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仲居と高校生〜嵐の夜-前編



作家名:バロン椿
文字数:約4150文字(前編)
公開日:2020年5月15日
管理番号:k028


挿絵の官能小説画像

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沢村和代

「沢村さん、本当にお独りなの?」

組合からの紹介状を見ていた女将の芳川(よしかわ)裕子(ゆうこ)は沢村(さわむら)和代(かずよ)の体から発する色気に不安を覚えていた。

山を背にした風光明媚な漁港、観光パンフレットにはこう記されてはいるが、国道が整備されるまでは?陸の孤島?と揶揄されたこの町は半農半漁の漁業以外に主だった産業のない、典型的な半農半漁の町だった。

芳川(よしかわ)太一(たいち)、裕子は大きくはないが味がいいと評判の「料理旅館 芳川」を経営していた。

二人の間には中学3年生の一人息子の謙介(けんすけ)がいる。太一が40、裕子が38の時の子供で、どんなに辛い時も、「この子のためなら」と頑張ってきた。

もともと太一は漁師として漁船に乗り込んでいたが、30歳の時、大怪我をしたのを機に、都会に出て板前の修業を積み、この町に戻って、この旅館を開業した。

女将の裕子は太一の修行時代に知り合い、結婚して、この町についてきた。

太一も裕子も旅館経営は初めてだったが、サービスの質を保つため、仲居、板前、運転手に至るまで、身元のはっきりした地元の者を雇い、その後の従業員教育も徹底していた。

お陰で評判を落とすようなことも起きず、これまでやってこれた。
だが、どこでも同じ高齢化は避けられない。

狭い土地柄、人手が足りなくなり、組合に頼んで紹介してもらったのが和代だった。

安物のブラウスにスカート、長い髪にほつれは目立つが、細面に切れ長の眉、それに柳腰の体。
それが、「あら、女将さん、いやだわ。43の私なんか誰も相手にしませんよ。ははは」と口元を押さえて品を作る。女から見ても、ぞくぞくする色気があった。


沢村(さわむら)和代(かずよ) 43歳、山形県酒田市生まれ
〇〇〇高校卒業し、□□□百貨店に入社
   同百貨店を退社後、北海道登別市×××旅館勤務、
福井県芦原市旅館◇◇◇◇、山梨県石和市××旅館、群馬県・・
・・等を経て現在に至る
賞罰無し


と紹介状の履歴にある通り、20代後半から各地の温泉旅館を渡り歩き、どっぷり水商売に浸かってきた女だ。
男が放っておく筈がない。

きっとどこかで、問題を起こした筈だ。
問題を起こさなければいいけど……気掛かりではあったが、人手が足りない現実を見れば、「背に腹は代えられぬ」、結局、女将は沢村和代を雇うことにした。

しかし、雇ってみると、それは杞憂のことのように思われた。

お客が来れば、「お待ちしておりました。さあ、こちらへどうぞ」と真っ先に出迎え、「どうもありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」と最後まで見送る。

他の仲居は漁師の女房だから、そんな気の利いたことはできない。

時には酔った客から誘われることもあったが、「あらあら、もったいないこと言って。奥様に叱られますよ」と如才なく断わり、女将が心配していた男とのトラブルどころか、何も揉め事を起こさなかった。

それに、「あれ、新しい女将か?」と言われても、「お客さま、ご冗談を」と決して出過ぎた真似はしなかった。

そう言う意味でも、彼女は本当に「プロの仲居」だった。

生身の男が欲しい

「和代さん、お買い物?」
「あら、知子さん、こんにちは。ええ、手が空いたものだから」

漁業が中心の狭い町だから、直ぐに顔見知りになる。
沢村和代は今日も旅館の着物をブラウスとスカートに着替えて、散歩がてら買い物に出かけたが、こうして声がかかる。

だが、それだけに、よそ者への警戒心も強い。

「男出入りが激しくて、行く先々で揉め事を起したらしい」
「やっぱり。あの色気、普通じゃないと思っていたのよ」

「男たちがバカなことをしなければいいけど」
と女たちが警戒すれば、男たちは

「あれは、あちらこちらの温泉街で男を作っては、金を搾り取ったという話だよ」
「本当か?」

「ああ、旅館の番頭が言ってたから間違いない」
「それにしても、あの尻、触りたくなるよな」

「お前、そんなこと、女房に聞かれたら、大変なことになるぞ」
「ははは、冗談だ、冗談」

と女たちが聞いたら、怒り出すようなことまでも言っていた。

当の和代は、そんな陰口などどこに行っても言われることだから、少しも気にしない。
それよりも、後腐れなく遊べる男が欲しくなっていた。

なにしろ、最後に男とセックスをしたのは、桜の咲いていた3月だから、もう4ケ月もしていない。

「ふぅぅー暑い……」

今夜も風呂から上がった和代は浴衣の紐を解き、裾を捲って下着を下ろすと、手は箪笥からバイブに伸びる。
気ままな独り暮らし、何時、何をしようと誰に憚れられることも無い。

