アナルファンタジー(1)契機-第14話
作家名:優香
文字数:約4690文字(第14話)
公開日:2020年4月22日
管理番号:k021
お風呂から出て、ベッドに裸身を投げ出し、入れたインスタントのコーヒーを啜る。
「早苗さん。私、もう貴方と離れて暮らすのは嫌。今日にでも家に越して来て」
彼女は、私が有頂天になるような申し入れをしてくれた。
しかし、彼女とは心身ともに完璧に一心同体になれたように思えたが、未だ先生への拘りがあった。
「も、もう少し、もう少し待って下さい。ああ、でも、奥様っ、さ、早苗、もう、奥様無しでは、い、生きていけないっ。で、でもっ、奥様は、わ、私がいなくても、せ、先生がいらっしゃるから・・・」
私の不安を、彼女が優しい微笑と共に唇を塞いで貪るようなキスを見舞い、言葉と一緒にかき消してくれた。
「さ、早苗さん。あの人からは離れられないけど、貴方が私の傍からいなくなったら、私、我慢出来ないっ」
そう言う彼女の澄んだ瞳が潤んで、大粒の涙が溢れ、幾筋も滴って頬を濡らして伝った。
「主人には、私が言うわ。主人も、一昨日の夜、貴方が私達のセックスを観ながらオナニーしてるのを知って、一層貴方の事好きになったって言ったもの。私、あの人もだけど、貴方も、二人とも愛してるの。だから、三人で一緒に暮らして、何時も愛し合っていたいの。昨夜みたいに」
「ああっ、は、恥ずかしいっ。や、やっぱりっ、ご、ご存知だったんですねっ?」
「知ってたわよ。だから私もだけど、途中で、貴方が私達のセックスを覗き見しながらオナニーしてるのを教えたら、主人も何時もより酷く昂奮して、私を愛してくれたの。ねえ。主人は同じように貴方を愛してくれるわ。でも、私はそれが嬉しいの。私の愛する主人が、私の愛する貴方を愛するのだから」
普通の常識人には、その感情は理解出来ないだろう。
しかし、私には明確に理解出来た。
二人と一緒に生活しよう。
そして二人のどちらかが私を求めてくれたら、何時でも応じよう。
そんな生活をしよう。
私は先生とは未だ性欲を交わした事がなかったが、半年の間、事務所で彼を観て来て、好ましい人物だとは既に感じていたし、彼の好意は奥様の言葉を信じる事にした。
「こ、今夜から、い、一緒に」
「ああ、早苗さん。う、嬉しい」
彼女は私に抱き付いて、息が止まるかと想うほど長いキスを見舞った。
それから、彼女はバッグから携帯を取り出し、先生に電話した。
「ねえ、貴方。早苗さんが今日から家に来て下さるそうよ。ええ、勿論ずっと。私、狂っちゃうぐらい嬉しいわ。そう。昨夜愉しかったわ。すごく。貴方とするのよりもっと。ええ、そう。早苗さん。私がうんちするのを見てくれたの。おま○こしゃぶらせてくれながらね。私、感激したの。それからね。私が話した通り、早苗さん、お尻が感じるのよ。そうよ。おま○こよりお尻の孔の方が感じるんだって。早苗さん。すごく素敵だったわ。
さっきも、お風呂で一緒にうんちして見せ合って、おま○こ擦り合って、一緒にイッたのよ。ああ、私昂奮して来ちゃった。話すより見てもらった方が早いわ。それでね、今日は早苗さんの洋服とか身の回りの物をマンションに運ぶから、早苗さん、お休みさせてね。それとお仕事辞めさせても良いでしょう?私、早苗さんとずっと一緒にいたいんだもの。ねえ、良いでしょう?ああ、嬉しい。有難う。じゃあ、今夜ね。お愉しみに」
彼女は私に、満面の微笑みを浮かべた美貌を向けて、携帯を切った。
「ああ、お、奥様っ、せ、先生にっ、あ、あんなにはっきり仰らなくても」
「良いの。すぐ解る事なんだし。だって一昨日の夜、貴方が覗き見しながらお尻の孔にも指を挿れてオナニーしてたの、私、主人に教えちゃったもの」
「ああ、ど、どうしてっ?お、お判りになったんですか?」
「シルエットで解ったのよ。貴方、私達のセックスを覗きながら、前から手を降ろして、おま○こ擦ってたんでしょうけど、お尻の方からも手を降ろしてたでしょう?そしたらお尻の孔を擦ってるしかないじゃない」
