椿弁護士の身の下相談-最終話
作家名:バロン椿
文字数:約5710文字(第三話)
公開日:2020年3月9日
管理番号:k020
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河合美沙子さん
「椿先生、助けて下さい!」
行きつけのスナック「みさ」のママ、河合(かわい)美沙子(みさこ)さんが頬を赤く腫らして事務所に駆け込んで来ました。
「どうしたんですか?」
「あの、旦那に浮気の現場を見つかっちゃって」
そうですか、旦那さんに叩かれたようですが、タオルで頬を押さえる姿は格好のいいものではありません。
スナック「みさ」は、料金は手ごろ、ママは色っぽいと、地元では人気の店です。
私も月に1、2度、あ、いや、3、4度ですが、常連客の一人ですから、「美人ママが浮気」とは聞き捨てならぬことです。
仕事を忘れ、反射的に「相手は誰ですか?」と聞いてしまいました。
「横山(よこやま)さんです」
「えっ、あいつと」
私は言葉が続きませんでした。
「横山さん」は確かママよりも20歳くらい年下の商社に勤める営業マンです。
エネルギッシュな奴ですが、私の方がいい男だと思っていました。
ですが、そんな男とママが、いや、それより、ママは50代半ばを過ぎています。
もう上がっている筈なのに……私は唖然としていました。
すると、それが顔に出たのでしょう。
「うん、もうイヤだ。先生、そんな目で見ないで。」とママに手を抓られてしまいました。
「す、すみません」
ちょうど秘書がコーヒーを淹れてきたところですが、その仕草が余りにも色っぽく、秘書は慌てていました。
彼女はママと私の間に何かあったのではないかと疑ったのかも知れません。
「お嬢さん、おいくつ?」
「はい、24です」
「若いって、いいことね。ねえ、先生」
顔を腫らして相談に来たのはママです。
それが、5分も経っていないのに、こうです。敵いません。
「だけど、まずいですね、ご主人に現場を見られたとは」
「つい、ふらふらというか、まあ、交通事故みたいなものです」
そう言って美沙子さんは美味しそうにコーヒーを一口啜ると、聞きもしないのに、自分の男性遍歴を語り始めました。
初体験はボートの上
私って生意気で背伸びばっかりしてたんです。
だから、バージンとお別れしたのは高校2年の夏休み、17歳の時、相手は20歳の大学生です。
場所は多摩川の貸しボートの上です。
えっ、そんなところで?
驚きますよね。
でも、いいですよ、あそこは。
夜、貸しボート屋のおじさんが帰ってから、勝手にボートを出しちゃうんです。
川の上だから覗く人もいないし、ボートって半円形でしょう?
河原からは見え難いんです。
船底のスノコにレジャーシートを敷いて、星空を眺めながらです。
揺れますけど、二人きりです。
私はスカートを捲って下着だけ下ろしました。
上は脱ぎません。ボートの上ですよ。
裸になるような余裕はありません。
感想ですか?
それは痛かっただけです。
それより、無知でしたから、下着に血が着いちゃって、それを母親に見つかってしまいました。
「そんな娘に育てた覚えはありません!」って、滅茶苦茶に叱られました。
だから、今でも妹に言われるんです。
「お姉ちゃんはだらしがない」って。
でも、私だけじゃなかったんです。
二学期が始まると、教室のあちらこちらで、「痛かった」なんて、結構、みんな、大人になっていたんですね。
「夏の恋ははかない」って言葉がありますよね。
だけど、私の場合は秋までです。
えっ、五十歩百歩ですか。
何も知らず、学園祭にのこのこ出掛けたら、きれいなお姉さんたちから、「子供は出来なかったのね」なんて笑われて。
大学生からすれば、「小便くさい娘」ですよね。
「ひと夏の恋」じゃなくて、結局、遊ばれただけでした。
真面目な結婚生活
だから、この子は早く結婚させないと、とんでもないことになると母は思ったんでしょう。
20歳の時からどんどんお見合させられました。
それで、10回目くらいでしょうか、24歳の時、「この人ならいいわ」と決めました。
4つ上の28歳、不動産会社のサラリーマン、真面目な人でした。
「お父さん、お母さん、お世話になりました」
ふふふ、思い出しちゃいました、あの朝のこと。
新婚旅行は九州。
最初は社宅でしたけど、私も毎朝早起きして、お弁当を作って、真面目に主婦してました。
それに、ふふ、子供を作っていいセックスってとっても気持ちがよくって、毎晩? ええ、それに近いくらい。
お陰さまで男の子と女の子、二人も。
だからですかね、夫は営業成績が良くて、お給料はドンドン上がって、結婚8年目には課長になりました。
思い切って一戸建てのマイホームを購入しました。
家族4人、夏休みには沖縄、冬にはスキー、あの頃が一番幸せでしたね。
ふぅーー……
あら、先生、信じてくれないの?
