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アナルファンタジー(5)激変-最終話



作家名:優香
文字数:約3490文字(第25話)
公開日:2021年5月10日
管理番号:k066


挿絵の官能小説画像

内容は、あの衝撃的な一夜の出来事の、ノンフィクションだった。

私は、ママに読んで欲しい一念で、夢中で書き始めた。

しかし小説が完成してもママの眼に触れる事はなくなっていた。

ママが、お店での「ショータイム」のせいで、逮捕されたのだ。

男性客が、従業員に、同意もしていないのにフェラチオを強要されたと、警察に訴えたのだった。

裁判の結果、執行猶予付きの判決だったので刑務所に入る事はなかったようだけれど、それが契機で、ママは私と逢ってくれなくなった。

「優香、もうここに来ちゃだめ。貴方はセックスには貪欲で、異常なセックスを私が貴方に教えてしまったけれど、私達と同じような世界に生きる人間じゃないの。私達は陽の当たらない処で生きるけれど、貴方は違うわ。貴方が書いた小説が何時か陽の目を見る事が出来た時、実体験を書いたようにしちゃだめよ。貴方は女なんだから、あくまでも想像で書いた事にしなきゃ」

何時ものように強烈な痴戯で激しい官能を貪り合い、何時ものように安らかな朝を迎えた時、ママは私にそう言ったのだ。

そして、三日後にママの部屋を訪ねると、ママは引っ越してしまっていた。

お店に逢いに行こうにも、一度行ったきりで、六本木の交差点の近くの何処かの路地を入って、というくらいの記憶しかなく、その前後の異常な体験から、お店の名前さえ知らずにいた。何度か六本木の裏通りを歩いてみたが、記憶が蘇るような事はなかった。


ずっとそうだった。

亜紀さんも、省吾も、麗子さんも、琢磨も、ママも。

武雄は、私にとって、彼には失礼だろうが、省吾をいきなり失った心身の埋め合わせでしかなかった。

皆、私自身が納得の行く理由ではなくて、私から去って行った。

私は、相手が誰であろうが、心身を満たしてくれる相手であれば、どんな泥沼の状況に陥っても構わないと想っていた。

それは、その時々でそれだけの、私という女の全てを曝け出していたからだ。

ママに対しては尚更だった。

ママは私が心身共に愛すべき男性であり、そして排泄と言う、人間として最も恥ずべき行為を晒し合い、さらには排泄しながらオナニーをしてエクスタシーを覚え、自ら浣腸を施し、排泄しながらオナニーをしてエクスタシーを覚える恥態を晒し合った。

ママの部屋で、一緒に排泄を晒しながらオナニーでエクスタシーを究めるのを観せ合い、ある時はソファーやダイニングチェアの上にママが腰掛け、背後から抱かれる様に肛門を勃起で貫かれ、乳房と女性器を指で愛撫され、快感に狂い、次の瞬間にはベッドに仰向けになり、ママの勃起で肛門を貫かれ、手指で乳房と女性器を愛撫されて、ママの美しい乳房が揺れるのを快感に霞む眼で見つめながらエクスタシーに狂った。

ママは勿論男性であるに違いはなかったが、私の眼の前での全ての言動が女性であった。

ママが唯一男性であるという根拠は、他でもない私を狂わせる勃起であった。

それは確かに男性にしかあり得ない器官ではあったが、例えば私がママの男根を口や手指で愛撫して、ママに悦びを覚えて貰おうと夢中になる時でさえ、あるいは膣粘膜や肛門粘膜を貫かれて快感に狂う時でさえ、その勃起は男性を象徴する存在ではなく、ママという愛おしい女性の愛おしい肉体の一部にしか想えなかったのである。

そうして何時か、私は、ユニセックス、とでも表現するのだろうか、男と女のセックスでもなく、女と女のセックスでもない、中性的なセックスに、抵抗を覚えなくなった、というよりは、目覚めていたのだった。

亜紀さんや麗子さんの股間に勃起が存在したなら、その時々はともかく、少なくとも今は、彼女との性行為に、私はあられもなくのめり込んだであろう。

そんな性の深淵に辿り着いたであろう私は、ママに対して、ママが「一緒に生きて」と望めば、私は頷いただろう。

しかし、ママは頑固に私を拒んだ。

ママと共に恥を晒した彼の存在も、結局は解らず終いだった。

彼の事を尋ねても、ママは口を閉ざしたままだったからだ。

恐らく著名な方だったのだろうが、調べる事も叶わなかった。

オナニーで我慢出来なくなると、新宿まで出掛け、区役所通りやゴールデン街を独りで?み歩き、誘われるままに好みの男性、女性構わずセックスをしたが、ママと体験したセックス以上の快楽を得させてくれる相手はいなかった。