「い、いやっ、は、恥ずかしいっ。私、せ、先生に顔向け出来ないっ」
「あの人ったらね、今だってすごく悦んで、お前の見ている前で早苗さんのけつの孔でしたり、お前のけつの孔でしてる処を早苗さんに見せ付けたり、愉しみが一気に増えるな、って。でも、私と貴方がお尻の孔を愛撫し合ってる処を主人に見せ付けるのも、愉しそうだと想わない?ねえ」
私はその光景を想像して、ぞっとするような昂奮を覚えた。
「あ、あの、奥様、お仕事辞めるって?わ、私っ」
「心配要らないわよ。貴方は私達の子供になったようなものだから、欲しい物、必要な物は買ってあげるし、毎月のおこずかいだって、ちゃんとあげるわ。その代わり、私と何時も一緒よ。どんな時でも」
彼女はそう言って、私を押し倒し、逆向きにのしかかって来た。
窓からレースのカーテン越しに差し込むまばゆいばかりの陽光の中で、彼女と互いの乳房を擦り合わせ、二つの媚孔を愛し合う。
昨夜まで、背徳的で陰湿な行為だったそれを、明るい陽光の中で繰り拡げる。
なんという至福に充ちたひと時だろう。
私と彼女は一頻り愛し合ってから、私の洋服や化粧品、身の回りの物をバッグや紙袋に詰めてマンションに向かった。
その日の夕方、私と奥様は先生に呼び出されて出掛けた。
奥様が、私にお洒落なドレスを貸してくれた。
バストのサイズが合わないので、それが不自然に見えないようなドレスを出してくれた。
「胸がドキドキするわ。貴方とこうしてお出かけして、お食事して、愛し合って、ベッドで抱き合って眠るの。主人の事務所で貴方を初めて視た時からの、本当に夢だったのよ」
彼女は私の耳元で囁き、上品な美貌に優しい微笑みを浮かべた。
タクシーが、この都市で最も高級で有名なホテルの前に横付けされ、ドアが開くと黒服を着た中年の男性が足早にやって来た。
「高木の奥様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました。何時もお綺麗で。これはまたこちらの女性も何と素敵な方で。どうぞ。先生はもうおいでになっていらっしゃいます」
馬鹿丁寧に、素敵な方だなどと言われると、慇懃無礼なお世辞だと想ってしまう私だったが、奥様は言われ慣れているのか、平然と微笑んで軽く会釈し、彼が案内する方に歩き出した。
エレベーターで最上階まで上がり、生まれて初めて歩くような、ふかふかのカーペットの上を歩く。
「お、奥様っ、わ、私っ、せ、先生の顔が見られないっ」
私は奥様に追い付いて腕を取ると、耳元で低く叫んだ。
「大丈夫よ。すぐに慣れるわ」
そして広いレストランに入ると、一番奥の壁際の席で先生が手を上げるのが見えた。
私の鼓動が一気に速まった。
媚肉の奥底さえ疼き始めた。
「小篠君。良く来てくれたね?嬉しいよ。今夜は貴方の歓迎会だからね。心行くまで愉しんでよ」
先生は立ち上がって、椅子を引き、私を坐らせた。
奥様は先程とは別の黒服が、椅子を引いた。
私の席から窓の外の景色が眺められる。
「嫌いなものはないかね?」
「は、はいっ、だ、大丈夫だと想います」
私は、未だ先生の顔をまともに見る事が出来なかった。
先生が、手渡されたメニューを取り上げ、ワインとコースを注文した。
「わ、私、こ、こんな高級な処でお食事するの初めてなので、ぶ、無作法するかも知れません」
私が縮こまって言うと、先生と奥様が軽やかに笑った。
「本当に貴方って、素直なのね?嬉しいわ。どんどん好きになりそう。そんな風に、私達二人に欲しい時は欲しい、したい時にはしたいって、正直に言って頂戴ね?」
彼女が優しく微笑みながら意味深な言葉を発した。
「ははは。丁度良いタイミングで、丁度良い問い掛けが出たから、少し話をしようか?小篠君、作法なんて、所詮人間が作り出したものでね、大抵の場合、特にその道の偉い人が威厳と格式を持たせようとして作ったものなんだ。例えば貴方はスパゲッティをどうやって食べるかね?」
