アナルファンタジー(5)激変-第２話
作家名：優香
文字数：約3070文字(第２話)
公開日：2020年11月16日
管理番号：k066
そんなある日、学校で検便があった。
その日の放課後、三人で集まった時、私達のおままごとのような痴戯にお医者さんごっこが加わったのだった。
勿論、お医者さんは浩ちゃんであった。
「二人を今から検便します。二人共、お尻を出して先生の方に向けなさい」
「や、やだっ。は、恥ずかしい」
「そ、そんなっ、で、出来ないっ」
検便？
ウンチを見られる？
さすがにそれは、私も佳奈ちゃんも拒もうとした。
それでも浩ちゃんの真剣さに圧され、また何度もおしっこまで見せ合っていた私と佳奈ちゃんは顔を見合わせながら、下半身を露出させ、浩ちゃんに向かってお尻を突き出した。
「指は汚れるから、綿棒で二人のウンチを取ります」
「ああ、は、恥ずかしいからっ、は、早くしてっ」
「ああ、み、見ちゃいやっ」
私と佳奈ちゃんは、声を潜めて叫んだ。
神社の境内の奥の、神社の裏手の床下で、人通りなどないはずだったが、それでも何時誰が来るか判らない。
浩ちゃんが私と佳奈ちゃんの言葉に促され、すぐに綿棒を取り出す気配を背後に感じた。
肛孔に綿棒の柔らかい感触があり、それはすぐに肛内に潜り込んで来た。
私は、その時の感触を今でも憶えている。
そしてその時の感情も。
私はその瞬間、《気持ち良い》と感じたのだ。
しかし、それを言葉にしたら、二人に変に想われると、瞬間的に判断して沈黙を守った。
佳奈ちゃんがどう感じたかは判らなかったが、佳奈ちゃんの表情を伺うと、佳奈ちゃんは顔を恥ずかしそうに赤く染めて俯いていた。
その検便ごっこは、それだけで終わり、浩ちゃんは、神社のゴミ箱に、私と佳奈ちゃんの排泄物で茶褐色に汚れた綿棒を捨てた。
それから境内の広場に戻り、縄跳びをしたりした後、日暮れと共にそれぞれ家に戻った。
私は、その夜、薬箱から綿棒を二本取り出してトイレに入り、綿棒で自ら肛孔を突いたり、なぞり上げたりしてみた。
くすぐったさと共に、言いようのない心地良さが、肛孔と肛内に生まれる。
もう一本の綿棒で、女性器の中心に潜む細長い亀裂を撫でてみる。
やはり心地良さが生まれるが、肛孔でのそれとは、少し違うように想えた。
しばらく続けてみたが、それ以上の変化はなかった。
私は、トイレットペーパーで二本の綿棒を包み、ランドセルの奥に仕舞った。
翌日、通学路にあるバス停のゴミ箱に捨てれば良かった。
その日から、三人の遊びに、性器を舐め合い、おしっこを見せ合って尿孔から尿液が出る状態を観察し合う、今までの遊びに、浩ちゃんが綿棒で私と佳奈ちゃんの肛門を探る、という新たな儀式を加えて三つの痴戯が、特別な秘密の遊びとして加わった。
しかし、ずっと続けて行くうちに、その痴戯が、心にも肉体にも、何の変化も及ぼさず、何の結末も顕わさなかったせいか、次第に三人の遊びから外れるようになった。
そして、四年生になり、浩ちゃんは、以前から誘われていたサッカークラブに入って、練習に明け暮れるようになり、佳奈ちゃんも学習塾とピアノ教室に通い始めたせいで、それまでのように、一緒に遊べなくなってしまった。
しばらくして、保健の授業で性知識を教えられ、自分達の痴戯の何たるかを知ったが、三人の痴戯は既に過去のものとなっていて、三人の心理的な成長と倫理観の芽生えによって、それが再開されるような意味合いを持つ訳ではないのは当然の事だった。
逆に、その禁断の遊びの意味を知った三人は、むしろ互いに敬遠するようにさえなったのだった。
何故なら、一〇歳頃から芽生えるであろう性への意識が、自分達のしていた禁断の遊びが、子供が子供の遊びとしてする行為ではない事を三人に自覚させ、また「検便」も、社会的な慣わしとして、第三者に対して、決して曝してはならない肛門が不浄の生理的器官であり、それを遊びの対象とした事への、気恥ずかしさを抱かせたからであった。