枕に顔を押し付け、四つん這いになると、左手で乳房を揉みしだき、右手には黒いバイブを握る。


スイッチを入れるとブーン……と音を立て、亀頭の形をしたヘッドが首を振るように回り出し、その音と共にブルブルという振動が手に伝わってくる。和代はそれを陰部に押し当てた。

「あんっ、あ、ああっ…」

ジンジンと響いてくる。
そして、割れ目に沿って下から上に、上から下へと沿わすと、それだけで、しっとりと濡れてくる。

バイブを持ち直した和代はそれを割れ目に突き立て、中に挿し込むと、うねうねと回る黒いヘッドが膣道を押し広げながら奥まで入っていく。

「あ、ああ、いい……いい……い、いいっ……」

身体の奥の方から痺れてくると腰が自然に動き、挿し込んだバイブは抜けたり、入ったり、その効果がさらに増してくると、はしたないくらいに濡れ、溢れ出た愛液はバイブを伝わり、シーツにポタポタと滴が落ちてきた。

もう堪らない。腰の動きは加速し、

「はうぅぅっ…あ、ああ、いい、いい… あ、あ、ああ、いい、いい……」と大きな声が部屋に響き、ついに「あ、あ、い、逝く、逝く、逝っちゃう…ああっ、逝くっ……」と果てた和代は布団に崩れ落ちたが、バイブは膣に入ったままで、腰だけがまだ動きを止めていない。

しばらくして、気持ちの静まった和代は起き上がると、鏡を見ながら髪のほつれを直していたが、バイブ相手では虚しさが残る。

「やっぱり生身の男がほしい」
それが和代の本音だった。


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8月、台風への備え

「ふぅぅー、疲れたわね。和代さん、今日はもう上がっていいわ」

8月も半ばを過ぎた日曜、最後の客を送り出すと、女将がそう言った。
数日前から、天気予報が台風の接近を伝えていたので、珍しく今夜も明日も、泊り客がない。

「それじゃあ、そうさせてもらいます。私も買い出ししておかないと」
「気を付けてね」

タン、タン、タンタンタン…
外では男達が雨戸に板を打ち付けるなど、台風対策が始まっていた。

「あら、お手伝い?」
「あ、はい」

女将の一人息子、高校1年の芳川(よしかわ)謙介(けんすけ)もその中に混じっていた。

「偉いのね」
「い、いえ」

褒められた謙介は顔が赤くなっていた。

この町は半農半漁だから、女も家事ばかりとはいかない。
船が出れば、畑仕事は女が受け持ち、船が戻れば、港で魚の仕分けなど、男と同じように働くので、誰も真っ赤に日焼けしていた。

だが、近寄ってきた和代は色が白く、いい匂いがしていた。

だから、謙介がそうなったのも無理からぬことだ。
その和代から「終わったら、うちにいらっしゃい。ケーキ買っておくから」と誘われたら、断る野暮はいない。

謙介は、勿論、「はい!」と返事をしていた。

(可愛いわね。後でじっくりお話ししようかしら…)
微笑んだ和代は足取り軽く買い物に出掛けていった。

嵐の夜

「旅館 芳川」の敷地の奥の離れ、六畳間と四畳半の座敷に小さな台所と風呂のついた、昔風に言えば「女中部屋」に和代は住んでいた。

ビュッ、ビュー…ビュッ、ビュー…と激しく風が雨戸を打ち付ける。
天気予報通り、午後3時を過ぎた頃から風雨が強くなってきた。

「ひどくならなければいいけど」

買物から帰った和代は空を見上げながら、早目に雨戸を閉めたが、エアコンを回しても、閉め切った室内は蒸し暑い。
仲居の着物を脱いだ和代は、ここに来るまで付き合っていた男が残していった柄物のワイシャツを、ワンピースの代わりに羽織った。

だが、「風雨が強まりますから、外出はお控え下さい」と、テレビのアナウンサーが伝える通り、屋根や雨戸にぶつかる雨音はますます激しくなってきた。

(4時か…)
時報の音に、ふと時計を見上げた時、雨音に混じってドンドン、ドンドンと、玄関のガラス戸を叩く音が聞こえてきた。

(こんな雨の中、誰だろう? )
和代は柱の影からガラス戸に映る姿を見ていたが、「おばさん」と呼ぶ声にはっとした。
(あの子、こんな雨の中、本当に来たんだ……)

自分の方から「ケーキを買っておくから」なんて声をかけていたのに、すっかり忘れていた。

「ごめんなさい。今、開けるから」と玄関に降りたが、ねじ式の鍵はガチャ、ガチャガチャ…鳴るだけで中々開かない。
「ああ、もう、いやになっちゃう」と焦れた和代が鍵を半分引き抜き、無理やりガラッと引くと、全身ずぶ濡れになった謙介が「約束したから」とそこに立っていた。

