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椿弁護士の身の下相談-第二話



作家名:バロン椿
文字数:約4280文字(第二話)
公開日:2020年3月3日
管理番号:k020


挿絵の官能小説画像

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三沢弥生さん

世の中、絶対というものはありません。まして、男と女には。

「脅かされているって、どういうことですか?」

青い顔をして椿法律事務所を訪ねて来たのは35歳の三沢(みさわ)弥生(やよい)さんでした。

「ええ……ちょっと事情がありまして」

市立図書館で司書をしていると言う彼女は、きちんとスーツを着て、丁寧な言葉使い、とても脅迫されるようなことを抱えているようには見えません。

それに、脅迫、ストーカーなどの場合はご主人に付き添われてというのが普通ですが、彼女は一人でした。

「実は結婚前に家政婦していた時のことなんです」

とのことで、高校の先生をされているご主人には話せない、内緒にして欲しいと言われました。

「ご安心下さい。秘密は守りますから」

私が改めてそう言うと、彼女はコーヒーを一口、口にしてから、過去の出来事を話し始めました。


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家政婦時代のこと

大学を卒業し、商社に総合職として勤めました。英語が得意でしたから、ゆくゆくは海外勤務、なんて考えていたのですが、そこは全くの男の職場でした。

「弥生ちゃん、コピー取って」
「お茶、淹れてよ」

総合職なんて思われない、一般職と同じ扱いです。
それで、「私、総合職なんです」って言ったら、今度は一般職のお姉さんたちから睨まれました。

「何が世界に羽ばたけよ。掛け声だけで、田舎の会社じゃない!」

プッツンしてしまい、半年でそこを辞めましたが、遊んでいる訳にはいきません。家政婦事務所に登録して、働き出しました。

身長は165センチですから、女性としては背が高くて目立つんですが、会社を辞めた経緯もありまして、「なんでこんなことをしなくちゃいけないの?」、そんな気持ちがありましたから、他人から見れば、「醒めた嫌な女」って感じがして、どこに行っても長続きしません。

それで、事務所も心配したんでしょう、お金持ちのお屋敷なら家政婦も複数いるので、そこがいいだろうと、ある有名な会社の会長さんのお宅に派遣されました。

「よろしくお願いします」って挨拶に行ったら、50歳を過ぎたベテラン家政婦、飯田(いいだ)多恵(たえ)さんから、「今度はしっかり働いて下さい」と言われました。
悪評は、当然、彼女にも届いていました。でも、ここでダメなら首になると思っていましたから、私は心を入れ替えて働きました。

でもダメなんですね。やっぱり、つまらないって顔に出てしまうんです。

辞めようかなあ、と考えていた時です。この家の孫、高校生の俊夫(としお)君と知り合ったのです。

私は27歳でしたから、彼にとってはお姉さんのような感じです。

「俊夫君、洗濯物は夜のうちに出しておいて下さいね」
「あ、ごめんなさい」

部活の汚れたジャージなんかスポーツバッグにしまったままで部屋に置きっぱなしにしている時など、「ダメでしょう!」ってお尻を叩くと、「あ、ごめんなさい……」って、ふふふ、その姿ったら可愛くて。

それで悪戯したくなったんです。

「ねえ、ちょっと激しくない?」
「えっ、何?」

俊夫君は17歳ですから、精力が有り余っていますから、オナニーや夢精で下着は毎日汚れています。

「ふふふ、知らないとでも思っているの?」
「み、三沢さん、なんのことだよ?笑ったりして……」
「いいのかなあ、どうしようかな? ふふ、ふふふ、これですよおー」

私が彼の夢精して汚れたパンツをひらひらさせると、小柄な俊夫君は顔を真っ赤にして私に掴みかかってきました。

「ひ、酷いじゃないですか」
「怒った顔も可愛い」
「ふざけないで下さい!」

俊夫君は怒って、私を突き飛ばそうとしましたが、私だって負けていません。
「後でね」とズボンの中に紙切れを差し込みました。

「あ、え、えっ……」

ぼーとしてその場に立ち尽くす、あの時の俊夫君の顔は忘れません。

ちょっと待って下さい!

私は驚きました。三沢弥生さんは知的な方と見受けられます。
そんなことをするようにはとても思えません。

「あの、あなたがそんな商売女みたいなことを本当にしたんですか?」
「商売女? ふふ、椿先生もずいぶん古い言い方をされるんですね」
「そ、そういうことはどうでもいいんですけど」

私がちょっと顔をしかめると、「すみません。失礼ました」と素直に謝りました。実にそつのない方です。
へへ、気に入りました。

「実は、私、ヤンキーだったんです」
「えっ、あなたが……」
「帰国子女で、環境に馴染めず、高校2年までどうしようもないヤンキーだったんです」
「信じられませんなあ」

私はコーヒーカップを持ったまま、次の言葉が出て来ません。

「サンフランシスコで育ちましたから、バージンは15歳で卒業、それからはいっぱしの女を気取ってました」

人というものは外見だけで判断してはいけませんね。
これでは、弁護士失格です。気をつけましょう。

三沢さんはコーヒーを一口啜ってから、話を続けました。


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悪戯

俊夫君のズボンに入れた紙切れには、「午後8時、コンビニの前」と書きました。

私は10分くらい前からそのコンビニの駐車場で待っていました。
夜だから来るかな?と思ったんですけど、やっぱり男の子ですね。
時間通りに来ました。

「ここよ!」

私が手を振ると、彼は駆け寄ってきましたが、緊張もあったのでしょう、「こんばんは……はあ、はあ、はあ……」と息が上がっていました。

「ふふ、やっぱり来てくれたのね」とドアを開けると、助手席に滑り込んだ俊夫君の顔はポッと赤くなっていました。

私はそのまま車を走らせましたが、彼はキョロキョロ、落ち着きがありません。
そして、緊張に堪えきれず、「ど、どこに行くんですか?」
私の顔を覗き込んできますが、「さあ、どこに行こうかな?」と私は焦らしました。

