シェアワイフ-第5話
作家名:雄馬
文字数:約3080文字(第5話)
公開日:2020年9月15日
管理番号:k054
●登場人物
森晴彦(もり はるひこ)二十七歳
山根温行(やまね はるゆき)二十七歳
森明美(もり あけみ)二十七歳
山根裕子(やまね ゆうこ)二十五歳
「で、何処まで行った」
「唾液で乳首が透けたところだけど、俺の話は大体以上だ」
「ピンクのブラウスに緊縛猿轡・・・・・・。なかなかやるな。一糸纏わずというのは却って艶かしさに欠けるからな。それに巨大な乳に女子高のブラウスという歪な調和が、ありふれたプレイに一服の―」
「女子高じゃないぞ」
「うるさい!人のファンタジーに喙を容れるな。今いい所だ」
「気持ち悪ィから、ここでチンコ立てるなよ」
「で、それから何だったかな。そうだ目隠しだ。目隠しというのは簡単だが意外に効果は小さくない。周囲の状況が分からないと、不安感から性的興奮が弥増(いやま)す。視覚に頼れない分、他の感覚が鋭敏になるからな。明美ちゃん濡れるだろう」
「濡れる」
「俺のスペシャルも目隠しはしないが、こっちから相手は見えない。見えないのに見られる。それも自分でも見たことのない恥ずかしい部位を、文字通り目と鼻の先という至近距離で微細に観察される。これも俺のスペシャルの重要なファクターだ。羞恥心と被虐心が大脳皮質を刺激するからな。俺も大層濡れる」
「汚ねえなぁ」
「で、終わりか?フム、悪くない。だが・・・・・・。少々アリキタリだな」
「アリキタリ?それはビデオの中の話だろう。それに、たとえ世の全ての男が同じ事をやってるとしても、それが俺に何の関係がある。そもそもお前は明美の乳の大きさを知って、その弾力を知らない。吸い付くような皮膚の瑞瑞しさを知らない。明美の乳を知らずして、明美のパイズリを語るな。
山根も明美の乳と交われば、明美のパイズリがパイズリの白眉と知るだろう。しかし明美は俺の妻だ。俺は明美を愛している。垂れようが萎もうが関係ない。特別な技巧も必要ない。明美の乳は俺にとってそれだけでスペシャルだ」
「熱いな。しかしその通りだ。俺も明美ちゃんを愛している。俺にとっても明美ちゃんの乳はスペシャルに違いない」
「人の妻を愛すな」
「随分ゆっくりだったね。男湯には滑り台でも付いてるの?」
「女湯のぞいてたりして」
「ほんとだ。オヤジ二人でねぇ。おい、そこのスケベおじさんたち、すぐゴハンが来るよ」
「あ、そう。酒は?」
「ビールたのんだけど、お酒が良かった?」
「イヤ、とりあえずいいよ。どうせ足りないんだから、あとはオイオイ。なぁ山根クン」
「そうだな、森クン」
「何それ、何たくらんでるの。気持ち悪い」
「何の事だ。お、ビール来たビール。裕子ちゃんもビールで良かったの?」
「ハーイ」
「裕子はとりあえずビールで喉を湿して、通りが良くなったら焼酎を水のように流し込むんだ。近頃は」
「嘘だよぉ。嘘ですよ」
「ハハ。まずは乾杯しよう。幹事、音頭」
「よし。それでは僭越では御座いますが、四人の健康と、永遠(とわ)の友情を祈念致しまして。乾杯」
「カンパーイ」
「おい、二人ともぜんぜん酔わないぞ」
「ずいぶん食ったからなぁ」
「メシは温泉の一番の楽しみだからな。しかたがない」
「酒飲みは飲み始めたらあまり食わんもんだが、あの二人はよく食うなあ。ツマミの追加までしやがって。箸の休む暇もない」
「だけど何も食わずにひたすら酒をあおる女はイヤだな」
「やや!裕子のヤツ、会社に持って行くつもりだった温泉饅頭開けてやがる。饅頭で酒飲むなよ。あいつらに付き合ってると俺達が先に潰れる」
「じゃあどうする」
「麦酒や日本酒じゃあ埒が明かん。もっと強い酒で盛り潰そう。なんか頼め」
「何にしよう」
「そうだな、裕子は近ごろ焼酎に凝ってるからそれでいくか。明美ちゃんはどうする」
「明美は何でもいけるから、裕子ちゃんが飲むなら焼酎に付き合うだろう」
「よし、帳場に電話して百度の焼酎もって来させろ」
「あるか、そんなもん」
