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詩織の冒険・リベンジ-2話



作家名:キラ琥珀
文字数:約4250文字(第2話)
公開日:2020年6月24日
管理番号:k035


挿絵の官能小説画像


夫がロンドンへ単身赴任しているので、時間の余裕はある。
お金の余裕は、それほどない。

なにしろ、タワーマンションのローンが大きいのだ。


なにかバイトをやろう、と詩織は考えた。
IT関係の技術は持っている。

丁寧に探せば高額の仕事もあるだろう。
だが、報酬が高い分だけ、時間を取られるかもしれない。

自分の時間を取られるのはいやだ。


そうこうしているうちに、〈大化メディカル産業〉という会社がパートを募集していることが耳に入った。
広く関東一円に、病院専用の薬や器具などを卸している会社であった。

その会社で内勤のパートを募集しているのだ。
条件はエクセルが使えること。

詩織は、理系の大学を出ていて、結婚まではワークステーションをあつかっていたのである。
エクセルなど、お茶の子さいさいである。

会社の場所は、茜が丘の北のはずれ。
詩織のマンションからなら、車で10分の距離である。

地理的条件もよい。


ま、とりあえず、ここならいいか。
詩織は、会社に連絡を入れ、履歴書を持って面接に行った。


電話は、その返事かもしれない。
詩織は電話を取った。

全裸のままである。
単なる音声通話で、見えないんだから、いいではないか。


「もしもし、新田でございます」
「私、大化メディカル産業の勝呂と申します」

「あ、ああ、先日はどうも……」
「新田様に、ぜひ、お願いしたい、ということになりました」

「ありがとうございます」
「それで、今日、こちらにお越し願えませんか?」

「今日ですか? それは、また急に……」
「はい。急でご迷惑かとも思いますが、実は、事情が変わりまして……」

「分かりましたわ。じゃぁ……午後1時ころに……」
「ありがとうございます。助かります。受付で勝呂の名前を出して下さい。分かるようにしておきます」


詩織は、テキパキと家事を片付けて、昼食代わりにチョコレートを食べた。

そして、出かける支度をした。
ざっとシャワーを浴びて、水色のブラジャーとパンティを身につけた。


地味な下着である。
仕事へ出かけるのである。

まさか、大胆なカッティングのオープンブラとパンティ、というわけにはいかない。
普通のブラジャーである。

フルカップ。
彼女の巨大な乳房をサポートするには、これしかない。

脇ボーンが入っている。
ストラップは幅が広く、肩の負担を軽減していた。
つけごこちがよい。


パンティも普通使用のものである。
縦横に伸びる素材で、はきごこちがよい。

フロント部分はレース。
リボンとラインストーンのチャームがポイントになっている。


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(よし、これでいいぞ)

濃紺のスカートにスーツ、白いブラウスを着た。
そして、ホンダのN―BOXに乗った。


バス通りを走る。
この道は、いつも空いていた。
気分がよい。

10分後、大化メディカル産業に着いた。

大型のトラックが、何台も出入りしている。
車を来客用の駐車場に入れ、受付へ行った。


「あのう、新田と申します。勝呂様をお願いします。1時にお約束が……」
「お待ちしておりました。すぐまいりますから……」


奥から現れたのは、詩織と同じくらいの年齢の男であった。
詩織は、少しびっくりした。

面接で会ったのは初老の男だったので、そういう男を予想していたのだ。
まあ、面接は会社の偉い人、実働は若い社員、ということなら不思議はない。


「勝呂です。さっそくですが、こちらへ……」


勝呂は、詩織を別な建物へ案内した。
そこは、体育館みたいな広い空間であった。

段ボールの箱が積み重なっていて、フォークリフトが動き回っている。
その空間の奥にはドアがあった。

ドアの中は、いくつかの部屋に分かれていた。
ドアを閉めると、体育館の騒音は消えた。

勝呂は、詩織を奥の部屋へ連れて行った。
広い机にノートパソコンがあり、椅子が二つある。

壁にはファイルが、ズラリと並んでいる。


「狭くてすみません。ここで、仕事をお願いしたいのです。つまり……」

勝呂は、詩織の巨乳をジロジロ見ながら、事情を説明した。
大化メディカル産業は、製薬会社から送られてくる薬品を、仕分けして、病院へ配送する仕事が中心である。

医療関係の機材もあつかっている。
品数は多く、あつかう量も膨大である。

これらの伝票の管理は事務の人間が行い、バイトのおばさん達が手助けしていた。
一方、古い伝票の整理の仕事もあった。


「二年前、コンピュータのシステムを変更したので、整理しなおさなければならないんです」

それで、この狭い資料保管室で過去の伝票を整理をする仕事が出来てしまったのだ。
この仕事専用にバイトを一人雇ったのだそうだ。


「役所を定年退職した男の方です。大変優秀な方で、ありがたかったのですが……」

体調が悪くなり、辞めたい、と言い出したのであった。

「それで、バイトを募集しまして、新田様にお願いすることになったというわけです」


最初は、一週間後くらいから、前任者と一緒に仕事をして慣れてもらう予定にしていたのだ。
古い伝票の整理であるから、それほど急ぐ仕事ではない。

「ところが、昨日、事情が変わりまして……」

前任者が倒れてしまい、救急車で病院に運ばれたのであった。

「引き継ぎの手続きがなくなったんです」


詩織は頷いた。

「ですから、出来たら今日からでも……。もちろん、仕事の手順はお教えします」
「分かりましたわ。でも、さすがに、今日すぐ、というのは」

「そうでしょうね。では、出来るだけ早く、ということで、よろしくお願いします」


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詩織は、マンションに帰り、生活のリズムを検討した。
買い物に行く日。

