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アナルファンタジー(4)激愛-最終話



作家名:優香
文字数:約3500文字(第18話)
公開日:2020年10月31日
管理番号:k055


挿絵の官能小説画像

その夜は、互いの肛門で、何時ものように愛撫し合ってエクスタシーを貪り、翌晩から、悠美は愛美の指での愛撫をわずかな時間ではあったが膣粘膜で受け容れ、多少の痛みは覚えたものの、快感を覚えていた。

そして、三日目の夜、悠美は軽い痛みを覚えたものの、愛美の指で膣孔を愛撫されて、ついに膣孔でのエクスタシーを究めたのであった。

「ま、愛美さんっ、う、嬉しいっ。わ、私っ、お、おま○こでもっ、イ、イケるようになったわっ。ああ、ま、愛美さんっ。あ、愛してるっ」

「ゆ、悠美っ、な、何て可愛いのっ。あ、愛してるわっ」

そうして、二人は、悠美の処女喪失旅行を、心身共に充実したまま終えたのであった。


それからも愛美は悠美と逢う為に忙しいスケジュールを調整して時間を作った。

場所を変え、服装を変えて二人は逢い、悠美が処女を愛美に捧げた時、死ぬまで一緒だと誓い合った、そのままに、時を忘れて愛し合う幸福な日々が一年程続いた。


ある朝、悠美は母が激しく部屋のドアをノックする音で起こされた。

「ま、愛美さんがっ、た、倒れたって」

驚いた悠美は飛び起きて、階下に降り、テレビのニュースに釘付けになった。

愛美がリハーサル中に、高熱で倒れ、緊急入院したとの事だった。

混乱を避ける為に、病院の名前は伏せてあった。

腰から崩れ落ちるように、その場に蹲った悠美は不安に駆られた。

一昨日、赤坂のホテルで逢い、心行くまでたっぷり愉しんだばかりだった。

その時は、具合が悪いような素振りは、少しも感じられなかったのだ。

自分が焦っても仕方がない。

悠美は只管、愛美からの連絡を待った。

しかし愛美からは何の連絡もなく、マスコミもただ、愛美の病状をあれこれ推測で書き立てるだけだった。

そして、四日経った夜、愛美から携帯にメールが届いた。

その内容に、悠美は意識を失いそうになった。


“悠美、驚かないで。そして悲しまないで。私、ガンだって。先日リハーサル中に倒れて緊急入院して、さっき検査結果を知らされたわ。

早く治して悠美に逢って、何時ものように悠美と愛し合って、って言いたい処だけれど、身体中に転移してて、もう手遅れだって。でも、わずかな望みがあるなら頑張る。

悠美とまた、今までのように愛し合う為にも。だから応援しててね。病院に来ちゃだめよ。貴方が迷惑な事に巻き込まれるかも知れないから。出来るだけメールするわ。

それから貴方からメールよこしちゃだめよ。誰が視るか判らないからね。悠美、貴方に逢いたい。貴方と愛し合いたい。心から愛してる”


悠美は翌朝まで一睡も出来ず、ただ愛美からのメールを繰り返し読みながら、泣いた。

愛美を励ましたい。

心から愛の言葉を書き連ねたい。

しかし、愛美に迷惑が掛かる。

そして朝のテレビで、愛美の重篤が報じられ、入院している病院が判明した。

酷い喉の渇きを覚えて階下に降りた悠美を視て、テレビを観ていた両親が立ち上がった。

悠美は両親に抱き着いて、抱きかかえられて号泣した。

愛美の言い付けを守ってメールもせず、病院にも行かなかった。

両親が様子を看に行ってくれたが、夥しい数のカメラマンや記者、そしてファンでごった返して、百名近い警備員が厳重に立ち入りをチェックしていた。

学校にも行かず、ほとんど部屋に篭って半月も虚脱状態で泣き暮らす悠美を心配した両親が、悠美を旅行に連れて行ったりもしたが、勿論悠美の心が晴れるはずもなかった。

愛美から毎日のようにメールが来たが、悲観的な状況を知らせるばかりのものだった。

オナニーをする気にもなれず、愛美のDVDやCDにも触れる気が起こらなかった。

ただ、愛美の奇跡的な回復を祈るだけであった。


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そして、一月後、三日も愛美からのメールが途絶えた。

悠美は、不安、悲しみ、絶望に嘆いた。


そして。

ついに愛美の訃報が日本中を駆け巡った。

早過ぎる死、と言えば余りに早過ぎる死であった。

もう愛美は、悠美の前に現れる事はないのだ。

あの美しい瞳で悠美を視詰める事も、あの美しい唇で悠美の唇を塞ぐ事も、あの美しい乳房で悠美の乳房を圧し潰す事も、そしてあの愛液に塗れた膣孔で、肛孔で、悠美の指を締め付ける事も、悠美の愛撫に反応してエクスタシーに痙攣する美しい裸身を視る事も永遠になくなってしまったのだ。

