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雨宿り-第1話



作家名:城山アダムス
文字数:約2980文字(第1話)
公開日:2020年11月27日
管理番号:k070


ひろしの憧れの先生シリーズ第5弾 高校3年生のひろしは、憧れの香織先生と図書館の帰りに土砂降りに遭い、二人ともびしょ濡れに…。あわてて駆け込んだラブホテル・・・シャワーで体が温まった香織先生は、バスローブ姿で寝てしまった。ひろしは、香織先生のバスローブにそっと手を伸ばした。



挿絵の官能小説画像

僕の名前はひろし。

高校3年生。

来年の大学受験に向けて、受験勉強中だ。

夏休みが始まり、これから受験に向けてラストスパートをかけなければならない時期に差し掛かっている。

でも、なかなか勉強に集中できない。

ある女性のことが気になって仕方がないのだ。

その女性とは、僕の学校で古典の授業を担当している香織先生だ。

とても美人でスタイルが良く、男子生徒の憧れの的だ。

僕が香織先生を初めて見たのは、高校1年の入学式だ。

学校職員紹介で香織先生が紹介された時、僕は一目惚れしてしまった。

「こんなきれいな先生の授業が受けられたら、毎日が楽しいだろうな。」

僕は、香織先生が1年の古典を担当して欲しいと心の中で願った。

しかし、香織先生は3年生の古典を担当すると聞いて、とてもがっかりした。

香織先生はまだ20代後半で若い先生だが、一流国立大を卒業し、古典の受験指導には定評があるらしい。

だから、毎年3年生の古典を担当することになっているのだ。

僕はいつも、学校で香織先生を見かけると、その姿を目で追いかけていた。

色白の美人で、スレンダーな体にフィットしたスーツ姿がよく似合っていた。

スーツのスカートから伸びたスラリとした白く細い足を見ると、僕の下半身は熱くなった。


3年生になり、古典の担当が香織先生と決まった。

僕は、毎日古典の授業が待ち遠しかった。

授業中、ずっと香織先生の姿に見とれていた。

香織先生は授業中、いつも教室を歩き回って生徒のノートを確認しながら授業を進める。

先生がノートを覗き込む時、ブラウスの胸元から、白い乳房の谷間がチラリと見えることがある。

僕の目はその胸元にくぎ付けになる。

3年生になったばかりの頃は、香織先生に見とれながらも、受験勉強には一生懸命取り組んでいた。

志望校に合格したいという気持ちもあったが、成績を上げて香織先生に認められたいという気持ちが強かった。

「今の僕は、香織先生にとって、数多い生徒の中の一人に過ぎない。でも、僕の成績が上がり、学年でトップクラスになれば香織先生は僕に注目してくれるかもしれない。」

僕には、成績を上げる自信があった。

入学した時は、学年でベストテンに入っていた。

それから2年まではサッカーの部活動に夢中で、それほど熱心に勉強したわけではない。

それでも成績は学年の上位4分の1以内に入っていた。

3年になって、サッカーのインターハイ予選も終わり、部活動は終了した。

これから僕が真剣に受験勉強に取り組めば、学年のトップクラスを目指すのも夢ではなかった。

しかし、ある日の出来事をきっかけに、香織先生のことが、頭から離れなくなり、勉強が手につかなくなってしまったのだ。


7月初旬の日曜日のことだ。

僕は受験勉強をするために、朝、県立図書館に向かっていた。

県立図書館には自習室があり、そこで勉強すると集中できる。

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僕は、3年生になってから、学校が休みの日はいつも県立図書館の自習室で受験勉強に励んでいた。

図書館の近くで、バスから降りて図書館に向かって歩いていたら、香織先生がこちらに向かって歩いて来る。

僕は嬉しくなって、香織先生に声をかけようと駆け出そうとした時、香織先生が歩いている歩道の横に白い車が止まった。

香織先生は白い車に向かって、笑顔で手を振ると、車の助手席に乗り込んだ。

運転席を見て、僕はハッと驚いた。

社会科の矢野先生だ。

矢野先生も、3年生の授業を担当している。

年齢は30歳前後だろうか?

