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アナルファンタジー(4)激愛-第5話



作家名:優香
文字数:約3090文字(第5話)
公開日:2020年9月15日
管理番号:k055


挿絵の官能小説画像

悠美は夢中になって、次々にサイトを開いてみる。

肛門の事を「アナル」と呼ぶのも理解したし、排泄、及び排泄物を扱う物を「スカトロ」と称するのも解った。

「スカトロ」というテーマにはさほど興味は覚えなかったが、それでも排泄している処や、自分の排泄物を他人の視線に曝す事に快感を覚える女性がいる事には、驚くのと同時に、ある種の安心を覚えた。

それは、肛門でオナニーする自分に対する背徳感、嫌悪感を薄れさせたからであった。
アナル セックスのサイトには取り分け興味を覚えた。

勿論ぼかしが掛かっているので、そのもの自体を確認出来た訳ではないが、未だ女性器でのセックスが未経験で、勃起した男性器さえ見た事のない悠美でも、男性の勃起であろう物体が、女性器の下部に位置する不浄の孔にめり込んでいるであろうシーンは、それなりに想像出来たのである。

自分だけではなかった。
肛門で快感を覚え、肛門でオナニーをする女性は、私以外にも沢山いるのだ。

それは、決して架空の、実体のない存在ではないはずであった。
男性同士のセックスもあった。

男性には、当然の様に女性器に当たる孔がないのだから、女性器の代用として肛門を使用するのだという事も理解出来た。

しかし、男性のそれと、女性が肛門で快感を覚え、オナニーしたりセックスしたりするのとは、その心理に置ける位置も、快感の把握の仕方も多少異なるのではないかと、心身共に未熟で未経験な悠美でも、そのニュアンスの違いには気付いていた。

父親が帰宅し、母が階下から夕食の声を掛けるまで、悠美は数時間、夢中になっていた。

さらに、夕食を終え、入浴を済ませた後、再びパソコンに向かい、ほとんど夜が明けるまで、悠美は自分の性癖について、納得は出来ないまでも、調べ続けたのであった。

お陰で、幸か不幸か、悠美の肛門で快楽を覚える事に関しての背徳感、孤独感は多少なりとも薄れ、当然のように、ほとんど毎日のように、肛門でのオナニーに明け暮れる様になっていた。

オナニーだけでなく、その前提行為である浣腸にも関心を持つようになり、入浴した後、シャワーのノズルを外してお湯を肛門に注入してから、急いでパジャマを身に付け、二階のトイレで排泄したり、トイレのビデ用の水を指で解した肛門に注入して浣腸したり、挙句にはデパートの売り場で、昆虫採集用のビニール製の注射器を手に入れたりもした。

休日に父母が終日出掛けている時などは、浴室で、壁にはめ込んである鏡を外して床に置き、その上にしゃがんで排泄し、肛門が排泄物を吐き出す異様な姿を観察しながら、クリトリスでオナニーをしてエクスタシーを覚えたり、シャワーのノズルを外して肛門に挿入し、お湯を出しっ放しにして浣腸と排泄を繰り返しながらクリトリスでオナニーをしてエクスタシーを貪ったりもした。

そして、セックスも未経験の悠美にとって、肛門でのオナニーが、今やなくてはならない快楽を得る手段となっていたのであった。

悠美は、相変わらずインターネットで「肛門」「アナル」のサイトを開き続け、自分の性癖に対する背徳感、孤独感はさらに薄れたものの、それでも学校内や、徒歩と電車での通学中に見る、普通の性癖を持っているであろう女性に対して、劣等感にも似た意識を抱くのを否めずにはいられなかった。

それが、悠美の清楚で純真な美貌に、ある種、その年令ではあるはずのない独特の陰影を醸し出しているのには、可能な限り明るく振舞おうとする本人は勿論、周辺の友人達が気付くはずもなかった。


