重大さが私に衝撃を与えたのは、そんなに時間を要さなかったのだ。
私は亜紀さんの裸身を脳裏に描き、勿論観た事もない、亜紀さんと茂樹のセックスの場面を想い浮かべ、毎晩のようにオナニーに明け暮れた。
その夏の事であった。
クラシック音楽が好きだった私は、女子高のある町のレコード店に良く脚を運び、他の女子高校生のように、ファッションや美容に興味を持たなかったせいもあって、親からもらう小遣いで、好きなCDを買ったりしていたのだが、そこでアルバイトをしていた、省吾という音大生と、何時か親しくなっていた。
省吾は、地元の老舗の呉服屋さんの一人息子で、何時かは跡を継ぐ事になってはいるが、幼い頃からピアノを習っていて、それが昂じて地元の音大でピアノを勉強していた。
彼の自宅に遊びに行くようになり、彼の演奏を聴いて、その素晴らしさに感動したりもしていたが、彼の腕前は、彼の言葉を借りて言えば、「長年弾いていればこの程度弾けるのは普通で、自分には素質や才能がないって言う事は解っている」程度であるらしかった。
それでも、私にとっては、鍵盤の上を、ある時は激しく目まぐるしく、またある時は繊細でしなやかに動き回る彼の指が弾き出す音の世界は、クラシック音楽を好んでいたせいもあっただろうが、夢中になれる存在になっていた。
また、省吾の知性と教養、さらには一部女性的とも思える気遣いや話し方、物腰などが、それまで漁師町の無骨な男性しか知らなかった私には、特異の存在にも想えた。
私は、そうして何時か、省吾を恋愛の対象として、いや正直に言うと、当初は亜紀さんの抜け出た心と肉体の隙間を充たしてくれるかも知れない相手として、期待し始めていたのだった。
学校の帰りにレコード店に立ち寄り、彼のバイトが終るのを待って、彼の車でドライブに行き、喫茶店でおしゃべりしたり、食事をしたりしながら、彼の音楽と、あるいはそれ以外の教養に触れ、彼への想いは一層深まって行った。
（続く）
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