禁断の裏メニュー
作家名:ライア
文字数:約5000文字(全1ページ)
公開日:2018年11月22日
管理番号:k013
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『飲み会。今日は晩御飯はいらない』
空の色が暗いマーブルに染められる時間帯。
美和はリビングのソファから窓の外をぼんやり眺めながら、そろそろ夕飯の支度をしようとしていた所だった。
通知音と共にスマホの画面に現れたのは夫からの簡素すぎるメッセージ。
「…そんなに忙しいのかしら」
はあ、とため息をつく。
夫は30代半ばを過ぎ、最近昇格したこともあって、ここ1年ほどは特に忙しそうにしている。
今日のように会社の付き合いで晩御飯がいらないことも頻繁になり、残業や泊まり込みをすることだって珍しくなかった。
夫をできるだけ支えてやりたいとは思っていたが、一般的な会社勤めの夫のデスクワークを手伝えるわけでもないし、夫の疲れを癒してやれるほどの度量もない。
妻である私は、週に幾度かのレジ打ちパートをしていたが、生活が切りつめられているわけでも、逆に目まぐるしく忙しいわけでもなかった。
気を紛らわせる為に、お小遣い程度になればいいと思って始めたものだった。
しかし、多少忙しくしたところで、今みたいにナイーヴな気分になることだってあるのだ。
美和たちはもちろん愛し合って結婚したが、最近では顔を合わせる時間すら少なくなり、同じ家で暮らしているのに他人のような距離感になりつつあった。
この不可思議な感覚に美和は戸惑い、そしてどうにもすることができない歯がゆさを感じていた。
「…軽く自分の夕飯だけでも食べようかしら」
暗いことばかり考えていても仕方ない。
よいしょ、と美和はソファからゆっくりと立ち上がり、キッチンへ向かう。
冷蔵庫を開けると食卓に並ぶはずだった肉じゃがの材料が寂しそうにこちらを見つめていた。
夫がいないと分かれば、料理を作るどころか米を炊く気にすらならない。
何度目かのため息をついて、肉じゃがの材料から目を逸らした。
ああ、何もかもが気だるい。
頭が痛くなってきた。
新婚の頃は自分の作ったご飯を美味しい美味しいと食べてくれていたのに。
今は一緒に食卓を共にしても、味の感想どころか会話すらままならない。
そういえば、最近はセックスすらご無沙汰だ。
するとしても、夫は昔のように私を気遣うこともない。
向こうの事務的な性処理に付き合わされているだけのような気さえしていた。
夫の都合がいいタイミングで誘われ、ほぼ前戯なしにローションだけで無理やりねじ込まれ、夫が射精すればおしまい。
私がイったかどうかなんて気にしてもいないようだった。
気持ちよくないと言えば嘘になるが、せめてイかせてほしい。
夫とのセックスに物足りなさと寂しさを感じていた。
そんな折、家から少し足を伸ばした整骨院で『裏メニュー』というものがあるのを知った。
表向きは普通の整骨院なのだが、『裏メニュー』を利用すれば、先生がいろんな性感帯を触って気持ちよくしてくれるのだ。
夫もいる手前、性感マッサージに行くほどの勇気は持ち合わせていなかった美和にとって、そんな裏メニューの存在はとても魅力的だった。
もちろん本番はナシで、先生がクリや胸などを刺激して優しくイかせてくれる。
興味本位で訪ねてみると、案外ハマってしまって、パートで稼いだお小遣いを使って頻繁に訪ねるようになってしまっていた。
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私がここを訪ねるのはもう2桁にも到達する頃合いだった。
それでも、裏メニューを頼むのは羞恥でいっぱいになる。
裏メニューを、とたどたどしく言うと、受付のお姉さんは慣れた様子で、「かしこまりました。待合室で少しお待ちくださいね」と笑顔で応対してくれ、なんだか安心した。
リラックスするためか、ここは待合室も個室になっている。
そこで病衣に着替え、自分の順番を待つのだ。
ああ、今日はどんな風に気持ちよくしてくれるんだろう、と美和はぞくぞくとした期待で胸がいっぱいになる。
きゅうん、と子宮が締め付けられるように熱くなり、自分がいかにエッチなのかを思い知らされる。
先生は若い男で、おそらく旦那と同じくらいの歳だが、とても紳士で、無理やり挿入するなどもってのほか、患者を気持ちよくすることだけに専念してくれる信頼できる先生だった。
「またいらしたんですね。さあ、横になってください」
しばらくして診察室に呼ばれた。
診察室といっても名ばかりで、ここは裏メニュー専用の部屋だ。
ベッドの周りにさまざまなローション、ピンクローター・バイブといったいわゆる大人のおもちゃが陳列されている。
その様子は圧巻で、いつも興味をそそられてしまう。
