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ホステスと大学生-2話



作家名:バロン椿
文字数:約3030文字(第2話)
公開日:2020年9月28日
管理番号:k059


うだるような熱帯夜は人の理性を狂わす。大学生の小山謙介の二十歳の誕生日が叔母のスナック「世津子」で開かれたが、ホステスの小林潤子が自分の初体験を語り出したことから雰囲気がおかしくなってきた。「私は本気よ」と潤子は謙介を口説きにかかった……



挿絵の官能小説画像


世津子はふぅーと息を吐くと、「ああ、恥かしい」と、グラスのワインを一気に飲み干していた。

「叔母さんもなかなかやるわね。ねえ、謙ちゃん」

「あ、はい」

謙介は上の空だった。

生々しい潤子と叔母の話に股間が膨らんでしまい、返事どころではなかった。

(あら、この子、勃起してる)

「ふふ、ふふふ、ママ、謙ちゃん、子供じゃないわよ!」
「あ、あ、いや」

潤子が親指を突き立てると、世津子も「まあ」と言って身を乗り出してきた。

「しょうがないわね」

「だって若いんだもん、ねえ、謙ちゃん」

「ち、違うよ」

謙介は両手で股間を隠しながら、顔を赤くして、トイレに逃げ込んでいった。

本気よ

「可愛いわね」
「だから、まだ子供だって言ったでしょう」

二人はグラスに残っていたワインを飲んでいたが、酔った世津子は「あの子、童貞よ」と笑った。

「だから好きなのよ」と潤子は意味ありげなことを言って、グラスのワインを飲み干し、新しい白ワインを開けたが、「まあ、奥手なのか、どうかは分らないけど」と世津子は謙介が駆け込んだトイレの方を見ていた。

エアコンが効いているとはいえ、店の中は蒸している。世津子は扇子を取り出し、それで胸元に風を送っていると、「ねえ」と潤子が呼んだ。

「なあに?」と振り返ると、ボトルを差し向けている。

「少しね」とグラスを出したが、勢いよく注いできた。

「あ、もうそれで」と世津子は慌ててグラスを持ち上げたが、時遅し。

溢れそうな程に満たされていた。

「こんなに入れて、どうするのよ」と睨んだが、勢いの止まらない潤子は「でも、お祝いでしょう」と、自分のグラスにもたっぷりと注ぐ。

(まあ、仕方ないわね……)

