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下着の売り子-1話



作家名:金田誠
文字数:約4210文字(第1話)
公開日:2020年7月29日
管理番号:k046


挿絵の官能小説画像


まったく知らない相手とメッセンジャーやメールで仲良くなったとしても、自然と連絡を取り合わなくなるものである。
ところが、協力して何かをおこなうと、互いの親密度が増したりする。

玲奈とは、そんな関係になった。
私の主宰する官能小説サイトに、彼女が来訪し、コメントを入れてくれたことが、出会いのきっかけだった。

それからというもの、玲奈とはコメントやメッセンジャーで、やりとりを頻繁にするようになった。


夏のある日、女性の身体をあしらったバナーを、官能小説サイトにUPしたいんだとメッセンジャーで話していた。

「えー、面白そう」
「でも、モデルがいない。お金もかかるし」

「お金とるの?」
「普通とるでしょ。1時間いくらってさ」

「交通費くらいならわかるけど」
「じゃあ、玲奈やってくれる?」

「いいよ。私でよければ」
「マジで!ほんと!平気なの?」

「顔は出さないでしょ?」
「もちろん」
「じゃあ、いいよ」

メールという文字だけのやりとりだと、話がポンポン進んだりすることがある。
今回もそんな感じで、私たちは落ち合うことになった。


約束当日、むせかえるような暑さにもかかわらず、駅から多くの人が吐き出されてくる。

私もその一人だったが、待ち合わせの場所に向かう雑踏の中、駅のガードに腰をあずけ、ぼうっとしている女の子を見つけた。
あらかじめ写メの交換をしていたので、すぐに彼女だとわかった。

「れいな?」
近づいて声をかけると、かたい表情をこちらに向けて、小さくうなずく。
「暑いね?今日は。いこっか?」

そう言って、私は先にすたすた歩いていった。
だまって彼女もついてくる。

とりあえずファストフード店に入って腰を下ろすと、玲奈もようやく口を開き始めた。
やや緊張がほぐれたのか、笑顔を見せる。

彼女は19歳の専門学校生で、川栄●奈に似ている。

話しこんでしまうと、こんな素晴らしい機会を逸してしまうかもしれないという恐れが先立ち、無駄話を切り上げ、場所を変えてラブホテルに入った。

そこで撮影することは、彼女もあらかじめ了解済みだ。

今回の目的は2つあった。
一つは、スタイルチェックである。

爪の形や指の長さ、足の格好、ウエストのくびれなど、モデルとして許容の範囲かどうかを確かめたい。


「れいな、下着姿になって」
あっさり紺地のTシャツとショートパンツを脱ぐと、上下淡いブルーの下着が現れた。

間接照明に照らされた彼女のシルエットは、なかなかいい。
胸はCカップ。セミロングの髪は艶やかで、肌は白く、指の爪の手入れも行き届いている。

腰のくびれもあり、お尻は小ぶりで、きゅっと締まっていた。

「あんまりじろじろ見ないで。どう、問題ない?」

右手で、自分の伸ばした左腕の肘をきゅっとつかんだ仕種をした玲奈は、ツンとした顔を私に向けたかと思うと、視線が合った瞬間に、ぱっと目をそらした。

「いいよ!これならモデルになれる」
「じゃあ、さっそく撮る?どうすればいい?」

固い表情のまま内股になった下肢を含めた全身を眺めていた私は、その上下の姿態のギャップに、辛抱がたまらなくなってしまった。

「カメラマンとモデルは仲良くなってからじゃないと、いい写真は撮れないと思うんだ。だから、まずは、いちゃいちゃしよう」

意味のよくわからないことを早口で言って、ベッド上の彼女を引き寄せると、私の方に彼女はストンと落ちてきた。


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「え?ちょっと待って」
驚きで、どう振る舞ってよいのか、わからないでいる玲奈の腿に手をやり、すべすべの肌をまさぐる。

初対面なのに、エロ小説を書いている男とラブホテルに入りこみ、あられもない下着姿を見せている。
状況的にいけると思うのが男の性だ。

彼女の頬を左手でさすりながら、首筋に口づける。
「あん」

鼻にかかった声をあげて、彼女が身体をぴくっと震わせた。
首すじから頬へと少しずつスライドさせて、唇を奪った。

舌をからめるようなディープな振る舞いはせず、チュッチュッと音を立てて唇を唇で弄ぶ。

「ちょっとぉ。仲良くなるって、こういうこと?」
唇が離れた間隙をぬって、彼女は目を白黒させて言う。

「こういうことだよ」
と見つめながら優しくさとすように伝える。

玲奈は化粧っ気がなかった。
もし、上手くすれば映える顔になるだろう。

こういうときは、会話を途切れさせてはいけない。
身体をまさぐられているという感覚を頭の隅に追いやるのだ。

やさしく丁寧になでてやり、安心感を与えながら、他のことに注意を向けさせる。
彼女の身体を弄りつつ、二つ目の目的を切り出した。

「あのさ、れいな。お金ほしい?」
「そりゃ、欲しいよ」

「簡単に稼げる仕事があるんだけど。使用済み下着の売り子やらない?もちろん、郵送専門だから、客と会うことはない。わずらわしいサイトの管理や客とのやりとりは、こっちでやる。れいなは、注文が入ったら下着を客に郵送するだけ。どう?」

腿をなでさすりながら、一気に話し、問いかける。
「ほんとに稼げるの?」

彼女の目が光ってきた。どうやら食いついたようだ。

「上下で8000円には、なると思う。分け前は7対3で、れいなの取り分が7でいい。どう?やってみる?ただし、サイトに顔を出さないと売れないから。それが無理なら駄目だけど」