高校三年生の夏、悠美は、ある女性歌手と出遭った。
《私と?似ている?》

彼女をブラウン管で初めて観た時、悠美は瞬間的にそう感じた。

貌立ち、仕草、容姿さえも、並んで立ったら誰もが姉妹と想う程似ていた。

「実はな、おれが他の女性に産ませた子で、お前の母違いの姉なんだ」
「私が、お父さんと知り合う前に産んだ子なのよ」

両親が、テレビを観ながらそんな冗談を言う程、誰が観ても似ていると想う程だった。

「悠美ちゃんとあの人、絶対訳在りの姉妹なのよ」
友人達も学校で話題にした。

悠美は、似ているというだけでなく、彼女に対して特殊な感情を抱いた。

しかしそれがどんな種類の感情であるかは、悠美自身理解していなかった。

悠美は彼女のCDを買って暇さえあれば聴き、彼女のブログを毎朝毎晩開いて読み、彼女の記事の載っている週刊誌を全て買って記事をスクラップブックにまとめた。

関東で開催されるコンサートには必ず行った。

休日に私服で町を歩いていて、間違えてサインを求められる事もあったので、私服で出掛ける時は、母親のサングラスを借り、野球帽を深めに被る事さえした。

両親は、子供の頃から何に対しても深い興味を示さず、趣味らしい趣味も持たなかった娘が、彼女に夢中になった事を好意的に見守った。


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彼女は爆発的な人気を得、シングルCDがミリオンセラーになり、夏にデビューしたにも拘わらず、その年のポップス関係の賞を総獲りし、新人でレコード大賞を受賞した。

年明けに二枚目のシングルCDと有名な写真家が撮った写真集が発売された。

都内のレコードショップでサイン会が開催され、勿論悠美は出掛けた。

三〇〇〇人近いファンが列を成し、全員には不可能と判断した関係者が、五〇〇人までに限定し、残りのファンにはサイン入りのCD、写真集を振り込み、郵送で受け付けるという異例の事態になったが、幸い悠美は五〇〇人の中に入っていた。

並んでから五時間近く経って、やっと悠美の番になった。

悠美は瞬間的に、野球帽はともかく、サングラスは失礼だろうと判断して外していた。

店員にCDと写真集の代金を払い、彼女の前の椅子に立った。

彼女はCDと写真集にサインペンを走らせてから、にこやかに貌を上げて悠美を観た。

その彼女の貌が一瞬真顔になった。
「貴方、私にそっくりね」

彼女を間近で観られるだけでも胸をときめかせていたのに、話し掛けられた。

「あ、は、はい、み、皆に、い、言われます」

悠美はふと、彼女が自分に向けた微笑が、それまでのファンに向けた社交辞令的なそれとは違って、感情が籠っているような気がした。

しかし、それはファンである誰もが、自分に対してだけ特別、と感じる自己中心的な想いであったかも知れなかった。

彼女の素敵な微笑みに対して微笑み返そうとしたが、酷くぎこちないものだった。

「コンサートには来てくれてるの?」
「は、はい。か、関東であるのは、か、必ず」

「嬉しいわ。また来てね」

彼女は驚いた事に立ち上がり、折り畳みテーブル越しではあったが、握手しながら悠美を抱き寄せ、頬を摺り寄せただけでなく、頬に軽くキスしてくれたのだった。

それまで、そしてそれ以降、誰に対しても握手するだけだったのだ。

周囲の誰もがその出来事に対して、未だ幼く化粧っ気もない可愛い女子高校生に、彼女が自分に似ているからと、気紛れでした事と、好意的に見守っただけであったが、悠美は有頂天になった。

帰宅してからの、両親との夕食で、その事を話そうかと想ったが、何故か悠美はサイン会で握手してもらったとしか、言わなかった。

悠美は既に、彼女に対して特別な感情を抱いてしまっていた。

以前クラスメートとオナニーを見せ合い、乳房と女性器を愛撫し合った経験しかない悠美は、その瞬間から彼女を、性欲の対象として愛するようになってしまっていた。

夕食後、入浴しても洗顔はしなかった。
頬が未だ火照っていた。

シャンプーもせずに身体だけを洗い、歯を磨いて、二階の部屋に戻り、ベッドに入る。

パジャマの内に手を忍ばせ、乳房とクリトリスをゆっくり愛撫しながら、彼女の微笑を脳裏に浮かべる。



(続く)





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