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詩織の冒険・リベンジ-4話



作家名:キラ琥珀
文字数:約4090文字(第4話)
公開日:2020年6月26日
管理番号:k035


挿絵の官能小説画像


二十五歳――。
女性が「ヤバいぞ」と思う年齢である。

結婚、の二字が目の前にチラつく。
あと五年だ……。

結婚しないで三十代になるなんて……。
考えただけでもゾッとするわよね。


詩織が結婚を考えたとき、彼女の前には二人の男がいた。
一人は、今の夫である新田卓也。
もう一人は二階堂和夫であった。

二人とも、コンピュータ関係では世界的規模の会社のISHに勤めていた。
つまり詩織の同僚だったのである。


結果として夫となった新田卓也は、ある意味安定志向であった。
ISHで出世を目指していたのである。

それに対し、二階堂和夫は冒険を厭わなかった。
独立し、IT会社を設立したのである。

そして、成功した。
大金持ちになったのである。


二人のうち、どちらを選ぶか?
詩織の答えは明確であった。

安定志向の新田卓也である。
起業すれば多額の収入が得られる。

だが、会社経営には危険がつきまとう。
一歩間違えれば倒産してしまう。
そういう冒険につき合う気はなかったのだ。


もっとも、セックスに関する冒険は別であるが――。

詩織は、シャワーの下で何度も吠えた。

「ちくちょう、ちくしょう、ちくしょう」

媚薬で強姦された……。

(ちくしょうめ)

しかも、ものすごい早漏だ……。

(あのバカ)

恥ずかしい写真で脅迫した……。

(ちくしょう、このままじゃぁ、済まさないぞ)


リベンジ!
目には目を!

倍返ししてやる!
この恨み、晴らさでおくべきか!

詩織の理系の頭脳は、ものすごい速さで回転した。
とくに怒り狂っているときは、回転速度がアップする。

やがて……。
詩織はシャワーを止めた。


「よし、やろう」

決断と行動が速いのが彼女の性格である。
しかし、慎重でもある。

(ミスはないかな)

念入りに考えた。

詩織は、冷凍庫にあったピザを解凍して、夕食にした。
食べながら、もう一度考えた。

(これなら大丈夫だ)


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そして、スマホを取り上げて、電話した。

「はい?」
「もしもし、二階堂さんね」

「ええ。どちらさま?」
「新田です」

「は?」
「新田詩織」

「ああ、なんだ、詩織か。新田、なんて言うから、誰かと思ったぞ。しばらくだな」
「ほんと、しばらくね」

「今ごろどうした?」
「実は……」

「待て、当てて見せる。旦那と別れるんだ。俺の方が、やっぱりよかった……。正解だろう?」
「うふふ……どうかなぁ……」

「半分は当たっている? じゃぁ、別れるつもりはないけど、浮気したいんだ。俺のを忘れられないんだろう?」
「あなたは、私のアレを忘れた?」

「忘れてないさ。詩織よ、自分じゃ分かってないかもしれないが、お前の身体は一流なんだぜ」
「ありがとう、嬉しいわ」

「おっと、素直だな。詩織が素直なときは注意しないと」
「実はね、頼みがあるの」

「やっぱりだ」
「貸して欲しいモノがあるの」

「俺のモノ?」
「違うわ」

「なに?」
「Xよ」

「X? S・E・Xか?」
「ブブー」

「まさか、プロトタイプ・Xか?」
「ピンポーン」

「それ、ヤバくない?」
「気にしない、気にしない。お礼は、一流の身体」


詩織の住む茜が丘からいちばん近い都心は渋谷である。
土曜日に、詩織は軽い昼食を済ませると、渋谷へ出た。

都合のよいことに、二階堂が経営する会社は渋谷にあった。

詩織は、彼の会社を訪問するつもりでいた。
だが、二階堂が電話で言ったのだ。


「ひさしぶりだから、ホテルにしよう」
「ラブホ?」
「そんなセコいとこじゃないよ」

二階堂の会社が、シティホテルの一室を、常時押さえてあるというのだ。

「ホテルの名前はコーラルリーフ・インターナショナル・ホテルだ。高層ビルだからすぐに分かるよ。そこで会おう」

「分かったわ」
「部屋の番号は……」

二階堂は、部屋の番号を教えた。
彼の会社の名前と部屋の番号を告げれば、キーを渡してくれるというのである。


「それで……部屋で会うかい? それとも、先ず、お茶でも飲むか?」
「先ず、コーヒーを飲みましょう」

「昔みたいにガツガツはしないんだ?」
「バカねぇ」


というわけで、土曜日、詩織はコーラルリーフ・インターナショナル・ホテルのラウンジに来たのである。

仕事中です、という雰囲気の地味なスーツ姿であった。
下着は地味ではなかったが。


待つまでもなく二階堂が入って来た。

「や、お待たせ」


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彼は、最後に見たときよりも、はつらつとして、エネルギーに溢れていた。