私だって教育ママ、PTAの役員だとか、子供会のお世話をしたり、本当なのよ。
強姦事件
だけど、どこに落とし穴があるのか、分からないものです。
翌年、結婚9年目のことです。
夫の部下が地面師グループに引っ掛かったんです。
それに、買い手も筋が悪くて、「殺してやろうか!」なんて電話が家にも架かってきて、ほんと、私もノイローゼになりそうでした。
そして、あれは8月の暑い日でした。
お昼過ぎ、電話が鳴って、私が出ると、男の声で「奥さんか?」って。
嫌がらせかと思って、「何ですか?」って言ったら、「旦那さんが怪我をした。直ぐに〇〇寺まで来てくれ」って。
そんなこと、勿論、初めてですから、私、ビックリして、疑いもしないでそのお寺に駆け付けました。
それが罠だったんです。
「やあ、いらっしゃい」
住職がニコニコして待っていましたが、これが、とんでもないエロ坊主です。
「こちらですよ」なんて、そのまま本堂に連れて行かれたんですけど、そこに目つきの悪い男とか、ニヤニヤ笑っている男とか、顔に傷がある男とか、変な感じなんです。
怖くなって、一、二歩、後ろに下がると、男が立っていて、「ゆっくりしていきなよ」って、背中を突き飛ばされてしまいました。
「な、何をするんですか!」って言ったら、「座んなよ」って腕を掴まれ、住職の隣に座らされました。
そこに夫が裸で連れて来られましたが、彼は私を見るなり、「やめろ、やめてくれ!」って叫びました。
私は嫌な予感がしました。
そうです。男のレイプです。
私の横にいた細身の男が裸になって、夫のお尻に……夫は「痛い、やめてくれ!」って叫んでいましたが、とても見ていられるものではありません。
だけど、夫が終わっても解放してくれません。
やっぱり私なんです。
「やめて下さい!」
私は必死でしたが、男たちに手足を掴まれ、あっという間に服を剥ぎ取られてしまいました。
「あなた、あなた、助けて!」と叫びましたけど、夫は柱に縛り付けられ、動けません。
そこにアフリカ系の男が入ってきました。
2mくらいの大男です。
あそこを見たら、バットみたいで、もう怖くて、怖くて、絶対に入らないって思いました。
「イージィ、イージィ」、「ノープロブレム」
男はそんなこと言ってましたけど、とんでもない。
痛くて、痛くて、それに悔しくて。
開放された時、もう心も体もボロボロでした。
コーヒーブレイク
仕事柄、レイプ被害に遭われた方のお話は何度も伺っておりますが、旦那さんが奥さんの前でレイプされたなんて、それは聞いたことがありません。
「警察には訴えなかったのですか?」
「会社から見舞金が出て、まあ、口止め料です。不祥事は表に出したくないってことです」
河合さんは一息ついて、コーヒーを啜りました。
「だけど、先生、もう元には戻れなかったんです」
「えっ、その方は今の旦那さんじゃないんですか?」
「だって、ねえ、ダメなんです……」
それまでは、叩かれた頬こそ赤く腫れていましたが、面持ちはしっかりしていました。
しかし、思い出すと、辛いのでしょう。声を詰まらせ、目から涙が零れていました。
「そもそもは、部下が騙され、会社が全てを夫に押し付けたからなんです。
それに、あいつらが一番悪い。夫は被害者です。
それは分かっているけど、お互いにレイプされるところを見せられてしまうと、ダメなんですよ、もう……」
河合さんは目元をハンカチで押さえていました。
「夫だって被害者ですけど、何でこんな目に遭わなくてはいけないの?って、私は会社だけでなく、夫も恨みました」
「………」
「夫も、私に変なところを見られ、嫌だったと思います。
そんな気持ちでは元には戻れません。
別居して、そのまま離婚です」
私は返す言葉が見つからず、部屋は重苦しい雰囲気になりました。
ところが、ここからがスナックのママ、河合さんの凄いところなんです。
「あら、いやだ、こんなことまで喋っちゃって。
恥ずかしい」と笑うと、しなだれかかって。
さすがですよ。暗い空気がいっぺんに変わりました。
「慰謝料と子供の養育費だけでは生活できませんから、水商売に入ったんです。
ふふ、それでちょっと弾けて、『真面目な主婦の美沙子』から、高校生の時と同じ、『おバカな美沙子』に戻りました」
「なるほど」
「そうですか。あ、す、すみません」
河合さんの話に聞き入っていたのは私だけではありませんでした。
コーヒーを淹れた秘書もそうでした。
彼女は慌てて部屋から出ていこうとしたので、「まあ、いいから。人生勉強だと思って聞いていなさい」と私の隣に座らせました。
「でも、弾け過ぎました」
「どれくらい?」
「70のおじいちゃんから、17の高校生まで、本当に弾け過ぎです」
これでも呆れますが。
次の言葉を聞いて、絶句しました。
「もう時効だから言いますけど、17って、娘の同級生なんです」
