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詩織の冒険・リベンジ-5話



作家名:キラ琥珀
文字数:約4210文字(第5話)
公開日:2020年6月27日
管理番号:k035


挿絵の官能小説画像


コーラルリーフ・インターナショナル・ホテルは、渋谷にある外資系のホテルである。

もちろん、シングルベッドの狭い部屋などはない。
最低でもキングサイズのベッドなのだ。


二階堂和夫の会社は、このホテルのエグゼクティブフロアに一室をキープしてあった。
コーナーツインで、五十平方メートルの広さの部屋である。

バスは、大きく窓を設置したビューバスタイプで、シャワーブースは独立している。
得意客の宿泊のためなら、このくらいが適当な広さである。

スイートルームでは、さすがに広すぎる。
スイートが必要になったときは、そのときに予約すればよい。


二階堂和夫の会社としてキープした部屋である。
だが、二階堂が個人で使うこともあった。

社長なのだから、それくらいいいではないか。
彼は、この部屋に、いくつかの改造を加えた。

その一つが音響反応である。
手を叩くだけで、その音の調子で、種々のコントロールをするのだ。

ゴロゴロしたリモコンを使うよりも、便利でいい。


二階堂は、手を叩いて、音楽を替えた。
ボーカルに代わり、ソフトなインストゥルメンタルジャズが、低く流れてきた。


「じゃぁ……奥さま、どうぞ……ベッドへ……」
「昔通りね?」
「そう……」


詩織は、尻を振りながらベッドへ行った。
フットスローとベッドスプレッドを剥ぎ取り、掛布団をずらし、真っ白いシーツを出した。

シーツの上に、大の字に寝た。

二階堂は、詩織を見ながら、手早く裸になった。
もうすでに肉棒が立っている。
ベッドに近づき、飛び込んだ。

詩織は、二階堂にかじりついた。
男の匂いがむせかえるようだ。
ああ、ひさしぶりだわ。

二階堂とつき合い始めたころは、身体を合わせる前はシャワーを浴びていた。
だが、ある日を境にして、シャワーはなくなったのである。


それは、真夏の暑い日であった。
汗で、ブラウスが肌についてしまった。

濃いピンク色のブラジャ―が丸見えになったのだ。
それを見た二階堂は、異様に興奮した。

そして、ラブホテルへ入るなり、詩織の服を剥ぎ取り、抱きついてきたのであった。

それ以来、シャワーを浴びずにセックスをすることが習慣となったのだ。
もちろん、下着は濃いピンク色である。


詩織は、あのときのことを思い出していた。
そう、この匂いなのだ。
この肌の感触なのだ。

「ああ……いいわぁ……」

詩織は、かじりついたまま、ため息を洩らした。

「うっ……」

ため息が、唇で塞がれた。
二階堂の舌が、ヌメヌメと蠢いた。

詩織の舌が、それに合わせて動く。
二階堂の右手が、大きい乳房を掴んだ。
ゆっくりと揉む。


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「んぐ……んぐ……」

詩織は、喉で呻いた。
彼女は、悶えながら、舌を絡めた。
唾液が口に広がる。

二階堂が、溜まった唾液を飲み込み、そのまま、詩織の口を吸い上げた。
そして、口を離し、詩織を見つめた。


「これが詩織だな」
「なにが?」

「唾液……それに……汗……」
「いやぁ……」

詩織は、かじりついていた腕を放し、大の字になった。
二階堂の手は、乳房を揉んだままである。

「ねえ……」

詩織が甘い声を出した。


「なんだい?」
「あたしと別れてから、何人?」

「そんなに多くないよ」
「嘘でしょう……。それとも、特定の人が? かわいいアイドルとか……」

「それはない。ITの若い社長がアイドルとつき合う、なんていうのは嘘だ」