自分で会社を経営している、という自信と活気なのであろう。
詩織は、「忙しいとこ、すみません」と頭を下げた。

「いいんだよ。時間はどうにでもなる……」

会社経営者にとって仕事とプライベートの時間の区別はない、ということなのだ。

「ちょうど、台湾の会社との新規プロジェクトで……」

二階堂は、仕事の話をした。
詩織は、頷きながら聞いていた。

詩織にしても、ITとかコンピュータなどは好きな分野なのである。
詩織は、今日の用件を話そうとはしなかった。

二階堂も、敢えて聞かない。
次世代プロトコールの話が終わったとき、ふと、間が出来た。

二階堂は、ニヤリと笑って詩織を見た。
そして言った。


「じゃぁ、行こうか?」
「うん」

「おっと、その前に、約束のモノを渡しておく」
「ありがとう」

「気をつけてくれよ。厳密にいうと非合法なんだから」


エレベータで三十五階に昇った。
コーナーツインの部屋である。

カーテンを開けると、渋谷の街が下に見える。
ここが、二階堂の会社が常に押さえてある部屋であった。

「来客が、けっこうあるんで、年間を通してキープしてあるんだ。それに……」

二階堂は、笑いながら続けた。

「密かな情事にも使えるしな」
「バカねぇ。そういうお相手は、たくさんいるの?」

「ゼロさ。詩織にふられた痛手が、まだ癒えない」
「あらまあ、ウソでもうれしいわ……」


詩織は、ニヤリと笑いながら言って、二階堂に軽くキスをした。
そのとき、ドアのチャイムが鳴った。

「おっと、ちょっと待って……」

二階堂は、ドアの所へ行き、ドアを開けた。
ボーイがカートを押して入って来た。

カートには、ワインとグラスが二個、それにチーズセットが乗っていた。

「うん、そこに置いて……そう、それでいい。ありがとう……」

ボーイが出て行くのを確認してから、詩織が言った。

「準備がいいのね」
「ああ。部屋へ入ってから五分後に持ってくるように、頼んでおいたのさ」


二階堂は、ワインのコルクを抜き、二つのグラスに注いだ。
そして、手を叩いた。

ローラ・フィジィのボーカルが、低く、部屋を満たした。
手の音に反応してプレーヤーが作動したのである。
詩織は笑った。


「いい演出」
「まあね。さぁ」

二階堂は、詩織にグラスを渡した。

「君の瞳に乾杯」
「それは古すぎる」

「それじゃぁ、二人の将来に乾杯」
「それはヤバいよ」

「いいじゃないか。別にエッチの関係だけじゃないだろう」
「エッチはなしでいいの?」

「いいさ。お礼は頂くけどね。さあ」
「うん」

詩織は、グラスを置くと、メロディに合わせて身体を揺らし、窓際へ行った。
窓からは、明るい午後の光が入って来る。

詩織は、ステップを踏み、腰を捩じり、腕を滑らかに振った。
二階堂は、ソファに腰を落として、笑った。


「いいねぇ」
「ご褒美よ」

詩織は、腰を振りながら、スーツのボタンを外した。
スーツを脱いで、ソファに投げた。

スカートのファスナーを引いた。
そのまま、スカートが落ちるに任せた。

ステップを踏んで右へ移動し、スカートから離れた。

ブラウスのボタンに手をかける。
ゆっくりと時間をかけて、上のボタンを外す……。

そして……次のボタンを……。

二階堂は、彼女の行動をじっくりと見ている。
昔に比べて、はるかにエロが優っている。

やはり結婚したためだろう。
嫉妬の気持ちが湧いて来た。


すべてのボタンを外すと、詩織は、ブラウスを脱いだ。
それを、二階堂へ投げつける。

女の匂いが濃いブラウスが顔にはりついた。

二階堂は、ブラウスを顔から取り、そして驚嘆した。
濃いピンク色の下着だけの肢体が立っているのだ。

濃いピンク色――、平安時代には韓紅と呼ばれていた色である。


ブラジャーは大胆なオープンスタイルであった。
レースを編み込んで作られている。

すごくセクシーであるが、レースフリルとピンクの色がかわいらしさを演出していた。
パンティも、レースで作られている。

ほとんどGストリングである。
レースは蝶々をモチーフとしていた。


「おお、すばらしい……」
「あ・り・が・と・う」

「その下着、大したもんだな」
「この色、分かる?」

「好きな色だ。覚えていたんだ」
「忘れないわよ」

「ありがとう」

詩織は、音楽に合わせて身体をくねらせた。
両手を上にあげて、腰を前後に振る……。

そして……左右にふり……グルグルと回した。
腰の振動に合わせて、大きな乳房が揺れた。


「残りは……外してくれる?」
「昔みたいに?」

「そうよ」
「よし」


二階堂は、詩織に近づき、唇を塞いだ。

「あっ……むむ……」

二階堂の舌が、詩織の唇を開こうとした。
最初は力をいれていたが、すぐに二階堂の舌を受け入れた。

彼の舌が、口の中をまさぐる。
詩織も、舌を絡めた。


(そう、これよ、これ……)

考えてみれば、キスをしたのはひさしぶりなのであった。
すぐに唾液が口中に溢れた。

詩織は、ゴクリと飲み干した。
二階堂は、身体を押しつけた。
詩織は、唇を離して囁いた。


「ああん、ベルトが痛いわ」
「ああ、ごめん」

「さあ……」
「うん」

二階堂は、ブラジャーの肩紐を外した。
そして、ブラジャーを下へずらした。

そのまま、腰を屈めながら、ブラジャーを下げていく。
腰まで下げて……さらに膝までずらした。


二階堂の目の前に、詩織の股がある。

「パンティ……最高だね。色がいい。レースが……あれ」
「どうしたの?」

「これ、蝶々の形なんだ」
「そうよ。今気がついたの?」

「だって、レースよりその中身が気になっていたんだ」
「それもそうね」

「だろ……あれ」
「今度はなによ?」

「毛が……」
「そうよ。最近は、お手入れを欠かさないの」


二階堂は、激しい嫉妬を感じた。
夫を楽しませるために局部の手入れをしているのだ。

結婚して、詩織は遠い女になったのだ。
だが、肉体はここにある。

二階堂は、パンティとブラジャーを、一気に引きずりおろした。
淫貝が目の前に現れた。

二階堂は、立ち上がり、手を叩いた。




(続く)





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