私はコーヒーカップを落としそうになり、秘書は目が飛んでました。
「そんなに驚かなくてもいいでしょう。
よくあることでしょう?」
河合さんはまるで他人事のようにコーヒーを飲んでいます。
「青木(あおき)満(みつる)、私は『満』って呼んでいましたけど、とってもいい子。
うちの娘なんか、どれだけお世話になったか分かりません。
だから、高校2年の夏休み、ご褒美に温泉に連れて行って、セックスさせて上げました」
もう余計な口を挟むのは止めにします。
17歳とのセックス
どこの温泉に行ったかなんてどうでもいいですよね。
「お布団、お支度できております」
夕食後、仲居さんがいなくなると、私は満を仰向けに寝かせました。
「怖いの?」
「あ、あ、いえ」
満は首を振っていたが、情けない顔、それに震えていました。
浴衣の前を広げて、胸に頬を寄せると、心臓がドキドキ、鼓動が聞こえました。
「きれいね」
「えっ?」
「肌、満の肌よ」
満の乳首を指で摘まんで、舌で転がすと、満は上を向いたままじっとしていましたが、手をパンツの方に伸ばすと、首を起して目で追ってきました。
「もっこり」なんて言いますけど、それ以上ですね。
パンツの上から触ってても熱くて、凄く硬いんです。
もう我慢できなくなって、浴衣の紐をほどいて、パンツを引き下ろすと、ポンとオチンチンが飛び出してきました。
だけど、ふふ、可愛いんです。
まだ皮が剥け切ってなくて。
それで、ニュッと剥いてあげたら、瑞々しいピンクの亀頭が出てきて、「ああ、おばさん」だって。
彼、本当に童貞なんですね。
ツウーと唾液を亀頭に垂らして、右手で包むようにして擦り始めただけで、ピクピク痙攣しちゃって危ないんです。
余計なことをしている時間が無くなって、亀頭に唇を付けて、そのままぬぅーと口に含んでしゃぶったら、「あ、あ、ああ、あ……あっ!あっ!あっ!……」と射精しちゃいました。
喉の奥にビュッ!ビュッ!と精液がぶつかってくるんです。
彼は「はあ、はあ」と息が荒く、ぐったりして布団に横たわっていましたが、私の方は大変でした。
精液の量も濃さも、今までの男たちとは比べものにならないんです。
口から溢れそうになるのを手を添えて、何とか飲み込みました。
それから、ティッシュで手と口の周りを拭うと、立ち上がって部屋の灯りを消しました。
残っているのは枕元の小さな灯りだけです。
紐をほどいて浴衣を脱ぐと、ゴクって唾を飲み込む音がして、ちらっと彼を見たら、じっと私を見ているんです。
45歳の体は年相応です。
おっぱいは形が崩れているし、お腹にも肉がついているのに、彼のオチンチン、ムクムクして、期待しているんですね。
だから、私はパンティを下ろすと、彼の顔の上に跨って、全部見せて上げました。
彼、「あ、あ、あああ……」って、何を言っているのか分らないんですけど、夢中になっておま○こにしゃぶりついてきました。
私もぐっしょり濡れてしまいましたから、後は入れるだけです。
彼の顔を見ながら、腰の上に跨がり、そのまま下ろしていきました。
突き刺さるって感じです。
今度もあっけなく射精してしまいましたけど、いいんです。
入れて、射精して、また、入れて、射精。
全部で5回、いや、6回かな、とにかく朝までずっとセックスしてました。
今回も引き受けます
「だけど、そんなことをしていて、娘さんにばれなかったのですか?」
「勿論。ばれたら大変です。
ドキッとしたことは何度かありましたけど、大丈夫でした」
「いつまで続いたんですか?」
「2年.大学に行くまでです」
私も秘書も開いた口が塞がりません。
「でもね、先生、大変だったのは、今の旦那と知りあった時のことです。
息子も娘も再婚には猛反対」
「はあ、そうですか」
旦那に浮気の現場を見つかってしまい、助けてくれと駆け込んできたのに、こんな話を聞かされた私は、もう聞き流していました。
秘書もコーヒーカップを片づけていました。
「だから内縁関係なんです」
「で、私は何を?」
私が外を眺めながらタバコを吹かしていましたが、河合さんは「先生!」とスーツの裾にすがりついてきました。
「とてもいい人なんです。
あの人、とてもいい人なんです」
「こんな私なのに、見捨てずにいてくれるんです。
だから、だから、別れたくないんです」
「か、河合さん」
「今日のことは全て私が悪いんです。
先生、何とかして下さい」
「だけど」
「お願いします」
河合さんの涙でスーツの裾はくしゃくしゃになってしまいました。
秘書は「どうするんですか?」と冷やかな視線を送ってきていますが、男は女の涙に弱いものです。
まあ、今回もお金にならない仕事ですね。
仕方がありません。お引き受けしましょう。
(第三話終わり)
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