とても背が高く、ハンサムで女子生徒から人気がある。

歴史の授業では、いろいろなエピソードを交えながら楽しく授業を進めてくれる。

矢野先生の授業は生徒に大変人気があった。

「香織先生と矢野先生はつきあっているのだろうか?」

僕は、矢野先生に強い嫉妬を覚えた。

図書館の自習室に座っても、僕は全く勉強に身が入らなかった。

香織先生と矢野先生のことが気になってしょうがなかった。

「あの後、二人は車でどこに行ったのだろう?」

香織先生は、とっても嬉しそうに矢野先生の車の助手席に座っていた。

「やっぱりあの二人はつきあっているのだろうか?」

僕は、自習室に入って10分も経たないうちに、自習室から出ると、図書館の前の道路に出て、二人の乗った車が向かった方向にいつの間にか歩いていた。

その道路は、図書館の裏にある城山に向かっていた。

城山は、海抜200メートルほどの高さで、頂上には展望台があり、そこからは市街地が一望できる。

市街地の向こうには海まで見える。

展望台からの眺めは最高で、僕の町でも有数のデートスポットだ。

「二人は城山の展望台にいるのだろうか?展望台に登ってみよう。」

展望台に登るには、二通りの方法がある。

自動車が通れる県道を登る方法と、少し険しいが登山道を登る方法だ。

県道はかなり迂回しているので展望台に登るには距離がかなりかかる。

登山道は道は険しいが、急げば15分くらいで展望台に行ける。

僕は、登山道を急いで登った。


15分ほどで展望台に着いた。

展望台の駐車場を見ると、矢野先生の白い車が止まっていた。

「やはり二人は展望台でデートしていたんだ。」

僕は、展望台に向かって歩いた。

二人がデートしている現場を確かめたかった。

展望台に着くと、二人は赤いベンチに並んで座っていた。

楽しそうに談笑している。

時折、香織先生が矢野先生の肩に体を寄せて、甘えるような仕草を見せる。

そのたびに矢野先生は香織先生のおでこを指で突く。

どう見ても恋人同士だ。

僕は、くるりと向きを変え、登山道を降りた。

「やっぱり香織先生は矢野先生とつきあっているんだ。」

城山の登山道を下りる僕の足は重かった。

バッグに入れたたくさんの参考書の重さが、背中にずっしりと堪えた。


次の日の朝、学校に向かいながら、香織先生の姿を探していた。

香織先生は歩いて通勤し、毎朝7時40分に正門を通る。

僕もその時間に合わせて登校し、7時40分に正門を通るのが日課になっていた。

7時40分になると、いつものように香織先生が正門を通りかかった。

「おはよう、ひろし君。」

香織先生は笑顔で挨拶してくれた。

「おはようございます。」

僕も笑顔で挨拶を返したかったが、どうしても笑顔を取り繕うことができなかった。

香織先生の周りにはたくさんの生徒がいたので、僕の暗い表情に香織先生は気づいてくれなかった。

2時間目、社会科の授業が始まった。

矢野先生はいつものように元気よく授業を進めている。

時折、歴史上のエピソードをユーモアたっぷりに話してくれる。

そのたびに教室にどっと笑い声が溢れる。

でも、僕は笑う気にはなれなかった。

矢野先生は、僕の表情に気がついたようだ。

時折、僕に心配そうな視線を送る。

僕は、矢野先生と目を合わせないように下を向いていた。

授業が終わると、矢野先生は僕の席に向かって歩いてきた。

「ひろし。今日はどうした。気分でも悪いのか?」

「べつに・・・大丈夫です。」

僕は、ムッとした表情で答えた。

矢野先生に対する嫉妬心から、どうしても笑顔で返すことができなかった。

「表情が暗いぞ。何か、悩みでもあるのか?」

矢野先生は、しつこく聞いて来る。

「ほっといてください。」

僕は声を荒げて、そのまま教室を飛び出した。

「おい、ひろし。どうした?」

矢野先生は僕の後を追ってくる。

本当にいい加減、構わないでほしかった。

僕の機嫌が悪い理由を矢野先生に話せるわけがない。

僕はそのまま学校を飛び出した。



(続く)





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