お別れ会には行く余裕さえなく、ただ部屋で愛美を想い、泣いた。

愛美の追悼CDやDVDが発売され、父母が買って来てくれたが、一度も耳にする事はなく、追悼コンサートが何度も行われたが、悠美は出掛ける事もなかった。

ただ、愛美を失った事を嘆き悲しむだけであった。

そんな悠美の元に宅配便が届いた。

差出人は愛美だった。

《まさか?》

包みを開くと、翌日発売予定の愛美の写真集が出て来た。

恐らく、彼が送ってよこしたのであろう。

涙に霞む眼を視開き、一ページごとに、愛美に愛を語り掛ける悠美の涙が、愛美の笑貌を濡らした。

写真集には、上品で清楚で美しい愛美、大人びて妖艶な愛美、在りし日の愛美の全てが載っていた。

そして、最後のページに、あのクロッキーが掲載されていた。

ホテルの窓辺に悠美を立たせて、愛美がスケッチブックに描いたクロッキーだった。

右下に、幼児が書くようなたどたどしい筆跡で、「あなた」の文字の上に重ねて、同じ大きさで「わたし」と書かれていた。

美しい文字を書く愛美が病床で最後に力を振り絞って書く姿を想い浮かべ、そしてそのルビの意味を知る悠美は、写真集を抱き締めて号泣した。


翌日発売された写真集は、爆発的に売れ、クロッキーが話題になった。

ショートヘアではあるが、それは愛美の全裸の自画像である事を悟られないように、変えて描いたのだなどと、マスコミは騒ぎ立てたが、真相を知っているのは悠美、そして愛美の夫だけであった。

愛美の、悠美への全身全霊の愛を込めたクロッキーは、悠美に命を噴き込んだかのように、悠美は少しずつ笑顔を取り戻していた。


悠美は短大を卒業した後、クロッキーを習う事に決め、美術学校に入学した。

一周忌には墓参りも出来た。

但し、当日は多数の墓参者が予測出来たので、あの西伊豆の別荘で愛美に処女を捧げた日にした。

髪も伸び、悠美は愛美と同じ髪型にした。

クロッキーのモデルが我が娘だと直感した両親は、愛美とのただならぬ関係を悟ったが、思慮深く、悠美に対して言葉にする事は一度もなかった。

初めて墓参をした頃から、愛美を想い浮かべてオナニーをする事も出来るようになった。

しかし悠美は孤独感に苛まれていた。

愛美を今でも心の底から愛していた。

オナニーする時、常に脳裏を占めるのは、愛美の美しい裸身、官能に歪む上品な美貌、自分の女性器と肛孔を愛撫する愛らしい舌と唇、型の良い乳房、夥しい愛液に塗れて解れ切った淫猥な女陰、口を開いた妖しい肛孔、その全てが悠美をエクスタシーに導いた。

しかし、その悦びは一瞬でしかなく、悠美は自分の将来に対して絶望を抱いていた。

排泄を曝し合い、排泄しながらオナニーをしてエクスタシーを貪り合い、今や女性器以上に快楽の源泉になった肛孔を愛撫し合う愛すべき女性を失った。

これから一生、この異常な性癖を隠し抱いて、独り生きて行かなければならないのだ。

インターネットで検索すれば、そんな嗜好の女性は幾らでもいるが、それはパソコン画面の向こうの、架空の存在でしかなく、現実に生活している中で、悠美と愛美と、同じ性癖を持つ稀有な女性など有り得ないように想えた。

両親の前では明るく振る舞ったが、しかし悠美は生きる抜け殻のようであった。

悠美はクロッキーを学ぶ美術学校には休まずに通い続けた。

愛美のようにクロッキーを描けるようになりたい。

今や、悠美と愛美の唯一の接点になったクロッキーを勉強している時と、オナニーをしている時だけは、心穏やかになれた。

しかし、それ以外の生活に於いては、やはり絶望的な孤独感に苛まれていた。


ある日、本でも読んで気を紛らわせようと書店に入った。

何を探すでもなく本棚を眺めながら歩いていると、官能小説のコーナーで背表紙の「アナル」「肛門」「浣腸」などの文字が眼に止まった。

数冊手にして粗筋を読んでみるが、女性が虐待、凌辱される内容のものばかりだ。

嫌気がさして立ち去ろうとした悠美の眼が止まった。

「アナル ファンタジー」!

ファンタジーというからにはソフトな内容だろう。

筆者は女性だ。

悠美はその本を手にして粗筋を流し読みした。

それは真に、女性同士のアナルでの性愛を綴った小説だった。

悠美は我を忘れ、恥ずかしさも忘れてその本を買った。

時間を忘れて何度も読み返し、その小説の虜になり、毎晩のように読みながらオナニーを繰り返した。

主人公の女性は悠美であり、愛美であったのだ。



(終わり)





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