ストールの中の冒険-前編
作家名:カール井上
文字数:約2130文字(前編)
公開日:2020年12月8日
管理番号:k072
11月も半ばを過ぎると、世の中はすっかりクリスマスモード一色になりますよね。
駅周辺も美しいイルミネーションが輝いて、夕方、暗くなってからの帰宅時の気分も最高になります。
この駅はヨーロッパのある国の有名なフラワーアーティストがプロデュースしたという高さが10メートルを超える花のクリスマスツリーが飾られています。
華やかなツリーの中から、何かをお祝いしているように真っ赤なフラワーボールがいくつも飛び出していて、光り輝くクリスマスを演出しているようです。
とっても上質なイルミネーションになっているわ。
駅前の大通りでは1キロ以上にも渡って、たぶん200本を超える数の街路樹を、上品に輝く素敵なシャンパンゴールド色の数え切れないLED電球が彩っていて、クリスマスシーズンの華やかな街並みになっているわ。
ところどころにアール・ヌーボー調のデザインをモチーフにした高さが5メートル以上はある光のゲートもあるの。
有名なケーキ屋さんの前は大変なことになっているわ。
お菓子をかたどった様々なオブジェが美しくライトアップされているのよ。
「キラキラの輝くお菓子の家」はマカロンやチョコレートやビスケットが装飾された高さが5メートル以上もあるお菓子の家。
家の中には、このお店の有名パティシエさんが作ったという本物のお菓子が置かれているわ。
「夢の中のお菓子のツリー」はこちらも高さがお菓子の家よりももっと高いの。
お菓子のオーナメントで飾られたツリーなのね。
ツリーに囲まれたフォトスポットでは記念撮影もできるみたい。
こんなに気分が高まるのは、実は明日は久しぶりに彼と会う約束をしているから。
会えるだけでも幸せだけど、どこへ連れて行ってくれるのかしら。
楽しみだわ。
でもね、ちょっと心配なのは、行こうって言われているところが科学館なの。
彼は理科系でそれなりに頭もよくって科学館は楽しいところなのだろうけれど、私はどうかしら。
学校の理科の時間に習ったことなんて何にも覚えていない気がする。
まあ、彼といっしょならそれだけで楽しいとは思うけれど。
でも、やっぱりいまどき中学生だってデートに科学館なんて行かないと思うの。
どうなのかしらね。
翌日、待ち合わせの場所には彼はもう来ていた。
「ごめんね、待った?」
「大丈夫。そんなことより今日もまた可愛いね。」
「ありがとう。行きましょう。」
今日の私は、上からいくと、グレーのストールを首に巻いて、袖の長いこげ茶のニット。
そしてネイビーのウールの台形ミニスカート。
ひざのあたりに見えるのはダークブラウンのリブタイツ、そしてライトブラウンの筒型ブーツ。
ミニでも上質なウールの素材感が上品さを演出してくれているの。
彼、気にいってくれたかなあ。
さらに見えないところは、きっと見せることになると期待して、濃いピンクに大きな白いレース柄が入っているブラジャーとショーツ。
ブラの胸元には大きな花が美しくエレガントに飾られていて、フルバックのショーツは私の大きなお尻をすっぽりと包んでくれているわ。
こっちも気に入ってもらえるといいんだけれど。
どうなるかしら。
科学館はビルの最上階にあるのね。
まずは50メートル以上はあると思う長いエスカレーターで上っていくの。
彼は私の一段下に立って話かけてくる。
「すっかり寒くなってきたね。風邪ひかないように注意しなくちゃ。」
「そうね、インフルエンザになったりしたら大変だわ。」
そのとき左の手すり側の周りからは見えないところで、彼の手、たぶん左手が私のお尻をさわってきた。
そう、ネイビーのウールの台形ミニスカートの上から。
「えっ、こんなところで・・・」って思ったけれど。
誰にも見られていなければいいか、と思って知らん顔をしていた。
やさしくなでる動きをしていた彼の左手に力が入ってきた。
手のひらを強く押しつけてきたと思ったら、5本の指でぎゅっと揉まれ出した。
ぎゅっ、ぎゅっとリズミカルに大きなお尻を掴まれている。
ああ、ちょっと感じてきちゃう。
また撫でる動きに変わったかと思うとまた強く掴まれたり。
ああ、本当に感じてきちゃう。
上を見るとまだエスカレーターは30メートルくらいはあるわ。
ああ、早く上まで着いてくれないと大変なことになっちゃうと思いながらも、実はずっとこのままお尻を揉んでいて欲しいっていう気持ちになったり。
意地悪ねっていう顔をして彼を見たら、彼は顔を寄せてきた。
「どう、感じる?」
私は彼にしがみつきたくなったけれど、さすがに我慢して彼の右手を握っていたの。
やっとというか残念にもエスカレーターは上まで着いて、次はエレベーターに乗るのね。
彼が上行きのボタンを押したらすぐにドアが開いた。
偶然にもそのときは他に誰もいなかったの。
ふたりっきりでエレベーターに乗った。
顔を見合わせて笑ったわ。
エレベーターの中で、当たり前のように彼がまた私のお尻に手を伸ばしてきた。
今度は右手。
撫でまわし、揉みしだきそして掴んでくる。
ふっと目を閉じてしまったら唇をふさがれた。
舌が入ってくる。
だめよ、エレベーターって監視カメラがついていて警備員が見ているのよ。
それにいつ他の誰かが乗ってくるかわからないのよ。
そう言おうとしたが唇をふさがれたままだ。
お尻を揉む手にも力が入っている。
(続く)
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