ストールの中の冒険-後編
作家名:カール井上
文字数:約2110文字(後編)
公開日:2020年12月9日
管理番号:k072
ぎゅっとされたときに指の先端が敏感な部分にかすっているわ。
ああ、どうしよう。
感じてきちゃうよう。
ああ、でももっとこのままでいたいと思っていたら、ピーンと音がしてエレベーターは停止しドアが開いた。
彼はすっと手を離し、しかし私の左手をとって歩き出した。
手を引っ張られなければその場にくずれそうになるくらい感じていた。
彼はすこし急ぎ足でチケット売場へ向って行く。
「ペアシートお願いします。」って言っている。
何のことかしら。
「間に合ったよ。ペアシートは5組分しかないんだ。」
「えっ、何のことなの。」
「プラネタリウムさ。ここのプラネタリウムはすごいんだよ。映像が美しいんだ。『ケイロン?』という投影機で1億4千万個を越える星々を直径27メートルの大型ドームスクリーンに投影するんだよ。星の数は世界一なんだ。微細な星の輝きや、奥行きのあるリアルな星空を楽しめるって訳さ。ナレーションも録音を聞かされるんじゃなくて、専門スタッフが生解説してくれるのさ。今日の東京の夜空の解説もしてくれるはずなんだ。ペアシートで手をつないで楽しもうね。」
そうだったのか。
このプラネタリウムがお目当てだったのね。
よかった、カエルの解剖とかじゃなくって。
それにきっと真っ暗な中でペアシートで手をつないで輝く星座を楽しめるのね。
席について上映を待っている。
今はまだ明るい中で半球状のドームを見上げている。
大きいわ。
ここがもうすぐ宇宙になるのね。
彼を見ると笑いながら私を見ていた。
「どう、こういうの気に入ったかな。」
「ええ、とっても楽しみだわ。連れてきてくれてありがとう。」
ブザーがなって場内が暗くなった。
いよいよ始まるのね。
男の人のいい声が聞こえきた。
もう真っ暗なのでどこにいるのかはわからない。
シートの背もたれがぐっと下がってほとんど仰向けになっている。
私はストールをはずしてたたんで膝にかけている。
「冬は日の沈むのが早いですね。ちょっぴり寂しくはなりますが、その分、美しい星を長く観察できるのですよ・・・・」解説が始まったわ。
「この季節の夜空を彩る1等星を紹介しましょう。赤く光っているのが『ベデルギウス』、青白く光っているのが『リゲル』です。そしてこのふたつとその周辺の星でつくられているのが冬を代表する星座オリオン座です。」
ああ美しいわ、うっとりしちゃうって思っていたら、お腹から膝にかけているストールの下に手が入ってきた。
スカートの上から太ももやお腹を撫でられている。
そうかと思うと腕がぐっと延びてきて右側のホックをはずされジッパーを降ろされた。
左側にいる彼を見たが、彼は平然として上を見ているように見えたけれど実は真っ暗なのでよく分からない。
スカートの上、お腹の方からその中に腕を突っ込まれた。
リブタイツの上から敏感な部分に手を当てられている。
指がぐっと入り込む。
力を入れられ本当に敏感な部分を刺激された。
脚が自然に開いてしまう。
だらしなく力が抜けるが、台形ミニスカートなので適当なところで開きが止まってくれるわ。
何指か分からないけれどリズミカルに敏感な部分を押してくる。
エスカレーターでもエレベーターでもお尻を刺激されてあそこもかなり潤い状態になっていたからもうたまらないわ。
目がかすんできた。
美しい星たちが滲んでいる。
あそこもすっかり滲んでいるに違いない。
ちょっと恥ずかしいけれどたまらないわ。
彼の手は一旦あそこを外れ内股を撫で上げる。
これもたまらないわ。
むずむずしちゃっておもいっきり脚を開きたくなる。
また指が敏感な部分に戻ってくる。
きっとあそこはショーツに押さえられていなければパクッと口を開いているんじゃないかしら。
恥ずかしいけれど見られてはいないので大丈夫ね。
「オリオン座の北西の方を見てみましょう。Vの形に星が並んでいますね。このVはオリオンに向って突き立てられているおうしの角なのです。そう、おうし座です。そのおうしの目のところで赤く光っているのが1等星の『アルデバラン』です。」
もう私も突き立てて欲しくなっている。
おうしの角のような堅く鋭く赤く光っている長いものをすっかり濡れそぼっている私の中に突き立てて欲しい。
私は自分の右手をストールの中に入れ彼の左手を自分の気持ちのいいところに押しつけた。
彼もぐっと力を入れ、そして指の腹をポイントに沈み込ませようとしてくれる。
声が出そうになるが必死でこらえた。
「寒い季節、家の中に閉じこもりがちですが、空気が澄んでいて星空観察にはもってこいなのです。是非暖かく着込んで夜空を見上げてみましょう。新しい発見がありますよ。ではこれで上映は終了です。照明がつきます。まぶしいのでご注意を。」
あっ、終わりだ。
ストールの中の冒険も終りね。
照明がついた。
彼の顔を見る。
笑いながらこちらを見ている。
私の顔はきっと上気して赤らんでいるに違いない。
恥ずかしいわ。でもあなたのせいよ。
彼は言った。
「お腹減ったねえ。ご飯食べに行こうか。」
私は黙っていた。
「じゃあ、ホテルに行こうか。」と彼がささやいた。
私は大きくうなずいて、そして急いでスカートのジッパーを上げてホックを締め立ち上がり彼の手を引っ張って歩き出した。
(終わり)
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