当然のように、互いの存在を意識する度に、却ってその気恥ずかしさが心を覆い、クラスメートとして、あるいは近所の幼馴染みとしての必要な言動を除いては、会話をする事も、一緒に遊ぶ事もなくなって行ったのであった。
私は、と言うと、浩ちゃんと佳奈ちゃんが、肛門への特別な意識を抱いているかどうかは、勿論判らないままであったが、私自身は、肛門への興味を抱き続け、排便する時も、入浴する時も、何かに付けて、肛門を意識するようになっていた。
しかし、中学生活の中で、性への意識が一層顕著になり、平行して潔癖性が芽生えるようになると、指で触れたり、綿棒で弄ぶという行為を、やはりその背徳的な行為であるがゆえに、意識してしないように努め、そして何時か意識の底に沈んでしまったのだ。
中学を卒業し、浩ちゃんと佳奈ちゃんは市内の共学の高校へ、私は隣の市にある女子高に入学し、同じ町内で生活しながらも、一層二人とは疎遠になり、出会っても挨拶を交わす程度になっていた。
彼らにとってはどんな影響を及ぼしたかは解らなかったが、私には、あの幼い頃の禁断の遊びの経験が、大きな心の枷となって彼らを意識的に避けさせていたのであった。
私が入学した女子高は、二人が進学した市内の高校よりも少し学力が低い女子が多く入学していて、だからと言う訳ではないが、大学進学を目指して勉強すると言うよりも、高校生活を愉しみ、遊びや趣味に生活の比重を置き、勉強は試験の時だけ頑張るという程度の女子が多かった。
私は国語と英語は得意だったが、理数が全くだめだったせいで、市内の普通高校への進学を断念したのだったが、二人から離れたいという意識もあったのは否定出来なかった。
女子高では、家庭や身体に特殊事情を持たない、つまり家の手伝いをしなければならないとか、身体的に不具合があるとかして、第三者的に部活動が困難であると判断されない限り、強制的に部活動をしなければならないという規則があり、私は文章を書いたり詩を作ったりするのが子供の頃から得意で、何度か賞をもらった事もあったので、小説家を目指した訳ではなかったが、詩や小説や、俳句、短歌などを創作して、年に一度の学園祭で、作品を本にして披露するという活動をしている、という文芸部に入部した。
文芸部に入った理由の、もう一つとして、同じ町内に住み、電車で一緒に通うようになった一つ年上の亜紀さんから誘われたせいでもあった。
亜紀さんは、小学校の頃から可愛くて人気者であり、中学では、他の女子よりもスタイルが良く乳房も豊かで、男子の憧れのような存在であった。
中学三年の時、交際している漁師とセックスして、妊娠し、堕胎したと言う噂が流れたが、真偽の程は定かではなかった。
しかし、周囲の女子よりも貌も肢体も、また言動も立ち振る舞いも、はるかに大人びていて、女子高でも、他の女子の憧れでもあった。
そうして、私は彼女と一緒に通学し、放課後は部活動を愉しみ、一緒に帰宅するという生活が始まった。
また夜、入浴と食事を終えた後、互いの家を行き来するようにもなった。
私は兄が都会の大学に入って独り暮らしを始めた後、兄の使っていた部屋を自分の部屋として宛がわれていた。
しかし、何かで飾るでもなく、ただ兄が置いて行ったステレオや本と、自分の本を並べ、兄が残したベッドを置いただけの殺風景な部屋であった。
亜紀さんの家は代々大きな船主で、漁船を数隻保有し、自分の家で漁をするだけでなく、漁船を貸して水揚げの一部を貸し賃として徴収しているだけあって、大層羽振りも良く、家も大きな屋敷の態を為しており、亜紀さんの部屋は、壁紙、カーテン、カーペット、ベッドカバーなどが色彩豊かで、自分用のテレビさえあった。
（続く）
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