30世紀の宇宙の旅-前編
作家名:カール井上
文字数:約2730文字(前編)
公開日:2020年12月25日
管理番号:k074
西暦29XX 年4月、太平洋上に造られた人工島のロケット打上基地から次々と3機の巨大なロケットが発射された。
ビーナス、キューピット、マリンの3機である。
可愛らしい名前とは裏腹に、どれもが長さ500メートルもある巨大なロケットだ。
目的は10年前にコンタクトに成功した、銀河系の反対側に位置する別の太陽系の惑星アルテミスに地球人を送ることにある。
10年前は大変な騒ぎとなった。
人類史上初めて地球外の文明との接触ができたのである。
互いの高速度通信電波を宇宙空間に飛ばしてコミュニケーションを図った。
そこに住んでいるのは、なんと外見はほとんど人類と変わらない生命体であることも分かり、地球の人々は狂喜乱舞した。
実際に対面し情報を交換し友好を深めることは出来ないものか、世界中の科学者が考えた。
とにかく距離がありすぎる。
高速度通信電波を飛ばしてはいるが、実はその電波が地球上を発してからアルテミスに到達するまでは、地球時間で1年かかっている。
返信の電波も同様に1年がかりであり、一度の会話が2年を要するというまだるっこしさであった。
それでもなんとか実際に対面したい、握手をしたいという熱意がこの巨大ロケットの発射につながったのである。
しかし、大きな問題があった。
このロケットがいかに巡航速度ワープ3という考えられないような高速で飛んでいったとしても、アルテミス到着は地球時間で80年後となるのだ。
搭乗員が現在20歳であっても到着時には100歳となっている。
しかもそれは生きていればの話だ。
そこで考えられたのが、宇宙船内での世代の継承である。
宇宙船内で生殖を続け、4世代後くらいの後継者がアルテミスとの交流をはかれるようにしようという作戦である。
船内は30世紀の科学技術の粋で満ちている。
搭乗員が体調や精神に異常をきたすことが無いように配慮されており、地球上で採れる生鮮食品も完璧に用意されている。
医療スタッフ、調理スタッフ、教育運動スタッフなどは最新のAIロボットがその任を担っている。
しかし問題は80年間の世代継承である。
つまり宇宙船内で配偶、出産、育児、教育などが行われなければならない。
医療や教育はロボットで賄えるが、その大前提となる配偶行為つまりセックスがうまくいくかが問題であった。
世界中の人種から年齢、健康、知能に問題がない男女が選抜されている。
彼らにカップルになってもらって性行為から妊娠、出産まで頑張ってもらわなければならないのだ。
さて、うまくいくだろうか。
巨大宇宙船ビーナスには100人ずつの若い男女が搭乗している。
彼らは世界から選ばれた頭脳明晰な『健康優良児』なのである。
もちろん外見も審査対象であったから、見目麗しくスタイル抜群である。
もちろんいろんな好みを考えてあるから百人百様である。
船内では何をしなければいけないということはない。
好きなことをしていればいいのだ。
勉強したければすればいい。
必要なものはほとんど揃っているし、何か不足するものがあればロボットが作ってくれる。
オンラインゲームに興じることもできる。
筋力強化マシンも揃っている。
ただ望まれていることは、繁殖である。
人間だからこの言葉はあてはまらないが、意味は一緒だ。
配偶行為、性行為を行なってもらいたいのだ。
巨大な宇宙船の中にはその行為のための部屋はいくつも作られているのだ。
ただ問題は、そこは無重力空間であるということ。
つまり上下左右とか前後とか、足や手や膝をつくということができないのだ。
お互いに相手を軽々と持ち上げることはできるが、力の入れ方を間違えると反発力で自分の方がどんどん遠ざかってしまうことになる。
コツがいるのだ。
ジェニーとエリックは一目でお互いを気に入っていた。
船内の生活にも慣れ始めたころ、一緒に食事をし、性行為のための部屋へ行くようになった。
部屋に入って初めにすることは服を脱ぐことである。
裸にならなければ始まらない。
そしてその服はきちんと畳んでとかハンガーにかけてとかいうことは必要ない。
脱いだ状態で空間を漂っていてくれる。
白い素肌をお互いにむき出しにして抱き合った。
このとき力の入れ加減が難しい。
そっと触れなければどちらかが離れていってしまうのだ。
あくまでもそっと、唇を合せるのも細心の注意をはらって。
このときふたりの体は宙に浮いている。
不思議な感覚だ。
体を合わせ、腕をたがいの背中にまわし、唇を重ね、ちょっと首を傾けると勢いで体が回転する。
あたかもどこかのテーマパークのスリルあふれる遊具に乗っているかのようである。
69も簡単だ。
どちらかがベッドに横たわって、どちらかがよいしょっと顔の上に跨ってなどということは必要ない。
片手でちょっと相手の体を半転させれば、自分の目の前には薄い金色の陰毛があらわれ、相手の口の前には自分の秘部が。
エリックはジェニーの薄い毛の中にあるヴァギナを舌で舐めあげている。
両手で相手の太ももの裏側をしっかり掴んで離れないようにしながら。舌を大きくひろげて、クリトリスから膣口全体をカバーしている。
一瞬両手を離し、お尻を掴んだ。ぐっと引き寄せ、舌の力が加わりやすくしてみた。
逆さにされている、いや実はどちらが逆さなのかはわからないのだが、ジェニーはエリックのペニスを咥え、頭を動かしている。
頭に血が上るということもなく、こちらもお尻をしっかりと掴まえている。
もうお互いの口技ですっかり高まっている。
挿入するのはすこしコツがいる。
相手が離れていかないようにしなければならない。
壁に押し付けようとすれば、逆にふたりとも壁から離れていってしまう。
ジェニーは漂いながら両脚を開く。
このとき自分の両手でヴァギナも開くのだ。
その開かれたヴァギナにエリックの長く、しかし堅く屹立しているペニスを角度を合わせて挿しこんでいく。
少しの抵抗があるがうまく角度を合わせ、両手をそっとジェニーの腰に当てて動かないようにして深く挿入する。
上手く入るとジェニーの口から喘ぎ声が漏れる。
エリックもわずかな抵抗感が気持ちよく顔が歪む。
挿入がうまくいったら、ジェニーは開いた両脚の膝から下をエリックの脚にからめる。
抜けないようにするのだ。
エリックは腰を前後しなければならないが、これが難しい。
ベッドの上のように膝を支点にして、というようなことはできない。
ジェニーの腰をつかんで鍛えた腹筋の力を利用してなんとか動きを早めていく。
水泳のバタフライ泳法のときの腰の動きに似ているかもしれない。
お互いに顔を近づけ、唇を合わせより高まっていった。
エリックは一旦腰を離し、ジェニーを回転させる。
お尻を掴みバックからの挿入を試みる。
ペニスをヴァギナに合わせてジェニーの腰をひきつけ一気に挿入した。
再びジェニーの口から大きな喘ぎ声が。
(続く)
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