それは、排泄や、肛門でのセックスを伴わず、また、私の口から、それを要求する事が出来なかったせいでもあっただろうと、今更ながら想う。


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小説を書きながら、インターネットで、セックスに関する情報を検索しまくり、そのうちに共有ファイルソフトと言う存在も知り、「アナルセックス」「レズ」「排泄(スカトロ)」「露出」「オナニー」など、私が経験した異常なセックスの愛好者が不特定多数存在する事も確認したし、実際にその画像や映像もダウンロードして観た。

ダウンロードした映像は百本以上になった。

それらを観ながら興奮して、オナニーさえした。


その頃、町田の喫茶店で店長が訳あって退職する事になり、ローテーションが大幅に変更になったせいで、私の勤務時間が異常に増えた。

丁度その頃から、もっと真剣に小説を書こうと想い始めていて、そんなローテーションでは、ゆっくり構想を練る事は勿論、小説を書く事など到底無理だと感じた私は、丁度良い機会だと想って、辞表を出した。

麗子さんとママから貰っていたお金を貯めていて随分余裕があり、質素な生活をしていたせいで、そんなにお金を稼ぐ必要もなかったからだ。

求人情報で見付けて就職した小さな広告代理店の事務を毎日こなしながら、想い付くままに短編を幾つか書き始めた。

給料は多くはなかったが、それでもボーナスと併せると普通に生活して尚、残高が増えて行った。

ママと別れてから、一年程経ったある日、インターネットを検索していて、無料の投稿掲載サイトを見付け、私は、彼とママとの一夜を書いた小説を、「私の実体験です」とサブタイトルを付けてアップした。

誰かが読んで、感想を書き込んでくれて、もしかしたら、その相手と。

男性でも女性でも、若い人でも年輩の人でも、誰でも良かった。

ママと別れて以来、浣腸し、排泄しながらオナニーでエクスタシーを貪る事しか出来なくなっていた私は、自分以外の相手との、「普通ではない」セックスを渇望していた。

しかし一月経っても、反応はなかった。

私が書いた小説が、読むに値しないからだろうか。

高校の文芸部に所属していた時に書いた、女性の同性愛を書いた作品は、学内であれだけ反響を巻き起こしたのに。

それだけに、期待していた私は肩透しを喰わされた様であった。

実体験ではあったが、内容が過激過ぎるのだろうか?

インターネット上では多数存在する、排泄や浣腸、アナルセックスの愛好家は、実際には未だ希少なのだろうか?

もっとソフトな内容の方が良いのだろうか?

もっとソフトなテーマで小説を書こう。

そう想って、初めてのセックス体験であり、高校時代、想像以上に反響を呼んだ、亜紀さんとの性愛を再現するような構想をイメージしていた処、ある日メールを貰った。

「貴方の作品に興味を持ちました。我が社の月刊誌に掲載、または単行本として出版する用意があります。ご連絡下さい」

ちゃんと、出版社名、担当者名が記載されていたので、ホームページを開いてみた。

単なる官能小説を扱うだけの出版社ではなく、例えば、性犯罪に類するような内容であっても、また、私が抱いているような、特異な性癖をテーマにした内容の小説も扱っているようであった。

信用出来るかどうかなど問題ではなかった。

私は、すぐにメールを返した。

数日後、メールをくれた女性担当者と逢う事になった。

喫茶店で会って、打ち合わせをする際、彼女は私が女性である事、そして余りに若いので驚いたようだった。

密かな期待も抱いていたのだが、残念ながら彼女は、好ましいタイプではなかった。

彼女に比べてママの方が圧倒的に女性らしかったのだ。

そしてそれからまた数日後、私は出版社に出向き、契約書を交わした。


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そして、亜紀さんとのセックスの体験を、排泄、浣腸のテーマを加えて書き終えていたので、その原稿を担当者に送り、それが翌月から掲載された。

毎月送られて来る雑誌を開くと、読者のコーナーに、私の小説に共感を覚える読者の投稿が目に付いた。

そして、掲載半ばで、担当者は次の作品を書いて欲しいと、申し入れて来た。


私は初めて実体験ではなく、架空の想定で“アナル ファンタジー”を書いた。

“アナル ファンタジー”は連載の後、単行本で出版され、そして、書店の棚に並んだ処で、悠美の眼に触れる事になる。



(終わり)





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