大好きなCDを掛け、私はそのメロディーを口ずさみました。
昼間はブラウスにジーンズでしたが、ミニのワンピース。雰囲気をがらっと変えていました。

車は街中を抜けてそのまま郊外に向かっている。

「あ、いや、でも、夜だし」

いっぱしの大人気取りですが、「そうねえ、夜だしねえ」と一言挟み、「どうやるのかな?って知りたくなったのよ」と意味深なことを言うと、「えっ、何を?」と食いついて来ました。

さあ、「解剖」の時間です。
「だって毎日なんだもん」と私がクスっと笑うと、「あ、あれは……」と彼はますます顔が赤くなっていました。

目指すラブホテルまでは、もう僅か。私は国道を右折して、直ぐに細い道をまた左折し、そこに入りました。

「あ、あの……」
「え、どうしたの?」

私はお惚けです。「空」のランプがついたガレージに車を停めると、ガラガラと音がしてシャッターが閉まりました。

車の中も二人きりでしたが、それとは全く違います。

「こっちよ」
「………」

俊夫君の手を引いて中に入りました。

畳敷きの和室、小さな座卓と一組の布団。俊夫君はガチに緊張していました。

「そこに立っていないで支度しなさい」

私はワンピースを脱ぎながら彼に言いましたけど、そんなことは無理ですね。
だから、先に裸になって、彼の服を脱がせましたが、反り返っているペニスを見て、「まあ、こんなになって……」と思わず声を出していました。

ソーセージ、やっぱりフランクフルトかな? 凄いですね。

それで、オチンチンを摘まんで、「ふふふ、これね、パンツを汚していたのは」とからかうと、「や、やめて下さい」って、俊夫君、慌てて腰を引きました。

可愛いんです。だから、私はもっと意地悪したくなって、「さあ、どれくらい凄いのか、じっくり観察しようかしら」とオチンチンを扱きました。

そうしたら、「あ、ダメ、ダメ……」って、俊夫君、私に寄り掛かってきましたが、それも束の間、「あっ!あっ!あっ!」って呻きながら、オチンチンの先端から白いものが、まあ、凄いですね。まるで噴水、ビュッ、ビュッって。

あっ、すみません。先生もそうでしたよね。失礼しました。

それから、「見たことないんでしょう?」って大きく脚を開いて、あそこを見せたら、俊夫君、頭がおかしくなってしまいました。

「あ、あ、あうぅぅ……」

変な声を出しながら、私に覆い被さってきて、そのままオチンチン入れさせてあげたんです。

こうなれば、俊夫君は私の操り人形です。

「ヴィトンのバック買ったの。でも、お金、ちょっと足りない」
「いくら?」
「5万円」
「お年玉があるけど」
「お願い、ちょっと貸して。」

こんな感じで、彼の貯金を全部吸い上げてしまいました。

私の教育係兼監視役だった、ベテラン家政婦の飯田さんは私の悪さを知ってました。

「三沢さん、いけないことよ」
「なぜ?」
「だって、あの子は高校生よ」
「あなたには関係ないでしょう!」

飯田さんはいい人だから、私がヤンキー顔すると、その後は見て見ぬ振りでした。
だけど、こんなことって、直ぐにバレます。
私はクビ、飯田さんも「監督不行き届き」で辞めさせられました。

今度もしっかりサポートさせて頂きます

「それで、脅かされているっていうのは、相手は、その俊夫さんですか?」
「いえ、違うんです」

三沢さんはハンドバッグからハンカチを取り出し、額の汗を拭っています。

「3ケ月程前、主人と居酒屋に行ったら、そこで、飯田さんとばったり会ったんです」
「え、あなたの教育係だった飯田さん?」
「はい、そうです。それで、『ご無沙汰してます』ってご挨拶しました」
「ご迷惑をお掛けした訳ですから、そうすべきですね」
「ええ、そうなんですが……」
「どうしました?」
「ええ、まあ……あ、あの、ちょっと……」

彼女はコーヒーをまた一口啜りました。どうやら、核心に近づいたようです。

「飯田さん、『あら、山田さん、お元気?』って、冷やかに言うんです。
あ、『山田』って私の旧姓です。それから、「こちらは?」って。「主人です」と答えました。
「お幸せなのね」、怒っているんだって分かる、凄い険のある言い方でした」

三沢さんはハンカチを握り締めていました。

「全て私が悪いから仕方がないんですけど、スーパーなどで見かけると、スーと寄ってきて、『ご主人、あのこと、ご存知?』って言うんです。
そして、先週は『ねえ、お金貸して下さらない?』って。」

「それで?」
「勿論、断りました。でも、そうしたら、『なら、ご主人にお願いしようかしら』って。椿先生、私、どうしたらいいですか?」

“身から出た錆”かも知れませんが、今は反省して、ご主人と幸せに暮らしている三沢さんです。

深みにはまる前に、早め相談頂き、助かります。
ご自分だけで解決しようとして、ご主人にも知られ、離婚なんてケースも少なくありません。

今回の事案、法律の専門家として、しっかりサポートさせて頂きます。



(第二話終わり)





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