「でも、週刊誌や芸能情報で……」

「確かに、そういう者もいるよ。でも、あれはホンモノじゃないね」
「ホンモノ?」

「ホンモノのIT経営者なら、アイドルとつき合っている暇はないはずだ」
「あなたみたいに?」

「ウン。アイドルとつき合う暇があればホンモノとつき合う」
「ホンモノ?」
「ホンモノのいい女……詩織さ」

二階堂は、片手を詩織の股に伸ばした。

「うっ」

詩織が、ビクンとした。
淫核を触られたのだ。

二階堂の指が、淫核を撫でる。
微妙な加減で撫でている。

「ああああ……」

詩織は腰をくねらせた。
ものすごく感じる。

こういう感じは、もう長いこと忘れていた。
夫から与えられた記憶はない。

詩織は、夫と二階堂を比べていた。
結婚以来、何度も比べたものであった。

そして、今、また比べている。
結果は――、もちろん、二階堂の完勝である。

(満足させてくれないあなたが悪いんだわ)

詩織の頭から夫が消えた。
ここ、ここにいる男、快楽を与えてくれる男、それがすべてだった。

詩織は、手を伸ばして、二階堂の股間を探した。
そして、肉棒を探りあてて、握った。

それに答えるかのように、二階堂の指が淫壺に入った。

「うっ……」

指が中で動いた。
グニュグニュと、指が壺の中で蠢いている。


「あっ、あっ、ああああ……」


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詩織の腰が痙攣した。
自然に動くのだ。

「ああん、ああん、ああん……」

指の運動が激しくなった。

「ああああ……もう……」

洪水になった。


「ね、ね、ねぇ……お願い……」
「なに?」
「ヤって」

「なにを?」
「いじわる。入れてよ」
「なにを?」

「これ、これよ」
「これを、どうするの?」
「入れるの」

「どこへ?」
「ここに……」

「こうかい?」
「そ、そう……ああああ……イク、イク、イクぅぅぅ……」


   * * *


大化メディカル産業でバイトをするのは、水、木、金の三日間である。
二階堂と逢ったのが土曜日。

次の水曜日まで、五日ある。
五日あれば大丈夫であろう。

二階堂と別れてマンションに帰った詩織は、すぐにネットで注文を出した。
五日あれば届くはずであった。

もし、間に合わなければ、計画を変更すればよい。
それ以外の品物は、近所のスーパーの衣料品売り場で買った。

そして、プロトタイプ・Xを調べ、自作のプログラムを組み込んだのである。


そして、水曜日になった。
いつもどおりの服装で大化メディカル産業へ行った。

いつもどおりの狭い部屋で仕事を始めると、勝呂が入ってきた。

「やあ、やって来たね。まあ、来ないわけにはいかないだろうけど」


詩織は、モナ・リザも顔負けの、神秘な、なにを考えているのか分からない微笑をたたえて言った。

「あなた、女心を知らないわね」
「え?」

「エッチしたいなら、そう言えばいいのに。媚薬なんて使わないで」
「なんだ、ヤる気だったのか?」

「そうよ」
「じゃぁ、ヤろう」
「今はダメ。仕事中じゃない」

「いいじゃないか」
「こんな狭い部屋じゃ、ムードが出ないわ。女はムードが大切なのよ」
「そうか」

「やはり、シティホテルじゃないと……」
「それもそうだなぁ」
「ね、明日、渋谷に出ない?」

「明日? 仕事があるぜ」
「あなたくらいの地位なら、なんとでもなるでしょう。私も、体調が悪い、と言って休むわ」

「じゃぁ、明日にしよう」
「嬉しいわ。場所や時間は、後で連絡する。メルアドは?」
「これだよ」


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勝呂は、スマホを出した。
詩織も、スマホを取り出して、メルアドを受け取った。