ベッドもおもちゃもどれも清潔に保たれていて、私は促されるまま、いつものように安心してベッドにうつ伏せになる。
「旦那さんとまた何かあったんですか?」
先生は私の病衣を慣れた手つきで脱がせ、腰や肩を温感のローションでヌルヌルぺちゃぺちゃと厭らしい音を立ててマッサージしながら訊ねてくる。
「…っんあ…っ、ふぅ…っ。実は…っ──。」
私がここを訪ねるときは、夫と何かがあった時だった。
夜にセックスに誘われたがイけなかった時、勇気を出してセックスに誘ったのに断られた時。
今回はあまりに長い間セックスができなくて、かといってオナニーするのも虚しくて来てしまったのだ。
「美和さんも大変ですね…。今日はいつもよりとびっきり気持ちよくしてあげますから…」
そう言ってすこし太腿の内側を撫でられただけで、ビクリと反応してしまう。
今から大事なところも触られてしまうんだ…、と思うと全身がゾクゾクする。
既に私のエッチなアソコからは、厭らしいメスの愛液がトロリと零れ出そうになっていた。
「美和さん、まだ触ってもいないですよ」
先生は悪戯に笑って、お尻や太腿、脇腹を厭らしく、ゆっくり撫でる。
くちゅ、くちゅ、とローションの音が静かな診察室にとても卑猥に響き渡り、私の耳をねっとりと犯す。
いつになったら触ってくれるんだろう、どこを触られるんだろう、という浅ましい期待で、もじもじと太腿を擦り合わせてしまう。
「あっ…、んっ、ふぅ…っんっ!」
もともと感度の良い私は、身体を優しくマッサージされただけでも声が出てしまう。
特に先生は手つきが淫靡で、余計に感度が跳ねあがってしまうのだ。
「触ってほしいですか?…、おまんこ、こんなにどろどろにしちゃってるじゃないですか」
先生は私の太腿を無理やり拡げ、秘部を覗き込んだ。
私はうつ伏せなので、その様子を直接見ているわけではないが、じっくりと観察されている気がして、恥ずかしくて堪らない。
「ん…っ、見ないで…ぇっ!…あ…っ、ああっ」
「…ふふ、そんなこと言って、また溢れてきましたよ。もう少し焦らしてみましょうか」
先生は悪戯に、私の脚を拡げたまま、際どい攻めを再開した。
ひくひくとおまんこの口が淫らに蠢いて、先生の指を早く早くと誘おうとしているのが自分でもわかる。
「あ…っ、はぁっ、はぁぁんっ…!んっ…、もう…っ、だめ…ですぅっ…」
秘部に触られてもいないのに、喘いでしまって恥ずかしい。
先生の長い指は不規則に私の身体を這い回り、私の感度を着実に上げてくる。
ここ数日セックスどころかオナニーもろくにしていなかったせいか、私のアソコからはとめどなく愛液が溢れ出す。
ベッドがびしょびしょに汚れてしまっているのではないかと心配したところで、愛液は次から次へとトロトロ溢れてくる。
脚を拡げたままのはしたない格好。
期待して少し自分で脚を拡げてしまう。
その分、秘部が外気に触れて、びくりと身体が少しだけ震えた。
「…ふふ、そろそろ触ってあげましょうか?」
静かに先生の指が首から肩、腰、お尻へと下ってくる。
欲しい場所に近づく度に、どくん、どくんと心臓が熱くなる。
スルスル。さわさわ。
アソコがきゅうん、と収縮して、切ない声をあげてしまう。
「あ…、ああ…っ。んっ…、んんんぅぅっ!?…っ、んあああッ!」
ようやく太腿まできたかと思えば、心の準備をする間もなく、先生の指が私の秘部を捏ねくった。
びくぅん、と大げさなほどに身体がはねる。
「美和さんはココをくにくに弄られるのが好きですよね」
先生は私の秘部を割って入って、ナカの弱い部分をぐちゅぐちゅと優しく弄る。
先ほどまでの焦らしは何だったのかというほどのねちっこい愛撫に、私はなす術もなく、喘ぐことしかできない。
「んっ、はい…っ!ん、ふぅんっ!…ソコぉっ、ソコ…っ、しゅきですぅ…っ!」
上手く呂律が回らないぐらいに口の中は唾液で溢れ、半開きの唇からは下品に涎が垂れて枕を濡らしていく。
くちゅくちゅくちゅ、とローションと愛液が混ざった粘液の音。
こんなに濡れていたのか、と恥ずかしい。
「ちゃんと言えて偉いですね。もっと欲しがらせてあげますよ」
先生はそう言って何か硬いモノを私の秘部に押し当ててきた。
いくらご無沙汰だからと言ってそれが何かわからないほど私は鈍感ではない。
「先生…っ、それは…っ、それはだめです…っ」
口では抵抗しつつもひくひくと陰核の入り口は開閉して、身体はソレを欲しがってしまう。
とろとろに蕩けたアソコはソレをナカに誘おうとして、くぱくぱと淫猥な動きを見せつけてしまう。
「欲しいんですよね?大丈夫です、ゴムはしてますよ。それに、…美和さんのアソコ、厭らしくヒクついてますよ」
美和さんも勃起してるじゃないですか、なんて、ビキビキに反り勃ったソレを押し付けたまま、指で張り詰めたクリを弄られたらもう、ひとたまりもない。
だめだ、だめだけど…!