たたみかけるように話した。
とんでもない依頼だが、使用済み下着は需要がある。

コアな客になら確実に売れる。
化粧映えするだろう玲奈なら、客は必ずつくはずだ。

あとは、彼女が乗ってくるかどうかだ。
「面白そう」

来た!彼女の目がいっそう輝いた。
身体を触られていることなど、もはや気づいていないかのようだ。

立て続けにメリットを具体的に伝える。

「うまく行けば、利益が月10万にはなるから、7万はあげられる。オプション企画もやって、1ヶ月で20万にしたい。すると14万になるよ」

「やるやるっ」
みるみる彼女の口元がゆるみ、笑みがこぼれだした。


あれから3日が経っていた。
私も即答を期待していたわけではなかったので、ホテルでは内心舞い上がった。

あの後は、エロい気持ちが失せ、それ以上は発展せず、すぐにホテルを出て、自宅で使用済み下着売り子のサイト作りに一人勤しんだ。

売り子サイトは、無料の携帯ホームページを活用し『ゆなのえっちな下着』と命名した。
お客がコメントできるように、姫との交流をメインに設定した。

トップ画には、化粧をほどこした彼女の顔写メを貼る。
厚めのファンデーションと光の当て具合で、彼女が玲奈当人であるとは、誰も気づかないだろう。

売る下着は、全て着用している画を載せておく。
取り引きが成立した場合の振込銀行口座は、彼女のではなく私のを使った。

名義は男性になるので、もしそれで購入に二の足を踏む客がいたら、兄の口座ということにした。
客から欲しいと依頼を受けた下着がどれであるかを、私が玲奈にメールして、彼女がそれを着用した後に発送する。

発送元名や住所は書かない。
もちろん、客の要望があれば、発送元名(如月ゆなとした)や住所を架空のものにする。

言ってみれば、架空のさらに架空だ(というか玲奈という名前も本名かどうかわからないが)。
その際に、自宅近くの郵便局や宅配便を使用しないよう注意する。

玲奈の自宅バレを防ぐためだ。


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そして今日は、買いこんだ下着をつけて、私の自宅での撮影となった。
「結構キレイにしてるね」

部屋をながめる彼女が、絨毯にぺたりと座りこむ。
私はパソコンの電源を入れた。

「このパソコン使ってるんだ?」
ジュースのコップを取りにいっているうちに、彼女がパソコン前の椅子に腰かけていた。

「なにか見る?」
「うん」

横からパスワードを打ち込んで、ウインドウズを開いてやる。
「ちょっと、自分でパソコンいじっていい?」

「ん?いいよ」
いつもの場所を占領されてしまい、しかたなく私は、クッションを抱えながら絨毯に座る。

最初のうちは、売り子サイトの編集画面に入って、あれこれと私に質問をしていた。

それに飽きたのか、こんどは自分のお気に入りのバンドのサイトやファッション系のポータルサイトを次から次へと見だして、パソコンの前からまったく離れる様子がない。


そんなこんなで2時間以上が経過した。
いつになったら閲覧が終了し、撮影が始まるのか。

イライラしはじめた私は、携帯を手に取って玲奈に近づく。
彼女は、オレンジのキャミソールにカーキのミニスカート姿だ。

白いブラの肩紐が存分に見えている。
上から覗くとぱんぱんになった胸の谷間が桃尻のように色づいていた。

横顔に視線を移すと、長いまつげに、くりくりした目が可愛い。

「なに?」
視線に気づいた玲奈が、こちらを向く。

「ん?写メ撮ろうと思って」
「だめっ」

彼女は、私の携帯に手をかぶせた。
「なんで?いいじゃん」

「だーめ。あ、と、で、ちゃんと撮ろうね」
相手にしてくれない。

しばらくして再び声をかける。
「れいなぁ〜」

「んー?」
気のない返事だ。

一心に画面を見つめている。
このままでは駄目だ。

「もういい加減にしようよ。こっちにきて」

少し強く言うと、口調から私の気持ちを察したのか、彼女はようやく振り向き、苦笑い混じりの表情を見せた。
そして、椅子からおり絨毯へ両膝頭を合わせて、Tの字に座った。

「じゃ、撮影しよっか?」
彼女から促してきた。

私は近寄り、彼女の正面に腰を下ろす。
両手の甲を取って自分の手のひらを当て、親指で玲奈の手をそっとなでる。

彼女は眉間にやや皺を寄せるも、嫌がる様子はない。

「もっと仲良くならないと、いい写真が撮れないと思うんだ」
ふたたび先日のセリフを吐く自分に、我ながら芸がないなと内心腐りつつ、手のひらを彼女の腕に滑らせていく。

くすぐったそうに、玲奈が身をよじった。
うつむき加減の彼女の髪を梳くようにして、左手を髪に差しこんだ。

後頭部を押さえて引き寄せ、やわらかそうな耳たぶを甘噛みした。
「あっ」

玲奈が右肩をピクリと跳ね上げる。
ちゃぷちょぷと音を立てて、ねちっこく耳たぶをしゃぶり、さらに耳全体を口に頬張った。

だ液をまぶしながら表面をなぶる。
「あぁん。やん。だめぇぇ」

押しつけるようにして、首筋へ舌を這わせつつ、髪もやさしくなでる。
かるく右手で玲奈の肩を押すと、力なくすうっと倒れ、身体が絨毯に横たわった。

両足を投げだし仰向けになった彼女の右横に、私はぴったり寄り添った。
自分の右足を彼女の右足にからめ、蛇のように太腿を足の間に差しこんでいく。

スカートは、白のショーツが見えるまで捲れ上がってしまっている。




(続く)





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