「そういえば……」
「なに?」

「あの写真、そこに入っているの?」
「そうさ。ほら」

勝呂は、スマホを操作して、詩織のあられもない姿の写真を出した。


「それ、消してよ」
「だめだよ。僕と詩織の記念じゃないか」

「他人に見られたら、どうするのよ」
「大丈夫。前にも言ったろう。このスマホの中だけにはいっている。クラウドには出していない」

「絶対、外に出さないでね」
「約束する」


そして次の日。
詩織はコーラルリーフ・インターナショナル・ホテルの一室にいた。

二階堂とエッチをしたホテルである。
ただ、部屋は別であった。

スタンダードフロアの部屋なのだ。
あの部屋を使いたい、と言えば二階堂は貸してくれたであろう。

だが、勝呂なんかには勿体ない。
勝呂にはスタンダードフロアで十分なのだ。


詩織は、ホテル名と部屋番号、それに会う時間を、今朝、勝呂にメールしておいた。
そして、会う時間より一時間早く部屋に入って、準備をしたのである。

着がえて、上にガウンを羽織った。
スーパーの衣料品売り場で買った安物のブラジャーとパンティを、さりげなく化粧台の机の隅に置いた。

その他の道具は、トートバッグへ入れたままである。


時間通りに勝呂がやってきた。
詩織は、ドアを開けて勝呂を中に入れるとソファに座った。

「うわぁ、大きい部屋だねぇ」
「こういう部屋だと、やる気が出る。そうじゃない?」
「うん、そうだね」


勝呂は、詩織のガウン姿を見た。
化粧台の机の隅にある下着を、目ざとく見つけた。

なにを想像したのかは、記すまでもない。

「あっ、これ、おみやげ」

勝呂は、新茜が丘駅前商店街の紙袋をソファの前のテーブルに置いた。

「なに?」
「フライド・チキン。一緒に食べようよ」

詩織は驚いてしまった。

(こいつ、どこまでバカなんだ)

シティホテルで女性と逢う、というシチュエーションならば、持ってくるのはシャンパンに決まっているではないか。
ローカルな商店街のフライド・チキンで女が口説けるのか、このバカ。


詩織は、例のモナ・リザの微笑を浮かべた。

「うれしいわ」

勝呂は、詩織の隣に座り、フライド・チキンの包みを開いた。
詩織は、ハンドバッグからさりげなくスマホを出し、テーブルに置いた。

準備完了である。

勝呂が、フライド・チキンを取り出した。

「さあ、どうぞ」
「その前に、お願いがあるの」

「なに?」
「私の写真、もう一度見せてよ」
「なんだ、詩織も好きだねぇ」


勝呂は、スマホを取り出し、画面にタッチした。

「ええと……あれ、おかしいな……」
「どうしたの?」
「ここに入れたんだけど……うわ、これ、なんだ?」

「なあに?」
「こんなの、入れたつもりはないぞ」


詩織は、勝呂の顔を見て、冷たく言った。
絶対零度の冷たさである。

「幼稚園児を、中年の男がイラマチオしているんでしょう?」
「そうなんだよ」

「一枚や二枚じゃないわね」
「うん。これ、すごい量だ。え、あれ、なぜわかるんだ?」

「今はネットが発達しているから、無修正のモノでも変態モノでも、なんでも見れる……警察も取り締まらない」

詩織の声は、絶対零度より冷たくなった。

「でもね、ただ一つだけ厳しい規制があるのよね」
「……」

「幼児ポルノ」
「……」

「これは、持っているだけで罪になるの。知っているでしょう」
「……」
「そのスマホを警察が見たら、即、逮捕よ」


勝呂は蒼白になった。
幼児ポルノの規制の厳しさは知っていた。

これを警察に知られたら……。
会社に警察が来て……。

逮捕されて……。
手錠を掛けられて……。

外にはテレビ局が待っていて……。
ワイドショーで全国放映されて……。


〈次期社長候補の美青年が幼児ポルノを所持〉
〈本人は、「社内の陰謀だ」と見え透いた言いわけ〉

陰謀!

勝呂は詩織を見た。

「これ、詩織の仕業だな」




(続く)





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