シェアワイフ-第7話
作家名:雄馬
文字数:約2970文字(第7話)
公開日:2020年9月22日
管理番号:k054
●登場人物
森晴彦(もり はるひこ)二十七歳
山根温行(やまね はるゆき)二十七歳
森明美(もり あけみ)二十七歳
山根裕子(やまね ゆうこ)二十五歳
「言い方がおかしいぞ。裕子ちゃんと並べるのに、明美の乳とは何だ。そこは明美でいいだろう。お前は明美を人として見ず、性欲を満足させるための物としか見ていない。俺より遥かにケダモノ指数が高い。俺はそんな冷血漢のフリをして裕子ちゃんを抱かなければならないのか」
「そのままで大丈夫だ。それから言っとくが、俺は誇張して面白おかしく話しているのであって、実際はそんなに酷い事はしていない。裕子が目をつぶるのも半分ふざけてだ」
「半分は命がけだろう」
「どうも誤解があるようだが、君は今日一日、鴛鴦(えんおう)も羨む、睦(むつ)まやかな、夫婦の鑑(かがみ)を目の当たりにしただろう」
「そうだったかなあ。裕子ちゃん、ずっと目をショボショボさせて、酷く怯えているように見えたけど」
「テキトーな事を言うな。ま、冗談はさて置き、キスはするなよ。ああ、やっと戻ってきた」
「俺はいいだろう。裕子ちゃんは目をつぶるんだから。明美は半眼だから駄目だけど」
「裕子は身を守るために目をつぶる。だからまずは置かれた状況を見極めようとする。特に今日はアパートの見慣れた寝室とは違うから、いつもより神経質に目を凝らして観察する可能性もある。だから顔は近づけるな」
「いつもより・・・・・・。不憫過ぎる。だけどキスした方が安全じゃないか。普通にセックスしてれば顔は近いから、むしろキスしてより密着した方が判別されにくいんじゃないか」
「普通にするな。俺のようにやれ」
「そっちも普通にやってくれよ。うちはノーマルなんだから、変幻自在にやられると明美が驚く」
「緊縛猿轡がノーマルか。なんなら鴨居に吊るそうか」
「あ!お前、明美の目玉舐めるなよ」
「勘違いするな。俺は舐めたいんじゃない、舐められたいんだ。すぐ舐め返してくれるならともかく、苦労して仕込んで森を喜ばせてもしかたがない」
「仕込んでおいてもらうのも悪くないかな。でも山根の口の中は不潔そうだからなあ」
「やかましい。だいたい今日はそれどころじゃない」
「そう言わずに」
「自分でやれ。とにかくキスはするな。顔を見られなくても感づかれる恐れがある。キスは意外と個性が出るからな」
「それはそうかもしれない。でも、したいな」
「俺もしたい。だが我慢しろ。バレたら二人とも息の根が止まる。キスは下の口に存分にしろ」
「わかった。下の口にディープキスをしよう」
「デ!うむ、俺も明美ちゃんにする。よし、そろそろ裕子を向こうに連れて行って寝かせるとしよう。岩風呂で落ち合おう」
「わかった」
「電気を消して出るのを忘れるな」
「すまん、遅くなった」
「裕子ちゃんが寝なかったのか?」
「寝るのはすぐ寝たんだが、ガッチリ抱きつかれて、ほどくのに手間取った」
「なに!」
「妬くな。夫婦だ」
「それはそうだけど、聞くとやっぱり妬ける」
「今から森が抱きつかれるんだぞ。それに今日は、いつになく大胆だ。俺が妬ける」
「そうか!」
「明美ちゃんは大丈夫か」
「ちょっと飲ませ過ぎたかもしれない。出て来る時うっかり足を踏んづけてしまったけど、無反応だった」
「ふぅむ。まぁ何とかなるだろう。それにその方が安全ではある。ところで、ひとつ大事な話をするのを忘れていた」
「まだ何かあるのか」
「俺のアヌスに手を出すな」
「なんだ?山根のアヌス?」
「いや、裕子のだ。裕子のアヌスは俺のものだ。指一本触れるな」
「お前は裕子ちゃんの肛門まで陵辱しているのか」
「いや、まだだ。押し付けただけだ」
「入らなかったのか」
「いや、裕子が嫌がった」
「そうか、裕子ちゃんが・・・・・・」