世津子はグラスに口を近づけ、「美味しいからいいけど」と一口含んだ。

しかし、全部飲んだら、目が回ってしまう。

だが、同じようにグラスに口を近づけていた潤子はそれをゴクゴクと半分程飲んでしまった。

「大丈夫?」と気遣うと、「大事なことを告るんだから」と照れくさそうに笑った。

怪しいと感じた世津子は「どうしたの、もったいぶったりして」と潤子の脛を軽く蹴った。

「あ、痛っ」と顔をしかめたが、直ぐにニヤニヤ笑い、「ええ、ちょっとね」と歯切れが悪い。

やはり、何か企んでいるようだ。

「はっきり言いなさいよ、あなたらしくない」と世津子がせっつくと、「ふふ」と笑った潤子が「ママ、謙ちゃんを頂いていい?」ととんでもないことを言い出した。

「な、何を言っているのよ」と世津子は思わず大きな声が出てしまったが、潤子は「え、だって高校生の頃から狙ってたんだから」とワインを美味しそうに飲み干した。

確かに潤子は謙介がお気に入りだ。

それは分かる。
だが、それとこれとは次元が違う。

「ば、バカなことを言わないでよ」と潤子の腕を掴んだが、「私は本気よ」と真顔で、視線を逸らさない。

潤子は男出入りの激しい女ではなかった。

むしろ、一人の男に惚れこんでしまう女だった。

だから、2度も結婚したが、2度とも相手に女が出来て、捨てられている。

そのことは世津子も知っている。

そんな潤子が顔は赤らみ、酔ってはいるが、「本気よ」と言うくらいだから、言葉にウソはなさそうだ。


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だからといって、「はい、どうぞ」とはいかない。

「そ、そんなこと言われても、姉から預かった大事な子供よ」

「だから、私なのよ」
「………」

「そんな大事な子供が、どこの誰だか分からない女に引っ掛かったり、ソープに通うことになってもいいの?」

「それはそうだけど、だからといって……」

その時、トイレの水が流れる音が聞こえてきた。

「あら、戻って来る」

潤子はニヤッと笑うと、世津子の返事も聞かずに、「何してたの?遅い!」とお絞りを持って謙介に抱きついていた。

世津子は持っていたグラスをくるくる回していたが、「飲まなきゃ、やってられないわ」とグラスのワインをグイッと一気に飲み干した。

早く行きなさい

「へ、変なことしないでよ」と、抱き付かれた謙介が慌てて身を捩ると、「だって大好きなんだから」と頬をぴったりつけてくる。

潤子の背丈は160cm、謙介は頭一つ以上違う178cm、慣れっこになっている悪ふざけだが、いつもは叔母の世津子が「ほらほら、嫌がってるんだから」と止めるのだが、今は見向きもしないで、独りワインを飲み続けている。

「どうしたの?」と潤子に聞くと、「飲みたいんだって」と小声で教えてくれたが、トイレに行く前は、「飲み過ぎちゃダメよ」と、むしろブレーキをかけていたのに、明らかに様子がおかしい。

(何があったんだろう?)

気にはなったが、潤子にふぅーと息を吹き掛けられると、関心はそちらに移ってしまう。

「ねえ、遊びに行こう」
「今から?」

「そうよ」
「どこへ?」

「新宿」
「叔母さんは?」

間抜けな質問だ。
潤子は「バカね。二人だけで行くのよ」と妖しく笑った。

潤子のことは以前から「イケてるオバサン」と思っていたが、そのイケてるオバサンが午前0時を過ぎた、こんな時間に「新宿に遊びに行こう」と誘っている。

気持ちがグラッとくるのは当たり前だ。

しかし、叔母の世津子がいい顔するか……謙介が迷っていると、「いつまで子供でいるつもりなの?」と股間に触れてきた。

びっくりして、潤子の顔を見ると、「ふふふ」と意味あり気に笑う。

これまで、何度もじゃれ合ってきたが、性的なことはしなかった。

それが、こんなことをする。

そして、「私とじゃ、いや?」と耳元で囁く。

頭が真っ白になった謙介が「あ、いや」と口ごもるのを見て、潤子はお尻を撫でると、「じゃあ、着替えてくるから」と奥に消えた。

すると、それまでこちらを見向きもせずにワインを飲んでいた叔母が、「謙介」と呼んだ。

顔を見ると、笑顔はない。

何を言われるか、少し緊張して隣に座ると、叔母は「可愛がってもらいなさい」とグラスのワインを飲み干した。

思わず、「ど、どういう意味なのさ?」と聞き返すと、「20歳でしょう。少しは頭を働かせなさい」と突き離された。

潤子とセックスする、そんなことなど、考えたこともなかった。

それが、突然、現実のものとなろうとしている。
謙介は急にドキドキしてきた。

そこに、「似合うかしら?」と潤子が着替えを済ませて戻ってきた。

先程までは白いブラウスにネイビーのミニスカートだったが、がらりとイメージを変え、赤を基調としたにじみ柄のミニ丈ドレープワンピース。

しかも、ノスリーブ。

その潤子が「行ける?」と言って、ドアの手前の鏡でルージュを塗り直している。

とても艶めかしくて、もう「イケてるオバサン」どころではない。

ビビった謙介は「叔母さん」と言ったが、世津子は返事をする代わりに、「早く行きなさい」と手を振っていた。

深夜のホテル

店の外に出ると、まだまだ熱帯夜。

むっとした熱気が体を包んできたが、謙介にはそれを感じる余裕はない。

並んで歩く潤子に「暑いわね」と言れても、「う、うん」としか言葉が出てこない。

表通りに出ると、潤子がタクシーを捕まえた。

「どちらまで?」

振り向く運転手に、「新宿の×××ホテルまでお願いします」と潤子が注げると、一瞬にして事情を察した運転手は前を向くと、黙って車を走らせた。

深夜の道は空いている。

直ぐに高層ビル街が近づいてくる。

潤子は窓の外を眺めているだけで、何も喋らないが、その代わりに手をギュッと握ってきた。

運転手はバックミラーでチラチラとこちらの様子を窺っている。

間もなく、車は右折し、高層ビル街の一角にある「×××ホテル」の正面玄関前で停まった。




(続く)





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