「…あ…、あぅ…っ、く、ください…っ!挿入れて…くださ…っあああああアッ?!」
ずぷぷっ。ぬぷり。
淫靡な過ちの挿入は想像以上の快楽で、美和は挿入の衝撃だけでイってしまった。
きゅうう、とはしたなくソレを締め付けて、ビクンビクンと身体がのけ反る。
「ふふっ、すごいイキっぷりですね」
挿入されただけでイってしまってとても恥ずかしい。
しかし、イっていない先生の攻めは当然止まらない。
イったばかりで敏感なアソコに大きくバキバキのソレを出し入れされて、私はまた絶頂へと追いやられる。
「んっ、ふぅぅんっ!…イク…っ、イクぅぅんッ!…だめ…っ、イっちゃいます…っ!」
ぬぷぷぅっ。じゅぽぉっ。びくんびくん。
またすぐにイってしまった。
欲求不満みたいで恥ずかしい。
でも、まだ私のソコは先生のモノを咥えたまま、ヒクヒクと物足りなさそうにヒクついていた。
「厭らしい人だ…っ。ほら、もっと欲しいんでしょう…っ?」
ぱんぱんっ、ぐちゅぐちゅっ!今度はもっと激しくなる。
身体が燃えるように熱くなる。
先生のソレも一層張り詰めて、大きく、硬くなっているのが分かる。
「んぐぅっ!…イクイク…っ!またイっちゃうのおぉ〜ッ!…あぁぁあっっ!!」
何度イかされただろうか。
こんなにも長くセックスをしたのは久しぶりだ。
私は肩で息をして、ベッドに倒れ込んだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…。んぅ…っ、しゅごひ…っ。…はぁぅ…っ」
疲れ切った私を労い、落ち着かせようと私の頭を撫でるその腕がふと視界に入る。
なんだかそれにひどく見覚えがあり、私は既視感を感じた。
恐る恐る振り返ると、そこには夫がいた!
私を組み敷いていたのは先生ではなく夫だったのだ。
「あなた…?…なんで…っ?!」
私は酷く混乱し、そして狼狽した。
こんなところに通っていたことが知られたのももちろんだが、どうしてこんなところに夫がいるのか。
そして、いつの間に私は夫のモノを咥え込んでいたのか。
「すまない、騙した風になってしまって…っ」
実は、夫は整骨院の先生と友人で、私との仲を相談していたらしかった。
最近上手くいっていないから、と。
そこでたまたまこの整骨院に通っていた私の相談に乗ったり、性感帯を開発したりして、協力してもらっていたそうだ。
最初のマッサージは先生本人のものだったが、途中の挿入からは夫に変わっていたらしい。
声だけは先生がだしていたらしく、快楽に溺れていた私は情けないことに全く気付かなかった。
荒療治をしてすまなかった、と夫が申し訳なさそうに私の方を見つめているが、その瞳には私への愛情が見て取れて安心する。
私は意を決して脚をM字に開脚し、あなたのが欲しいの、と誘った。
今度はちゃんと顔を見てセックスがしたい。
夫は、ああ、と嬉しそうに私を抱きしめて、そのまま挿入し、久しぶりの夫婦の営みを楽しんだ。
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あれから私たち夫婦は、上手くコミュニケーションを取り、空いた時間には二人で出かけたり、一緒にご飯を食べるようになった。
もちろん夜の営みも、今まで以上に激しく、愛し合うものになった。
(終わり)
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