「嬉しいか。清楚な裕子が、アナルを拒んで安心したか。でも俺の肛門舐めるんだぞ。放射状に延びた皺の一本一本に舌を―」
「いい、それは」
「とにかく裕子の肛門に手出しすることは断じて許さん」
「そんな気は全然ないけど、一応こだわる理由を聞いておこうか」
「裕子の肛門は、俺たち夫婦の最後の砦だ」
「また可笑しな事を言い出したな」
「明美ちゃんは、森の前に男を知っていたか」
「唯の一人も知らない。正真正銘、折り紙付きの処女だった」
「あり得ん。結婚したのが二十四か。俺達の友情と、明美ちゃんの人格に対する配慮から、控えめに見積もって三人。化粧、服装、酒量、面魂(つらだましい)、男に接する態度、風聞、乳のサイズ、そのほか知り得る諸般の事情に、俺が巨乳に懐く個人的偏見を加味して弾き出した数字を遠慮なく言わせてもらえば十―」
「わかったよ。それで」
「前の男とアナルセックスをしていたか」
「してないだろう。やりたがる男もやらせる女も気が知れないって言ってたから」
「そうだろう。そういう事だ」
「どういう事だ」
「つまり森に残されたサラの穴は唯ひとつ。肛門だけが、森と明美ちゃんを繋ぐ唯一の絆だ」
「お前は何を言ってるんだ」
「裕子も処女ではなかったが、肛門は無事だった。裕子の肛門は誰も知らない。最後のフロンティアだ。俺のものだ。もしお前が裕子の肛門を獲りにいくと言うのなら、この計画はナシだ。それでもいいのかっ!」
「うん。やっぱりバレそうだし、やめたい」
「オイオイ、この期に及んで何を言い出すんだ。短慮はいけない。森は裕子のアヌスを狙っているのか?」
「そんなものは狙わない」
「そんなものとは何だ、そんなものとは!俺にとって裕子のアヌスは……。ま、いいや。興味ないなら問題なし。勇気を振り絞って遣り遂げよう」
「そっちこそ明美の肛門狙うなよ」
「え!」
「このヤロウ!やっぱりこの計画は―」
「まてまて、冗談だ。俺の目当ては乳だけだ。森の穴を盗掘したりはしない」
「変な言い方やめろ。モノじゃないんだ。それからスペシャルはやめとけよ。慣れてないと加減が難しい。強くすると怒るからな」
「縛っても見えなきゃ仕方ない。待てよ。目隠しすれば電気を点けられるな。そうすれば、アノ大いなる乳が遠慮なく拝める。そして乳首が本当に桜の花びらのように薄桃色か確認できる。そうだ、カメラカメラ」
「ヤメロ」
「まあ、危ないからよそう。俺は乳房狭搾(にゅうぼうきょうさく)さえやって貰えば充分だ」
「変な名前付けて、とんでもない事するなよ」
「初めてやるんだから普通のでいいんだ。しかし出来るかな」
「普通のは多分大丈夫だ。酒が入ってるし、すぐに応じるだろう」
「そんな簡単に挟んでくるほど頻繁にやらせてるのか」
「当然だろう。自宅に巨乳が住んでるんだぞ。正常な男だったら、何度も何度も、繰り返し繰り返し、挟んでもらうだろう。聖徳太子だって弘法大師だって、男だったら―」
「そうだそうだ、キリストだって釈迦牟尼だって、男だったら夜ごと挟んでもらうだろうョ。さて、それじゃあ、ぼちぼち配置につこうか」
「あ、ケツの毛どうした」
「やっと気がついたか。計画を思い立った時、すぐに丸めたのだ。尻から尻が割れると困るからな。裕子をつるつるに慣らしておいたのだ。蚊の攻撃に無防備になってしまったが、これも森のためだ」
「それはどうも有り難う、って自分の為だろう」
「同じ事だ。俺達二人は一蓮托生。同じ穴の狢だ。あっ、穴は前だぞ、後ろはダメだからな」
「くどいな。わかってるよ」
「さて、そろそろ行くか」
「うん、でも怖いな」
「怖い。だが、これも平和のためだ」
「そうだな。よし行こう」
「作戦終了時刻はマルサンマルマル。終わったら又ここに集合だ」
「了解した」
「グッドラック」
(続く)
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