「さあ、中に入って」と中に引き入れたものの、このままにしては置けない。
「そんな格好じゃ風邪を引いちゃうから、早く脱いで」と言ったが、彼は「あ、いや、でも」と恥ずかしそうに下を向いていた。

(全く。子供の裸なんか見たってしょうがないのよ)
「見やしないから、残り湯だけど、浴びなさい」と彼を強引に風呂場に連れて行った。

だが、女の一人住まい。
男物の着替えなどはない。

取り敢えず女物だが寝間着替わりの浴衣とバスタオルを取り出し、それを持って風呂場に戻ると、謙介が引き戸を閉めずに、湯船の残り湯を浴びていた。


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和代は結婚していたことがあった。
だが、自分のだらしなさから夫以外の男と寝てしまい、叩き出されてからは、あちらこちらの旅館で仲居をしていた。

しかし、身持ちの悪さは治らず、いく先々で男に抱かれていた。
女将が「ぞくぞくする色気」を感じたのも、そんな暮らしをしてきたからだった。

そんな和代でも16歳の少年の裸は初めてだ。
「全く興味がない」と思っていたものの、覗き見ていると、まだ薄い胸板、贅肉など付いてない下腹部、濡れた陰毛、それに隠れてしまいそうな小さなペニス……

「タオルと着替え、ここに置くわよ」と、その場は下がったものの、「男はとんとご無沙汰。せっかくだから……」と頭の中で善からぬ思いがもたげてきた。

一瞬、女将の顔が頭に浮かんだが、どうせ9月になれば、この旅館ともおさらば。別に気にすることもない、そう考えた和代は奥の四畳半に入ると、布団を敷き、箪笥から新しいシーツを取り出し、そこに広げた。

(ふふふ、どんな顔をするかしら……)
思わず妖しい笑みを浮かべていると、「おばさん、どうしたらいいですか?」と謙介が風呂場から戻ってきた。

腰にタオルを巻いているが、着ている浴衣は和代の物だから丈が足りなく、脛までしかない。

(さあ、どんな風に苛めようかしら……)
「ごめんね、そんな物しかなくて」と襖を閉めて六畳間に戻った和代は、「今、お茶の用意をするから」と謙介を座布団に座らせたが、彼はキョロキョロして落ち着かない。

気ままに暮らす女の独り暮らし。着物や帯は衣紋掛けに掛けてあるが、鴨居に掛けた洗濯ハンガーにはピンクやベージュの下着が吊るしてある。

それに気がついた和代は「あらあら、変な物を見せちゃって」と笑うと、「ちょっと片付けるわね」と座敷を出て、風呂場に入った。

外ではザァ、ザザービュッ、ビュー、ザァ、ザザー、ビュッ、ビュー…と風雨が更に強まり、雨戸をガタガタと揺らしている。

和代は着ている物を脱いで素っ裸になると、湯船の残り湯でジャブジャブと体を洗ったが、その音は、打ち付ける雨音に消されて、それは、謙介のいる六畳間には聞こえない。

濡れた体をタオルで拭いていると、先程見てしまった謙介の小さなぺニスが頭に浮かんできた。

童貞に間違いない……ふふっと笑った和代は何も身に付けず、素肌にワンピース代りの男物のワイシャツだけを羽織った。

「ごめんね、ケーキじゃなくて。外に出れなかったから」と和代はお盆にクッキーとお茶を載せて座敷に戻ると、太腿を露わにして謙介の前に膝をつき、そこにお盆を置いて、膝を崩して座布団に横座りになった。

狙い通り、謙介の視線はワイシャツの裾から覗く和代の太腿に釘付けになっている。

「どうぞ」とクッキーを勧めたが、緊張なのか、遠慮してなのか、なかなか手を出さないが、「美味しいのよ」と勧めると、「頂きます」と言って、謙介が前に手を伸ばした。和代はその時を逃さず、「私も一つ」と前屈みになって覗き込だ。

すると、「あっ…」と謙介が声を出し、顔が変わった

男物のワイシャツは襟元が大きく開いている。
垂れ下がった乳房、それからずっと下の腰骨の辺りまで、謙介から丸見えだった。

「どうしたの?」
「え、あ、な、なんでもない」

何でもないどころではない。
とんでもないところまで見てしまった謙介はペニスが硬くなって、腰に巻いたタオルを持ち上げていた。

(勃ってる、勃ってる……)
狙い通りに事が運んだ和代は、「ひどい降りね。ちょっと見てくる」と言って立ち上がると、ワイシャツの裾をバタバタさせながら玄関の鍵を掛けに行った。



(続く)





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