「スパゲッティですか?普通に、フォークとスプーンを持って、フォークで一口位の量を取ってスプーンの上で、こう、フォークを回しながら丸めて食べますけど」
「そうだよね?大抵の日本人は、上品に食べようと想ったらそうするよね?でもイタリア人は、最初からナイフで適当な長さに切って、スプーンですくって食べるんだ。全てのイタリア人がそうだとは言わないがね。カレーだって、インド人が手で食べてるの見た事があるだろう?」
「は、はい。あります。そうなんですね?作法って」
「おそばだって、今の日本人は音を立てないで食べるだろう?それが上品な作法だと思ってる。でも音を立てない為には、少しずつ食べるか噛み切るしかないよね?少しずつ食べると、美味しさが半減するし醍醐味がない。噛み切ると却って下品に見える。おそばって、いや、そうめんやうどん、ラーメンもすごく長く伸ばして作るだろう?職人さん達は、いかに長く伸ばして作るか、というのも技の一つだと考えてるんだ。それを噛み切るなんて作った職人さん達に逆に失礼だと想わないか?短くして食べるなら、伸ばして作る必要がないだろう?だからおそばを食べる時って啜る音を立てても無作法じゃないんだ」
「わ、判るような気がします」
その時、ワインが運ばれて来て、三つのグラスに注がれた。
グラスを掲げると、先生が優しく微笑んだ。
「では、話は置いといて、素敵な変態さんに乾杯」
「い、嫌っ、せ、先生っ」
私は慌てて周囲を見渡したが、周囲には誰もいなかった。
「早苗さん。主人ね、すごく嫉妬やきなの。私が少しおっぱいの谷間が見えるような洋服を着ても不機嫌になるの。お前の身体を他人に見せたくないって言って。この胸の処がほんのちょっとだけ空いててもよ。だから、貴方も安心して。外で貴方や私がどんなに恥かしい事をさせられても、視るのは主人と私だけよ」
《本当に、この二人に心も身体も委ねて良いのだ。安心し切って良いのだ》
私はそう感じてワインのグラスを傾けた。
先生が三つのグラスにワインを継ぎ足した。
オードブルとスープが運ばれて来た。
「オードブルだって手で食べても良いんだよ。スープは熱いから手ですくえないけどね。話の続きだけど、世の中の事象って、人間が後から決めた正しい、正しくないって言うのはあっても、こうでなければならないなんて事はないんだよ。手で食べようが脚で食べようが、美味しく食べる、楽しく食べる。それが作った人に対する一番の礼儀なんだ」
先生が、自らクラッカーの上にチーズが乗って、その上にキャビアをちりばめたオードブルを手に取って食べた。
「早苗さん。本題に入るよ。貴方には判って欲しい。貴方は自分の性癖を異常だと感じてるようだけど、誰が異常だって決めたの?信じられない話をしようか?アフリカに生息する一部のゴリラの種は、本来の交尾は勿論するけど、アナルセックスもするんだ」
「ええっ?本当なんですか?」
私は驚いて、呑み掛けたワインに少しむせた。
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以前、肛門での快感に目覚めた頃、私の肉体的、精神的な遺伝子が、何処から来ているのか悩んでいた事があったが、もし、そのゴリラが人類の祖先だとしたら、そんなはるか悠久の昔から、それは人類に内包されていたのかも知れない。
「不思議に想うだろう?種の保存本能しかないはずの動物がだよ。本当の話だ。だからそれを根拠に、その種のゴリラが最も人間に近い類人猿だと主張する生物学者もいるんだよ。理由は、そう、貴方が想像した通り、快楽を求めてアナルセックスをしてるからだよ。他の哺乳類でも、本来は繁殖期、交尾期と言うのがあるはずなのに、それ以外の時期でも日常的に、人間と同じように、時間も季節もランダムに交尾する種類もあるんだ」
「そ、そうなんですか?」
(続く)
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