都心に遊びに出る日。
近所でブラブラする日。

こうしたことを勘案して、バイトの日時を決めた。
水、木、金の3日間、午後1時から5時まで。

電話で勝呂に連絡した。

「分かりました。それでは水曜日に」

ということで、水曜日――。


スーツ姿で大化メディカル産業へ行った。
ちなみに、下着の色は薄いオレンジである。


前回と同じ時間に、同じ部屋で勝呂と向き合った。
勝呂は、やはり詩織の巨乳をジロジロと見ている。

確かに、詩織の乳房は大きくて目立つ。
それにしても、失礼だわ、と思う。

女を見るなら、もう少し工夫をしなさいよ。
まだ若いわねぇ。

年齢は、詩織と同じくらいであろう。
だが、セックスの経験でいえば、まだまだ若い初心者なのだと感じたのだ。


勝呂は仕事内容を細かく説明した。
要は、古い伝票を現在の書式に修正するのだ。

ただ、古い伝票では、年度ごとに書式が一定しておらず、記号も不統一であった。
それらを、整理し、現在の書式にしてエクセルに入れる、ということなのだ。

この部屋のノートパソコンは、WiFiで経理室のコンピュータに繋がっている。
最終的には、向こうのコンピュータにまとめるのだ。


勝呂の説明を聞いていて、仕事の内容が把握出来た。
壁に並んだファイルの分量からみて、スキャナーで取り込んで、処理するのに、詩織の腕ならば、一週間もあれば十分である。

目で見て、手作業で入力するなんて、原始的だよ。
だが、そういうことを口には出さなかった。

時間給でお金をくれるんだから、わざわざ、時間を短縮させる方法を教える必要はない。
のんびりとやりましょう、と思ったのだ。

なにかをするとき、詩織の行動は速い。
だが、行動を遅くする大人の知恵も、もちろんあったのだ。


こうして、バイトが始まった。
ひさしぶりの仕事である。
だが単純作業なのだ。

(あたしの能力からすれば、全然物足りないわ)


まあ、ちょっとしたウォーミングアップと思えばよい。

(たまには、こういう生活もいいか)

そう思えば、生活に不満はない。
いや違う。

ただ一つだけ不満がある。
セックスである。

なにしろ、夫と離ればなれになっているのだ。
身体が疼く。

乳房が張る。
淫壺が湿ってくる。

(どうしたらいいの……)

自分で慰めるしかない。
夫に映像を送るためのオナニーではなく、自分を慰めるためのオナニーをするのだ。


でもオナニーでは限界がある。

(ああ……セックスしたい)

しかし、さすがに、出会い系のようなものに手を出すつもりはない。

昔の恋人の、二階堂和夫はどうかしら?
二階堂ならば、誘えば乗ってくると思う。


それとも、手近なところでは、大化メディカル産業の勝呂、という手もある。
だが、どうもイマイチだなぁ……。

詩織が仕事をしているとき、勝呂が時々見に来た。
仕事の手順は分かったか、なにか質問はないか、ということを心配して顔を出しているのである。

ということではあるが、それだけではない。
つまりは、詩織に会いに来ているのだ。

詩織が誘えば、乗ってくるであろう。
だが、イマイチなのである。

なんとなく薄っぺらいのだ。
確かに仕事は出来るであろう。

それを鼻にかけているところもある。
しかし、しょせんはローカルなスケールでしかない。

インターナショナルな仕事場を見てきた詩織にしてみれば、ちゃんちゃらおかしい。
勝呂祐樹――。

名前からして、軽薄な二枚目、という感じがするではないか。
ということで、勝呂はパス。


他に、身近に男はいなかった。
やはり、自分で慰めるしかない。

もちろん、ロンドンの夫とはメールでやりとりしていた。
時差があるから、チャットは出来ない。

セキュリティの問題もある。
メールがいちばんである。

二人だけの会話のために、メルアドを新しく設定し、セキュリティも厳重にした。


「映像、届いたよ」
「どうだった?」

「すごい。ほとんど紐じゃないか」
「いいでしょう?」

「最高。ギンギンになったよ」
「それでどうしたの?」

「独りでヤりましたよ」
「なにをヤったの?」

「あれ」
「あれ、って?」

「本当は詩織にヤってもらうコト」
「ヤってあげたいけど、遠く離れているから」

「我慢するよ」
「ありがとう。その代わり、次のは、もっとすごいのを送るわ」

「どんなの?」
「とどくまで、ひ・み・つ」

「そんなこというなよ」
「良い子だから我慢するのよ」

「ヒントくらい、くれよ」
「そうねぇ」

「ヒント、プリーズ」
「真珠」

「は?」
「真珠よ。パール」

「なに、それ?」
「はい、シンキングタイムは残り10秒です」

「真珠の首飾り?」
「ブブー」

「第二ヒント?」
「首より下」

「おい、まさか、ワレメに?」
「ピンポーン」


そして二週間が過ぎた――。

金曜日。
詩織は、大化メディカル産業の狭い部屋で、キーボードを叩いていた。


ブラジャーは、ノンワイヤータイプであった。
締め付け感が少なくて楽なのである。

グラデーションに厚みのあるカップが乳房を強調している。
パンティは、股上深さが浅めで、足ぐりはノーマルレッグのものである。

色は白。
アラサーの既婚女性としては標準的なものである。


そこに勝呂が入って来た。




(続く)





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