「どうだ、もういけるだろう」
「うん、二人とも大分回って来たみたいだ。明美は例によって、むかし置き引きされたヴィトンの愚痴がエンドレスになって来た。裕子ちゃんもかなり様子が変だ。体をクネクネさせてずっと笑ってる。妙に色っぽいな。酔うといつもあんな感じだったっけ?」
「浴衣に入った枝豆を探してるんだ。かれこれ二十分になる。そろそろ潮時だな」
「でも念の為もう少し飲ませた方が良くないか?二人ともまだ元気だぞ」
「ヨッパライは大抵寝るまで元気だ。しかしここで寝られちゃ困るから、そろそろ裕子を向こうの部屋に連れて行こう」
「じゃあ俺はもう少し飲ませて明美を潰しておくよ。そっちも残ってる酒持って行って裕子ちゃんにトドメを刺してくれ」
「何言ってる。完全に潰してどうするんだ。俺のパイズリ大作戦をどうしてくれるんだ。取り敢えずは寝てもらわなきゃ困るが、朝まで爆睡されたら計画が台無しだ。その上ゲロでも吐かれた日には・・・・・・」
「それもそうか。裕子ちゃんも潰れてしまってはタマノレンが難しくなるな」
「ノレンじゃないスダレだ。ん?オイコラ。俺のスペシャルをやるつもりか?」
「ダメか」
「ダメだろう、それは」
「だけど、さっき俺がスペシャルの虜になるのを心配してたじゃないか」
「あれは言葉の綾だ。リアルに虜になられてたまるか。裕子の奴隷は俺一人で沢山だ」
「じゃあダメか」
「知れた事だ」
「それならこの計画はナシだな」
「ほぅ、そうか。尻の穴を舐めない裕子は抱く価値がないか。金玉を口にふくんで初めて裕子はスペシャルか。森にとって裕子はその程度の女なのか。そんならよせ」
「いや、そんなことはない。裕子ちゃんは俺にとってそれだけでスペシャルだ」
「そうだろう。今敢えて話す必要はないし、そもそもそれを言葉にするのは難しいが、裕子の身体はスペシャルだ。小さいが均整の取れた肢体。新体操で培われた引き締まった腹筋、柔軟な股関節。俺にとっては勿論、この世の総ての男にとってスペシャルだろう。
だがそんなものはさして重要ではない。裕子の真価は心にある。裕子は心がスペシャルだ。それは、森、お前にも分かっているだろう。お前は正しかった」
「そうだ!彼女が入社して来た時、俺は一目見てピンと来たんだ。それまでお前は明美のことを追い回してたくせに、俺が裕子ちゃんの事をちょっと話したら、途端に――」
「言うな。過ぎた事だ。それとも森は後悔しているのか、望月明美と契ったことを」
「そんなことはない。良かったと思ってる」
「そうだろう。これで良かったんだ。ところでフェラはやらせてもいいぞ」
「いいのか」
「しかし、ひとつ問題がある」
「何だ」
「フェラは頼まないとやってくれない。ところが俺達は口がきけない。かといって黙って押し付けるようなことをしても裕子はやらない」
「嫌いなら無理にやってもらわなくてもいい」
「嫌いというより裕子は奥手だから恥ずかしいんだろう」
「奥手の裕子ちゃんに肛門を舐めさせてるのか」
「三年掛かった」
「そういうことはやめろ!」
「夫婦の問題だ、口を挟むな。だいたい猿轡を使う奴に言われる筋合いはない。それはともかく、裕子はフェラが好きではないが下手ではない。それに恥ずかしそうにやるのが堪らない。上目遣いで顔色を伺いながら、こっそり盗むように舌を出し―」
「やめてくれ。出来ないことを聞かしてくれるな」
「そうか。しかし、ことによると今日は頼まなくてもやるかもしれない」
「本当か!裕子ちゃん、やってくれるか」
「ゆうちゃんが、何やるんですかぁ」
「あ、何でもないョ、こっちの話。まだお酒ある?」
「コルゥァ、ソコォォォ。さっきっから隅の方で、なぁぁにをコソココソソココやってんだぁ、スケベおじさんたちはぁ」
「スケベおじさんたちぃぃぃぃぃ!」
「二人とも好い具合に出来上がったな。でも少し声を落とせ」
「わかった。それでさっきの話は」
(続く)
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